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【完結】「最低」から始まる二人の異世界恋愛譚  作者: HOT-T
第3章 学生時代・復学編
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第16話 二人きりで初めての昼食を

 ある日の昼休み。

 いつもの様にリリィ君の所へ行こうとするケイト君だったが教師に何やら声を掛けられていた。

 そして……


「あのさ、ユリウス。ちょっとあたし先生に頼まれごとされちゃってすぐにご飯行けそうにないのよ。あんたリリィと先に食べててくれない?」


「いいのかい?」


「今日、アリスが風邪ひいて休んでるのよ。だからあの子、このままじゃ独りでお昼ってなっちゃうし」


 あの元気いっぱいのアリス君が風邪とは驚きだ。


「あの娘、氷耐性を鍛えるんだって氷を抱いて寝ちゃって……本当にバカなんだから……」


 中々斬新な鍛え方をするものだね。

 流石はレムシスターズ。


「わかったよ。僕に任せ給え。楽しいランチタイムを彼女にお届けしようじゃないか」


「……一応言っておくけど、変なことしちゃダメだからね」


「おやおや。この僕がそんな事をする男に見えるかい?」


 ケイト君は僕の顔をじっと見て……


「微妙ね。あんたは変態だし」


「ふふ、誉め言葉と受け取っておくよ」


「いや、誉めてないから……まあその、頼んだわよ」


 妹の事を僕に託し、ケイト君は教室を後にした。

 それでは、僕も行くとしようかな。



「ちょっとユリウス。ケイトはどうしたのよ?」


「用事で遅くなるそうだ。だから僕達で先に昼食を摂るように言われたよ。アリス君も風邪で休みらしいね」


「はぁ……今日はお昼抜きか」


「おや、もしかして弁当を忘れてしまったのかい?」


「違うわ。何であんたと二人でお昼をしなきゃいけないのって話。それなら私はお昼を食べないという選択を取るわ」


 やれやれ、予想はしていたがすんなりとはいかないね。 

 とは言え、ケイト君に託されているし……そうだな、ここは搦手といこうかな?


「実は君達にご馳走しようと『アラヴァダ』を焼いて貰って持ってきたのだがね」


 ため息をついてうつむいていた彼女の耳がぴくっと動くのが見える。

 アラヴァタとはこの国の伝統的な菓子パンだ。

 卵と砂糖を使い焼き上げたほんのりとした甘みを持つパンだ。

 実はアリス君からの情報なのだがリリィ君は小さい頃からこれが大好物らしい。

 

「ブドウのジャムも持ってきたからさぞ美味しいだろうが仕方ないね」


 今度は顔を上げ口をへの字に曲げながらこちらを見ている。

 そして、リリィ君の好物二つ目。ブドウである。


「ユリウス……」


「何だい?」


「行きましょう。早く!」


 という事で食べ物で釣り、僕は彼女を連れ出すことに成功した。


□□


「はぁ~、このほんのりとした甘みにブドウジャムとかもう至福の時じゃない」


 いつもの場所。

 彼女は持ってきた弁当そっちのけで僕が持ってきたアラヴァダにかぶりついていた。

 なるほど、かぶりつくという発想は無かったが確かに美味しそうな食べ方だ。

 何より幸せそうに食べる彼女の顔が、その……刺激が強すぎて鼻血が出そうだよ。


「ところで、良かったのかい?君はお弁当を持ってきてたと思うのだが」


「そ、それは別腹よ」


 うん。恥じらう姿もなんて可憐なのだろうか。

 アラヴァダを食べ終えたリリィ君は弁当を取り出し食べ始める。

 そのおかずを見ながらふむ、と僕は感心する。


「な、何よ」


「君はいつも野菜をよく食べているね」


 今彼女が食べているのも野菜炒めだ。


「野菜好きだからね。栄養が高いのよ」


「そうなのかい?栄養なんて僕は肉を食べていれば十分と思っていたが」


「あんたねぇ、肉と野菜じゃ撮れる栄養が違うのよ?偏ってたらダメなのよ」


 何という事だ。

 そんな事は初耳だぞ。

 昔から肉ばかり食べていた。

 野菜なんて添え物程度だったのでそれで十分だと思っていた。


「これは確かよ。栄養とかに関する研究が進んでる世界出身の父様も言ってたしお祖母様も肯定してる。『カガクテキ』って感じで証明されているんだって」


 なるほど、そう言えば彼女の父親は異世界人だったね。

 かつて彼女が家出した異世界『地球』。

 魔法などはないが遥かに進んだ技術に溢れた世界だった。

 

「そうか、野菜か……だけど、その美味しいのかい?」

 

 正直あんまりおいしいイメージが無い。


「……そうね」


 リリィ君はフォークを錬成すると自分の野菜炒めを少しだけより分け、これまた錬成した皿に乗せてこっちに突き出してきた。


「食べてみたらわかる」


 皿とフォークを受け取り恐る恐る野菜炒めを口に運んでみると……


「ほう。これは確かに」


「味付け次第で美味しくも不味くもなるの」


 なるほど。

 本当に彼女と話をしていると新たな発見が多い。

 自身の見識がどれほど浅いか、自分を見直す機会を彼女はくれるのだ。


「うむ。ますます惚れてしまったでは無いか」


 この想い、この熱い思いを伝えずにはいられない。


「は?」


「リリィ君、やはり君の事が好きだ。結婚を前提にこの僕と付き合って……」


「お断りします!」


 見事に玉砕した。


こぼれ話

リリィは女の子ですが格闘家でもあるので割ともりもり食べます。

ただ、嫌いなものもあり魚の生臭さが駄目です。焼き魚なども骨を取り除くのが面倒なので魚料理そのものが嫌いです。また、酸っぱいものも苦手なのでマリネ系統もダメです。

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