【小ネタ】公爵令嬢の土づくりリターンズ
季節は秋。
堆肥作りはお嬢様らしさがなくて失敗してしまったけれど、次は大丈夫。これぞまさしくっていうお嬢様的土壌作りをしてみせるわ! これでお嬢様牧場主のスキルもゲットよ!
「庭の隅に落ち葉を集めてくれる?」
「落ち葉を?」
「ええ。山になるようにたくさん」
「かしこまりました」
「あとは――言わなくても分かるわね?」
「お任せください!」
ふふ。これが人を顎で使うまさに正真正銘のドお嬢様の牧場スローライフよ! これでふっかふかの腐葉土ゲットよ!
「お嬢様! 本日のおやつの準備ができました」
「ありがとう」
あら? 今日は庭に出るのね。秋薔薇を見ながらのアフタヌーンティーね。とてもエレガンスよ。よきかな。よきかな。
「さあ、お嬢様こちらです!」
山になった落ち葉が燃えていた。落ち葉焚き。何故?!
「甘いお芋が焼き上がっております!」
「焼きりんごもございますよ!」
「マシュマロもお焼きしますね!」
「ソウジャナイ……」
「さあ、心ゆくまでお召し上がりください!!」
とてもいい。キラキラの笑顔を向ける使用人たちに何も言えなかった。
「――イタダキマス……」
まあ、秋空の下。秋薔薇の見える庭で、至れり尽くせりで秋の味覚を堪能するのもスローライフっぽいかぁ。
「おいも、おいしい――」
そうして今日も彼女は我が道を行きながら流される。