じゅうろくわ
中間テスト。中学の時に比べて範囲も科目も増えてはいたけれど、まあ普段から授業を真面目に聞いて休み時間に予習復習をしていた僕にとってみればそれほど大した問題では無かった。強いて言えばテスト前の一週間は流石に桜井さんの家に遊びには行かなかった位だ。
とりあえず大体の科目でほぼ満点を取れたので満足していると、どうやら成績が貼り出されていたらしいという話を聞く。それでか分からないが朝から凄いとかおめでとうとか言われていたのか。休み時間に見に行ってみれば総合で2位であった。
まあ流石にこれで落第や追試などは関係ないと思って、ついでに桜井さんの名前も探してみる。上から探していって中々見つからず、最終的に見つかったのは折り返しを過ぎて更に最後尾まで半分以上進んだところであった。……最善でもいくつか赤点じゃないかコレ?
勉強出来ないのかななんて一瞬考えた後、もしかして僕の所為なのではと気が付いた。もし普段勉強に使っていた時間とかを僕がアニメやゲームに誘い続けていたのが原因でこんな事になってしまったのだとしたら、つまり悪いのは桜井さんの頭ではなく僕という訳だ。つまりこうなる。
桜井さんの成績が落ちたのは勉強が出来る時間がなかったのが原因で……それはゲームやアニメをしていたせいだから……つまり、僕が毎日誘い続けたせい……はっ! 全部僕のせいだ! ハハハハハッ! 桜井くん、全部僕のせいだ!フフッ。
流石に笑っている場合ではない。本人の目の前でやったら顔面殴られても当然なレベルだ。強いて救いをあげるとするなら、赤点を取ったからといって即退学だとかそこまでの厳しさは無い、という事か。進級に関しては追試の出来如何という事になるらしい。
つまりこのままでは桜井さんに「先輩!」と呼ばれることになるわけだ。…………煩悩退散! それは悪い考えだ! 悪魔の囁きだ! というか普通に考えてそうはならないだろ! 同い年で一緒のクラスだったのに先輩呼びを強要とか人格おかしいでしょ!
桜井さんが赤点を取ったのが僕の所為であるならば、償いをしなければなるまい! とりあえず勉強時間を確保するのは当然として、分からない所があるようならわかるまで教えなければ!
脳内桜井さんの上目遣い「先輩!」に耐えられるもののみ私に石を投げよ。