8.信頼
「僕に信じて欲しがってるゆえ、君が信じられる。」
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「内に行くな...兄さんが見つけない所へ連れてくれ。」夜月が虚弱な声で言った。
夜月が雲から落ちて怪我した。郁の爪で引っ掻き傷が一番酷かった。全身が痛みしか何も感じないというところだ。意識を持つうちに、内へ行かぬって言った。
夜月「この格好が夏兄さんに見られたら、兄さんがまた罪悪感に陥るようだ。もともとこの傷は兄さんと関係ないし、修練のせいではないし、僕の我がままだから。アッ、まだ郁に『大丈夫』って言わなかった...」と思っていたら意識を失った。
「痛い...」目が覚めて、相変わらず痛みしか何も感じない。
「夜月!」キツネ
郁が夜月にくっついてる。
「馬鹿!あの木が強い魔力で守られてるよ。そうやって触るのは、裸で飛んで来る隕石を止めるのと同じようだ!」
「ごめん、二人を心配させた。暫く一緒に遊べないね...
そして、キツネ。もう一つの頼みがあるけど...僕の傷が癒えるまで僕にかわり、夏兄さんたちと一緒にいてくれ。キツネなら、完璧に僕に変身できるでしょう。」
そんな真剣な目つきで見られているだから、断れなかった。
「しようがないね...友達のことだから。」
「ありがとう、キツネ。郁もキツネと一緒に帰ろう。
兄さんたちが知ったら大変だよ。絶対だめ!!頼む!」
完璧な変装のために、夜月がキツネにいっぱい教えた。
この間に、郁が魔力で夜月の傷を治療してみた。
「もう良いよ。はやく帰ろう。僕も自分で傷を治療してみるから、心配しないで。」
「神器にとって、主の神力が一番良い薬だけど...
ここは結界があるから、安全というものだ。ここなら、見つからない。とにかくここから出るな!またく心配させるやつだ...」
キツネと郁が出かけた。
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あと数日
郁の治療のおかげで、体がなかなか動ける。でも、夜月の魔力で傷が癒し難い。郁が毎日来て、夜月の傷を少しずつ治療して上げる。
「キツネがここ数日来なかったことから、事情がうまく進んでいるだろう。あの晩帰らなかったことをちゃんと説明したかな。
この家は寂しさの気味が濃い。キツネの寂しさを感じる...一人で一人の家へ帰ることがそんなに苦しいか知らなかった。寂しいって言えば、もっと遊んで上げるものを。」横たわってる夜月が郁に言った。
夜月は発動なしに、この所で起こったことが詳しく見えないけど、強い感情を含む場面が少しく見える。そして、テレパシーのように関係者の感情が感じられる。
「今僕らの家で、夏兄さんと紅葉君の傍にちょっと幸せになれるかな?キツネが
......
もし、僕がずっと帰れなかったら、兄さんが気付けるかな?ばれたくないが、兄さんが気付けて欲しい。自分の気持ちと考えさえだんだん分からない。
......
今ここにいる僕が本当の僕ですか?若しかすると僕が誰かの望みで生まれたものかもしれない。執事になる魔獣のような存在だ。」
夜月が寝てしまった。
夢の中で誰か言った。「君が俺の望みだと言えば、君を持ち得るか?お前さえ信じれば、事実になる。」
「寒い...暖かい郁を抱っこしたい。」キツネの家が雪山にある。夜中に寒すぎで、夜月がよく寝られない。
結界が解けたせいで、もっともっと寒くなった。キツネは夜月が耐えないと思うだにしなかった。神獣や妖怪にとって、この程度はなんでもないから。
「月!!」夏目がついにキツネの家を見つけた。
夏目が倒れている夜月を見て、イライラした。夏目が冷えている夜月を抱えて、神力を伝えるべく、夜月の額にキスをした。実はキスするまでもなく、触るのたりとも神力を伝え得る。
相変わらず痛みと寒さしか夜月が何も感じなかった。何も知らなかった。
夜月が終に目覚めた。やつれる夏目の顔を見たところ、とても後悔した。
「月は執事じゃない!俺もぼっちゃんになりたくない。心配させてもいいし、我がままでもいいし、ただ消えるな!馬鹿。」夏目が自分の顔を覆った。
泣きじゃくる夏目の声を聞いたところ、夜月が涙を禁じ得なかった。
でも、同時に嬉しかった。
夜月「僕は何で今まで知らなかったか...愚かね。
夏兄さんは、僕が好き...僕が兄さんを愛するほど僕を愛している。ただ愛の成分が違うきりだ。これは寂しいことじゃない。
兄妹といい親といい恋人といい友達といい、この愛は純粋じゃなくて、どっちか簡単に噛み分けない。僕らの唯一無二の愛だ。」と思っている。
「ネ、兄さん。実は僕が魔獣だと疑ったことはないか?」夜月
「ないよ。俺が月の太陽のことだから、知ってる。ここにいるお前よりお前らしい人はない。
言っただろう。俺の月になるかわりに、俺がお前を守る。俺を信じろ!必ずお前を助けに行く!信じさえすれば、きっと間に合える。」夏目
「......」夜月が感動するといったらありはしない。
「俺も紅葉が俺たちを迎えに来ると信じる。」
「信じるよ。でも...最初から紅葉君と一緒に来ればいいじゃない?」夜月が突き込んだ。
「...突き込まないで」
二人も笑った。そして、紅葉が到着するまで待ってた。
「羨ましい...そんな感情を知りたい。君を笑わせる人になりたい。」
誰か二人を眺めている。
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夜月が一週ぶり内に帰った。郁がもう家の外で待っている。
「ただいま。」夜月が郁を撫でて、見回した。
「キツネは?」
郁が甘えるとばかりに、夜月を舐めて、後ろに向かった。
「キツネ?ここで何をしてるか?」
キツネが家の裏で睨んでいた。郁のせいでばれてしまった。
夜月がじっとしてるキツネへ歩いて行ってから、キツネを抱き締めた。
「ただいま。ご苦労様でした。僕のために、頑張ったね。
ありがとう、キツネは僕の一番最高の友達だよ!」
「...何で?責めないの?」
「見ろ!こいつが今幸せそうだろう。君の選択が正しい。」夏目
「そうよ!今度は僕がキツネの望みを叶わせよう。」
「いいの?」
「いいよ。言ってみろ。」夏目
キツネが迷っていたら、ついに言った。
「名前が欲しい...」赤面してしまった。
夜月がちょっと驚いた。キツネが「一緒に住んで欲しい」って言うと思いきや、これは意外な望みだ。
「僕がつけてもいいの?」夜月
「ウン...」
「雨が好き?」夜月が考えぬいて、何か思い当たった。
「嫌いじゃない。」
「セー.ウ、どう?」
「晴雨か。確か...」夏目
キツネがまだ反応できないうちに、夜月が話し続けた。
「僕が前に住んでいた世界にいろいろ言葉があるよ。その中で晴雨は狐の雨と呼ばれる言葉がある。狐の雨は、優しくて、癒される雨だよ。」
「君らしい雨だぞ。
その間に、俺たちも君の優しさを感じた。ありがとうね。」夏目
「晴雨、何時も来たがったら、来てくれる。待っている!」夜月
キツネはこの名前を気に入る。
そして、雨も好きになったそう。