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【完結】「最低」から始まる二人の異世界恋愛譚  作者: HOT-T
第4章 学生時代・ダンジョン課題編
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第17話 姉妹激突

 その戦場で、姉妹は対峙した。


「そこをどきなさいアリス、あたしはあなたと戦いたくない……」


「……甘いこと言わないでよケイト姉。その程度の覚悟でここに立ってるの?ボクだってケイト姉と戦いたくなんか無いよ。でも、仕方が無いんだから……!!」


「アリス……」


 そしてどちらからともなく武器を取り、姉妹は激しい戦いを始めた。

 とても緊迫感に溢れ、悲壮感さえ漂うその戦いに皆が釘付けになった……


「ていうかあの二人は学級対抗戦で何を盛り上がってるのよ……」


 僕の隣ではリリィ君が水分補給をしていた。

 そう、舞台は体育祭。

 その中の学級対抗模擬戦闘。

 互いの学級の領地奥にあるクリスタルを破壊した学級が勝つというものだった。


「君は意外とドライだね。というかクラスが違うと思うけど……」


「ウチのクラスは早々に負けて暇なのよ。別に仲良く話をする友達も居ないしケイトとアリスはあそこで盛り上がってるからあんたのトコに来たのよ」


 それは僕に対して一定以上親愛の情を持ってくれているという事なのかな。

 まあ、クラスに居場所がないというのはそれはそれで問題な気がするが……

 そもそも自分の学級が負けたから敵のクラスに見学に来るのもどうかと思うのだが意外と彼女はこっちのクラスの方で受け入れられている。

 まあ、こっちの方が居心地がいいのだろう。


「ふと気になったが君もあそこに立って戦えたんじゃないのかい?」


 てっきり彼女も参加するかと思ったが対抗戦の参加メンバーに彼女の名は無かった。


「目立つから嫌よ。それに、あの二人とまともにやり合うなんて面倒な真似はしたくないわ」


 なるほど。確かに目立つ。

 何せ学級対抗戦という名前だが現在目の前で繰り広げられているのはケイト君とアリス君のガチ試合だ。

 模擬戦用という条件はあるが武器の持ち込みも可能だ。

 刀を振るうアリス君と攻撃を避けつつ魔法を使うケイト君。

 完全に主役はあの二人でクリスタルを破壊しようと動くメンバーは誰もおらず二人を応援していた。


「君はどっちが勝つと思う?」


「そうね……ケイトは回避率も高いし障壁も貼れるからクリーンヒットは難しいわ」


「アリス君には厳しい相手という事か……」


「でもね、ケイトが定期的に攻撃を喰らってるのわかる?」


 言われてみればケイト君は時折被弾している。

 いずれもクリーンヒットでは無い様だが……


「対人戦におけるケイトの致命的とも言える悪癖。妹のメールにも言える事だけど、相手の攻撃をある程度『受けて』から返すのよ」


「あっ……」


 言われてみれば一度彼女の戦いを見た事があるが確かに攻撃を『受け』た後に反撃に転じていた。


「実用性はともかく、観てる方は盛り上がるのよ。ケイトの戦いって。まあ、姉妹だから私やアリスもそういう傾向が無いわけじゃないけどケイトは徹底してるわ。そこでオーバーキルできれば何とか勝てるかもね」


 言っている傍で大きく踏み込んだアリス君の一撃が姉を捕らえた。


「クリーンヒットした!」


「でもあれくらいは想定範囲内のダメージ……やっちゃったわねアリス」


 リリィ君が小さくため息をつく。

 見ればケイト君は攻撃を受けつつアリス君の両腕を自分の脇に抱え込んで極めるとそのまま後方へ反って投げつけた。


「かんぬき式スープレックス……防御が低いアリスにとっては戦闘不能になるダメージよ」


 彼女の言う通り、アリス君は技を受けてそのままダウンしてしまった。


「勝負あり!今回の勝者は……A組に決定です!!」


 わーっと歓声が上がった。


「いや、主旨変わっていないかな?」


「あんたにしてはまともな事言うわね。先生ももうヤケクソなんでしょうね……」


「ふふ、誉めてもらえるとは嬉しいね。それじゃあこれを機に僕と付き合ってくれないかな」


「断る。それじゃあ競技も終わったから私はクラスに戻るわ」


 いつも通りフラれてしまった。

 周囲も『またやったのかユリウス』といった感じで割と日常的な光景になりつつある。

 自分のクラスへ戻っていく彼女の背中を見送りながら『いつの日か振り向かせて見せる』とボクは誓うのだった。


こぼれ話

リリィは結構人見知りします。

また、物語序盤での出来事の為『ちょっとヤバい奴』というイメージを持たれていて割とクラスでは居場所が無い状態です。

どちらかというとケイトとユリウスが居る特進クラスの生徒たちの方がリリィを受け入れておりそちらが居場所になっている節があります。


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