第3層 迷宮の森
迷宮には戦う者の声が木霊する。
「竜の爪」
ラプソディの攻撃により魔物が魔石に変わる。
「オークは厄介じゃな」
「あぁ、槍で攻撃してくるし数も多いからな」
俺達は今第2層にいる。ここまでは能力持ちではなくても行ける所とされている。
ここから先の層は能力持ちじゃないと危険度が跳ね上がるらしい。気を引き締めなければならない。
魔石を回収完了する。
「よし、進むか」
「おう、早く行こうぜ」
アイルは拳を握りしめて言う。
「そうですね、私は早く帰りたいです」
レイは気乗りではないようだ。
「どんな奴らでも妾にかかれば余裕なのじゃ!!!」
「はいはい、そうですね(棒読み)」
「なんで棒読みなのじゃ!?」
「とりあえず進むよ」
ライムがため息を吐きながら言った。
俺達は進んでいると下に続く階段があった。
この階段を降りると第3層だ。この迷宮のダンジョン》では第3層からが本番と言われる。
「この階段を降りると本番だな」
「そうじゃな、なんじゃ長谷川、ビビってるんじゃないだろうな?」
俺はギクリとしたがビビってるのがバレないように声を出す。
「ビ、ビビってねーし!!!」
「声が震えておるぞ、バレバレなのじゃ」
ラプソディはプププと笑ってやがる。
「二人とも早く準備してよ、準備完了したら行くんだから」
ライムが俺達に準備を早くするように急かしてくる。
「はいはい、わかりましたよ。準備完了」
俺はライムに伝える。
「じゃあ行きましょう」
「あぁ、迷宮第3層へ!!!」
「おう!!!」
俺達は階段を降り始めた。
階段を降りると第3層に着いた。
階段の長さはそれほどでもなかったな。
……ここが第3層。
流石ファンタジー、意味不明。それが俺の最初の感想だった。
俺達はさっきまで青い壁、青い床、青い天井の所にいた。なのに階段を降りると、あら不思議。そこには木々が鬱蒼としている森があるではございませんか。
…………どういうことだ!?なんで木があるんだ!?日光が入ってきてるのか!?
……俺は考えるのを止めた。だって考えてもわかんないしな。
第3層は木々が鬱蒼としている森だと聞いていたけど言われてもぴんと来なかった。けど実際見ると受け止めるしかなさそうだ。なんでこんな所に森があるんだよ。
そんな疑問を押し殺して出てくる魔物を思い出す。
ここに出てくる魔物はワーウルフと言われる魔物だ。簡単に言えば人狼だ。上半身が狼で下半身が人間の魔物だ。
群れで生活をしてるらしく、群れで狩りをするらしい。
狩りの仕方は木々の陰に隠れ、高い身体能力で敵を翻弄し、鋭い爪で切り刻む。
実に恐ろしい奴らだ。もちろんワーウルフ以外にも魔物はいる。
そんな森を俺達は進んでいく。
「見えにくいな」
木の枝や葉っぱに視界が遮られる。
「ならば「竜の息吹」で焼き払うかの」
「ダメに決まってるだろ。森が燃えて俺達も燃えるわ」
「わかっとったわ。ジョークじゃジョーク」
ホントか?俺がラプソディを睨んでるとガサガサと音が聞こえる。
「なんだ!?」
俺達は臨戦態勢に移行する。
ガサガサと音が聞こえた方とは逆の方からワーウルフが飛び出してきた。
飛び出してきたワーウルフはレイに鋭い爪で攻撃をする。
「危ないのじゃ!!!」
ラプソディはレイの前に出てきてワーウルフの攻撃を受けた。
「ラプソディ!!!大丈夫か?」
俺は攻撃を受けたラプソディの名前を呼んだ。
「大丈夫じゃ、長谷川。心配しすぎじゃ」
ラプソディの言葉に俺は安心して息を吐く。
「にしても犬っころが竜の鱗に傷を付けれると思うとるとは調子に乗っておるのじゃな」
ラプソディの目が光っているような気がする。
「犬っころの爪と竜の爪!!!どちらが上か教えてやるのじゃ!!!」
ラプソディはそう言ってワーウルフに向かって走る。
「おい待て、ラプソディ!!!」
俺が待ったをかけようとしたけどその時にはもう走ってワーウルフに向かって行った。
「くらえ、犬っころ!!!「竜の爪!!!」
ラプソディが放った一撃はワーウルフを容易く葬って魔石に変えた。
「はっはっはっ。どうだ見たか!!!これがドラゴンの力だ!!!」
口から小さな炎を吐きながら叫ぶラプソディ。勝利の証と言わんとばかりにワーウルフの魔石を掲げている。
「落ち着けラプソディ。分かったから!!!ドラゴンの方が犬っころよりも強いってわかったから!!!」
「そうかそうか、長谷川がわかったか、ならばもう安心じゃな」
ラプソディの言い方に違和感を感じたので質問する。
「なぁ、何が安心したの?」
「それは、長谷川がドラゴンのことを強いって言ったのじゃぞ?あの長谷川がじゃぞ?ならば他の者はわかっておると思っての」
……こいつは俺の事を一体なんだと思っているんだ。
まぁ後で問い詰めるか。
「てか、ワーウルフは群れで狩りをするんじゃないのか?なんで一体だけなんだ?」
アイルは頷いた。
「確かにそうだな。……もしかして油断させているんじゃないのか。一体だけ行かして、その後油断した後に群れで攻撃するとか」
確かにありそうだな。さっきも音が聞こえた方とは逆の方から来たもんな。あれがたまたまとは思えない。
「ならば気を付けなければなりませんね」
「そうだね」
周りに気をつけながら俺達は森を進む。




