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じゅうさんわ

「さて、とりあえず「あ、安藤君!」」


 アニメにしようかゲームにしようか、それが問題だと切り出そうとした矢先に桜井さんが意を決したように声をあげる。その表情は先程までほわほわしていた時とは打って変わってどことなく真剣であり、萌え袖も相まって結局は桜井さんだった。つまり若干残念かなって感じ。


「さっきは本当にすみませんでした! こんな駄肉なんか押し付けた挙句に重いのにお、おおお姫様抱っこにゃんかで運ばせちゃって! 嫌でしたよね!」


 こいつは何を言っているんだ(定期)? まあ慣れつつあるこちらの常識というアレをフィルターにかけると、なんだろう、逸物を押し付けた挙句その相手に肩を貸してもらった的な感じだろうか? あー、控えめに言って犯罪じゃねってなるタイプのやつね、おっけおっけ。


「別に桜井さんは重くなんてないよ? むしろ軽かったくらいだし」

「いや、そんな事無いですよ! た、確かに背はちっちゃいけど、その、体重なんて平均より上ですしぃ……」


 その平均というのは果たして全女子学生の平均なのでしょうか? その言葉を口にすると何かを敵に回しそうであったが、どうせ桜井さんの事だし身長別の平均より重いとかそんな感じだろう。多分40キロ位だと思うし、むしろ軽すぎたりしない? 大丈夫? といった具合である。


「そ、それに、き、嫌われましたよね……」

「ナンデ?」

「そ、そりゃこんな胸なんかを押し付けちゃったわけですし……」

「どうしてそれが?」

「しかも助けてもらっておいてラッキースケベ堪能とか……」


 おっと話が脱線し始めたぞー? というかそのセリフは僕に効く。常識の違いという相手の無知を利用するタイプの吐き気を催す邪悪じゃん。これは認識の差を埋めなければ自己嫌悪とか羞恥心で申し訳が立たなくなるやつ! まあ無理だけど!


「嫌じゃなかったから! 嫌いになんかならないよ!」

「そ、そうは言いましても先程傷つけたのは事実でありまして、さ、裁判だけは勘弁していただけないかなぁと……」


 ええい、言葉では埒が明かぬと申すか。であれば諸刃の剣すぎて抜きたくなかったが荒療治も致し方なかろう。攻勢あるのみである。とりあえず手を取って意識をこちらに向けさせる。


「嫌だと思われたってどうして思ったの?」

「ふぇ、だ、だって普段と違ってあの時固まってたじゃないですか……」


 そら(女の子の胸が自分の身体に当たってたら)そう(いう反応も仕方ない)よ。しかしそういう事であれば、最速の解決策を閃いた。僕ってやはり天才なのでは? 嫌な事があった時はそれを上書きするのが一番、つまりこうよ。


「ほら、嫌だったらこんな事出来ないでしょ?」

「はわ!? はわわ!?!?!?」


 まあ流石に手を使って揉むとか、頭を突っ込むみたいな天才過ぎる発想は却下である。多分それは紙一枚の向こう側だ。故にハグ、微塵の隙も無い完璧な理論だと感心するがどこもおかしくないな。桜井さんも黄金の乳の塊を持つナイトであったか。


 やはりナイトは格が違った。僕も皮装備ではないのでナイトだ。つまりいつもの2倍。加えてハグの密着により圧力が3倍、更に桜井さんのぐるぐるおめめの回転を加えて! 一体何倍になるか分からんがとにかくくらえっ! 勝った! この戦い我々の勝利だ!


「という訳で、とりあえずアニメでも見ようか」

「ふ、ふわぁい」


 この後めちゃくちゃアニメ見た。

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