第11話 一難去ってまた……
元々わかってはいたがケイト君をはじめ、レム家の子ども達の戦闘能力は非常に高かった。
いや、僕だってまったく戦えないというわけでは無い。
だが何というか彼女らは僕なんかより遥かに『戦い慣れている』。
血統がどうだのとこだわっていたのが恥ずかしくなる。
それ程までに彼女らは強く、そして美しく輝いていた。
今の所、順番に前に出て相手をしているのだが……これ自分の番が回ってきたらどうしよう?
意気揚々と助けに来たのだが……場違い感が半端ない。
ちなみに僕は魔法使い初級職のメイジ。
ここから中級職であるウィザードを目指すわけだが……
ケイト君はバトルメイジという中級職。
リリィ君はアルケミーケンプファーという特殊中級職。
アリス君はサムライという中級職。
ホマレ君はナイトソードという上級職。
メール君はケンプファーという初級職。
本当に何なのだろうかこのキョウダイ。
そして相手も思ってたのと違う。
いや、せいぜい初級モンスタークラスの敵だと思ってましたよ?
角の生えた兎とか高速で走るトカゲだとか。
それがこれ……異世界って怖いなぁ。
とは言え大見えを切った以上覚悟は決めなくてはならない。
「笑えないよね?笑わなくていい。ボクさ、君みたいなやつは許せないって決めてるから!!」
目の前ではアリス君が敵の頭を鷲掴みにして骨を砕きそのまま地面に叩きつけていた。
…………ヤバイ、怖いよ。何この妹さん。むっちゃくちゃ怖い!
リリィ君の失踪を聞かされた時、彼女に胸倉を掴まれていた事を思い出す。
あの時、下手をすれば自分もこんな目にあっていたわけか……
しかも驚くべきことに……この子、刀使いだけど一切抜いてない。
素手だけであんな強そうな敵を瞬殺ですよ。
そして……
「ボク達は同じ日にちょっとずつ時間を空けて生まれた。ずっと仲良く一緒に育ってきてね。大事な姉妹なんだ。大事な姉妹……それなのにあの時、ボクは何も気づかず呑気に球技で遊んでいたんだ。リリィが泣き叫んでいる時に、助けって言っている時に……」
こちらに向けて恨み言を吐いた残りの敵に対しアリス君が怒りを顕わにしていた。
彼女が話しているのは恐らく報告書にあったトイレ閉じ込め事件の事だろう。
そうか、あの出来事はリリィ君だけでなく家族の心も傷つけたのだ。
失踪した時に多くの人が傷ついたのを目の当たりにした今ならそれがわかった。
敵にもそれが伝わったのだろうか。
戦意を喪失しヘタレ込んでしまっていた。
不謹慎かもしれないが……戦意喪失してくれて本当に良かった。
その後、僕らをこの世界へ導くきっかけとなったイシダが現れそして……
ケイト君の母親にしてレム家の家長、レム・アンジェリーナ氏が姿を見せ全員が怒られた。
異形の戦士相手に激闘を見せていた彼女たちは皆恐れ慄いていた。
メール君などパニックを起こし泣きながら脱ぎ捨てた服を畳んでいた。
そして僕はというと……
「それと……ユリウス!あなたにはお母さまから伝言を預かっています。『てめぇ戻ってきたら覚悟しとけよ』って。以上!!」
ある意味死刑宣告だった。
こぼれ話
レム家の子ども達は小さいころから父親と一緒に冒険に出かけているのもあって全員ライセンス持ちです。
リリィのみ特殊中級職ですがこれは父親の特性をあまりにも色濃く受け継いでいた結果、ギルドも『こいつ分類するのめんどくね?専用クラス作ろうぜ』ってなった結果です。




