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2.異世界

「誰を生きてる理由としないで、人が弱いから。」

.

.

.

.


彼女は少し意識が戻った。目の前が真っ白な景色からしてここが病院だと思っている。


「やはり夢だった。」


周りをよく見るところへ景色が突然に変わったわけだ。彼女の顔を嗅ぎかけの犬が誰を呼びに行った。



「先生ですか?」彼女が疑わしく問う。

「式神です。」

「ハ―イ?...アノ

 先生?私の頭が壊れないけど」

「俺は式神だけど...ちょっと待って下さい。」


袴を佩いている式神がこの和室から出た後で、彼女が犬をじろじろ見ている。


「君は夢中の犬か?」


「ただの夢じゃないよ。俺がこの世界について分かることを全部教えるから、心配しないで。」夏目が和室へ歩きながら、話している。



「この世界は現実で、本物だよ。本の世界やら異次元世界やら死後の世界やら封印の世界やらと呼ばれているが、一番に適う名はノゾミと思う。

この世界で切に祈るかぎり、欲しいものを得るわけだ。つまり具現化の能力だ。勿論形がない物を具現化できない、例えば他人の感情とか意志とかいくら祈っても干渉できないぞ。」


「......」

「分かるか?」


彼女は異世界より夏目の事をもっと知りたい。あの夏兄さんが目の前に喋るのだけ充分に彼女を感動させる。


「聞いているか?」


彼女は聞いてるかのようにぼーっと夏目を見ている。


「夏兄さんは死んだか?本来の世界で私の体がまだ完全に死ねないから、こっちの体が透明になるのでしょう?」彼女が真剣に問う。


夏目がちょっとびっくりした。


「平気だよ。」夏目が優しく彼女の頭に触っている。


頭に触れたところ、目頭が熱くなった。彼女は涙が出ないように我慢している。


「これが死後の世界じゃない。今お前が魂で現れるから透明になるしかない。この世界へ死んでから来る人もいるし、昏迷状態で来る人もいるし、来て帰る人もいるらしい...」


夏目がちょっと迷ってから話し続ける。


「俺は同じ名前の彼と約束したので、いろいろな方法を試しぬいて来た。」


夏目が彼女に最後の言葉は「泣くな、彼と会える方法を探しに行く。」と思い出した。その後で、夏目は外国で登山中に消息不明となった。あの時まだ夏目の恋人が自殺の噂が耳に入らなかった。



「夏兄さんと同じ世界で生きたい...ずっとここに留まれるか?」


「お前の望みなら、きっと叶えるよ。

 今日の授業は終わりました。お休み、妹ちゃん。」



夏目が和室から出た後で、犬は気持ちが分かり難い彼女に近寄った。そして、彼女が犬を抱き寄せた。


「わざわざ妹だと呼ばなくてもいいよ。」


「............

 愛はどっちの世界でも不合理的だ」


寂しいかな?愛しいかな?

誰が誰を哀れむかな?



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部屋外


「あの子に詳しい流れを知らせないか?」式神


「俺は失敗作だろう。そんな酷い流れを知らせるわけにはいかないよ。

 あの子が知ったら、俺のかわりに...


 そして、彼よりもっと悲しいはず


 ...というより彼に一番悲しんでほしい。」


「あの子の面倒をちゃんと見ろよ。それ以上守るものを増やさないことだな。」


「サ...一体誰が誰を見守っていることか?」夏目が空に月を見るようにどこ遠いところを見晴らしている。


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