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【完結】「最低」から始まる二人の異世界恋愛譚  作者: HOT-T
第1章 学生時代・最低の出会い編
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プロローグ

プロローグは『異世界ハーフの家出少女』Bルートエンディング後の時間軸です。

但し『異世界ハーフの家出少女』のエンディングでの一幕はパラレルワールドみたいなもので本作でのふたりの結ばれ方は少し違ってきます。

この後、1話からは一気に学生時代までさかのぼります。

「むぅ……眠れないな」


 天井を仰ぎながら呟く。

 こういう時は寝る向きを敢えて変えてみる事で変化をつけると良い。

 そう思い左を向き……


「あっ……」


 静かな寝息を立てる愛する妻の顔を見て息を呑んだ。

 そう、彼女は僕の妻なのだ。

 この事実に胸が高鳴り顔が熱くなってしまいまた上を向いた。

 そして再度、彼女の方をちらっと見る。


 天上の女神様が降りて来たのかと錯覚してしまった。

 それ程に彼女の寝顔は美しく愛おしい。

 彼女にそのことを伝えるときっと照れくささからドラゴンスープレックスをかけられてしまうだろうから口にはしない。


 彼女との恋愛は最悪の始まり方であり、その道筋は険しいものであった。

 それでも僕はこの道を選んで良かったと確信している。

 彼女の痛みを、傷を受け止め一緒に歩んできたこの道を。


「リリィ、愛してるよ。僕は君に出会えて幸せだよ」


 呟くと彼女が寝返りを打って僕に背を向ける。

 おや、珍しい。彼女はいつも仰向けで眠るのだが……

 まあ、ちょっとつれない感じだが寝ているのだからそれも仕方ない。

 これまでの出来事ごとに想いを馳せながら目を瞑りゆっくりと夢の中へ意識を落としていった。


◇リリィ視点◇


 ユリウスが寝静まったのを確認し、私はそっと彼の方へ寝返りを打つ。


「……もうっ…………」


 母様、夫の不意打ちを何とかしてください。

 おかげで心臓がバクバクと脈打ってしまいしばらく寝れそうじゃありません…………


 ドラゴンスープレックスをかけて落ちつきたいけど流石に寝ている人にかけるのは気が咎める。


「…………どうせなら起きてる時に言いなさいよ。本当にバカなんだから………」


 小さく呟き彼に少しだけ身を寄せた。

 あちこち寝返りを打った結果少し乱れた髪型、目を瞑り静かに寝息を立てる顔。

 かつては嫌悪の対象だったのに今や見つめているだけで胸が高鳴る。


 元々、誰かと結婚し家庭を持ちたいという夢はあった。

 だが忌まわしい出来事によりそれは叶わぬものになったと一時は諦めていた。


 だがそんな私を見つけて夢をかなえてくれたのは、最悪な出会いをした彼だった。 


「ユリウス………その、私も……愛してるから……」 


 呟き、そっと目を閉じた。

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