ミノタウロスと超越者の道《オーバーロード》
あまり変わり映えしない道。赤い結晶が所々にあり、赤い道が続く。ここは迷宮13層。ここからはあのミノタウロスが出てくるそうだ。
あのと言ってもあまり覚えてないが。
俺達は迷宮を進む。進んでいるとズシン、ズシンと音が響く。その音を出している者は斧を片手に持ち筋骨隆々の体。顔は牛の魔物。ミノタウロスだ。ミノタウロスは今の俺達ではきつい相手だ。会わないようにする。迷宮の曲がり角に言ってしゃがみ見つかりにくくする。皆で集まりしゃがんでいるので少し暑い。汗が額からぽたぽたと落ちる。
ミノタウロスは斧を担ぎながら歩いている。ていうかそろそろ迷宮を出るか?もう13層まで進んだ。俺はパーティーメンバーを見るとライムとアイルとレイがやる気満々の顔だった。ラプソディは顔はとても不安そうな顔だった。
ラプソディの顔を見るとミノタウロスはとても強いらしい。ラプソディの顔がそう言っている。そろそろ迷宮から出るべきか。
「そろそろ帰るぞ。お前ら」
俺がそう言うとライム、アイル、レイが不満そうな顔をしていた……マジかよお前ら。
「そうじゃな。帰るかの」
ラプソディがそんなことを言った。いつもなら戦いたいとか言いそうだが前に戦って力がどれだけかを知ってるもんな。
ラプソディが同意したのを聞いてか、ライム達もヤル気が消えていく。……恐らく、あのラプソディが帰ると言ったので驚いたし、それだけミノタウロスが強いと思ったんだろう。
「帰りますか」
レイが少し残念そうに言った。お前ってそんなに戦う人ではなかっだろ!そう思いつつ見つからないように移動する。
移動していると足元に水溜まりがあった。あれ?前にはこんなの無かったのにな……そう思っているとライムが水溜まりを踏みピチャと音を立てた。その音は静かな迷宮に大きく響いた。その音を聞いてかズシンズシンと足音らしき音が速くなってこちらに迫ってくる。水溜まりを踏んだ音は試合開始のゴングに変わった。
その事に気づいた俺達は戦闘体制に移行した。
「やばい来るぞ!!!恐らくミノタウロスの足音だ!!!」
俺とライムは剣を抜き、構え。アイルは拳を握り、構える。レイは弓を構えた。
ズシンズシンと足音は大きくなる。姿を表したのはやはりミノタウロスだった。この迷宮で1番強いかもしれない魔物だ。俺達は油断なく構える。
ミノタウロスは俺を狙い斧を振るう。振るわれた斧は音を立て、風を切る。ミノタウロスの一撃は反応できるギリギリで俺の頬を薄く切った。切られた頬から血が出た。振るった隙を見て懐に入る。
「強撃」
技術を発動させ剣を振るいミノタウロスの腹を切る。がミノタウロスの腹の途中で止まった。
「クソッ!硬い!!!」
ミノタウロスの身体はとても切りにくく技術を発動させたのに剣が途中で止まってしまった。
ミノタウロスがそんな隙を逃す訳がなく、左拳を握り、振るう前に炎がミノタウロスの顔を襲った。
「ーーモォッ!」
声を出し、手で火を振り払う。その隙に剣を抜き距離を取る。
「ありがとうな、ラプソディ」
「どういたしましてなのじゃ」
炎を出したのはラプソディだ。ラプソディが助けてくらなかったら俺の顔は大変なことになっていた。
「大丈夫か、長谷川」
「あぁ、大丈夫だ、アイル。にしてもどうしたもんかねぇ。逃げれるか?」
「無理でしょ」
俺の言葉を容赦なく切るライム。まぁライムの言葉はあってると思う。剣で身体を切れなかったやつから競走?無理に決まってる。
「じゃあ、私とアイルがなんとか止めるので3人は頑張って攻撃して下さい」
レイがそう言ってきた。
俺はレイの作戦に乗ることにする。そしてただ攻撃してもあまり意味は無いだろうからあること2人に伝える。
「わかった。2人にかかってるから頼む。ライム、ラプソディ。ちょっと耳かせ」
「お、何か作戦でもあるのかの?」
「あるから耳かせと言ったんだよ!!!あと時間がねぇんだよ!速くしろ!」
「わかったのじゃ」
そう言って聞く体制になったラプソディとライム。
「〜〜〜〜〜」
2人に作戦を伝えた。2人には伝わったようでコクリと頷いた。ミノタウロスは消火が終わったようで斧を担ぎ歩いてくる。
「モォォォォォーーーー!!!」
雄叫びを上げ、斧を振るおうとするがミノタウロスの身体は動かなかった。
「糸!!!」
「水の渦!!!」
レイとアイルの能力によって動きが封じられていた。
しかしこの拘束はそんなに持たない。一撃でも多く叩き込む!!!
「「鉄拳」「竜の鉄拳」!!!」
「ーーーッ!」
ラプソディの渾身の一撃がミノタウロスの腹に当たる。
これで少しは肺から空気を出しだろ!
「苦しいけどごめんねぇ」
ライムがそう言いながらスライムになり、ミノタウロスの鼻と口を押さえる。
「ーーーッ!!!」
ミノタウロスは武器を手から離してスライムのライムを取ろうとする。今、ライムがスライムとなって口と鼻を閉じた。これでミノタウロスは呼吸が出来ないはず。窒息死させてもいいがその前にライムが剥がされる可能性がある。
「強撃、"一気"!!!」
俺は技術を発動させ、ミノタウロスの首を切ろうとする。
ミノタウロスにはさっき途中で剣が止まったが、今回は技術2回分を1回で放つ、"一気"を使った。これで実質強撃の威力は2倍近くなっているはず!!!
そう思いつつ振るわれた剣はミノタウロスの肉を断ち、ミノタウロスの首はスパっと切れて空中に飛び、魔石に変わった。
その後、ミノタウロスの魔石を回収して迷宮から無事に帰ることが出来た。




