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旦那と過ごした15年  作者: しずく
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〜出会い〜

私と旦那が初めて出会ったのは大分昔。

今から約25年も前。中学校の入学式。

ブレザーにネクタイの中学校の制服は、ついこの間までランドセルを背負って半ズボンを履いていた私達にはかなり大人っぽい。そんな中で旦那こと鏑木春人はかなり、目を引いた。とにかく大人びていたからだと思う。

ブレザーとネクタイの姿が、まったく、違和感がなかったのだ。

入学して、暫くして、クラスに馴染んでくると、周りを良く見れるようになる。

友達も出来て、話をするようになってきた頃、世代なのかな?私達の時代はクラスメイトを名字で呼ぶのが当たり前だった。私は男子からは「桜井」と呼ばれていた。それが当たり前。なのに、鏑木だけは違っていた。

初会話の時、鏑木は「夏実」と呼び放ったのだ。

「・・・(絶句)」しかも廊下でだ。

クラス中、廊下中が一瞬・・・

『し〜ん』

としたのを今でも鮮明に覚えていたりする。

兎に角私は恥ずかしかったのだ。

そして、鏑木の第一印象は「無礼者」となった。


当時、仲の良かった友達の付き合いで、放課後に武道場へ行く機会が良くあった。

友達の想い人が、剣道部だったから。

そして、その剣道部にいたのが鏑木だった。

一年生にしては背が高く、スラっとして、ベニヤ板のように細い鏑木は道着もきっちり着ていた。

完璧に制服も道着も着こなしていたのだ。

そして、未来の妻となる私から見ても、よく目なしに、モテたのだ。

彼女もいたし、それなりに女子には優しく、強さも大人っぽさも、あったからだろう。

ちなみに、私は全く魅力は感じなかった(笑)

その鏑木が初会話から、ずっと、何故か私だけ「夏実」呼ばわり。他の女子は名字なのに。

私の中では増々「無礼者」感が増していった。

鏑木に名前で呼ばれるたびに周りがコソコソ話す。そんな時代だったから。私の恥ずかしさは大きくなるばかりだった。

忘れもしない、中学校1年生の最後の席替え。

誰と最後の時間を過ごすのか。

ワクワクしていたのを覚えてる。

くじ引きをして、一斉に席に座る。

・・・右斜め前の席が鏑木だったのだ。

マジか…。

と内心思っていると、鏑木がクルッと振り向き、

「夏実が後ろか!よろしくな!」

と言ったのだ。この時、

「もう、夏実呼ばわりでいいや…」

と私が諦めた瞬間だった。

そこから、それなりに席が近いこともあって、話もするし、鏑木春人と言う人物がわかってきた。

勉強は出来るのにしない。

部活命。体育命。

何故か給食はいつもパンか持ってこないか。(私達の時代は給食はなく、自分たちで御飯かパンだけを持っていき、学校が注文したおかずを食べるスタイル)食べるものが少ない。食べれるおかずの時は私のをあげたりもしていた。

といった感じ。

バレンタインデーに丁度重なり、義理チョコもあげたりもした。

当時は仲の良い男友達に沢山配っていたから。用は今の友チョコのようなものだったのだ。

風邪で鏑木が休んだときは、日直だった為先生に頼まれて、プリントや手紙を届けた時が一度だけあった。

初めて鏑木家に行った時の衝撃は忘れられない。

何この家…城?みたいな家だったのだ。


そのままの席で、修了式まで過ごし、クラス替えになった。

鏑木とは私が3組、鏑木が5組で、クラスが離れる事になり、たまに廊下で会うと相変わらず大きな声で

「夏実」

と呼びニカッと笑う。

こんな風にからかわれる存在のまま、卒業式になり、殆どクラスが離れた後は会話もなく、お別れとなった。


中学校を卒業して、そこから、22歳まで7年間、1度も、鏑木と会うことは無かった。


その間、鏑木に色んな事があった事を後から私は知ることになる。

その話の一部を聞いたとき、

「私でも、何か力になれないかな」

そう思ったのが、鏑木と付き合うきっかけとなったのだと今更ながらに思う。









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