他人の奢りの飯はうめぇ
怒っていた。ああ、それはまさに怒髪、天を衝くと言った様子だ。
「酷くないですか!?忘れるなんて!!!パーティーでは影は薄いかも知れませんが、しかし今日活躍したのに忘れるなんて酷すぎます!!!」
現在怒っているのはレイだ。俺たちが話し合いをしていたら帰ってきたのだが、ラプソディがみんなが忘れていたことを話してしまい、レイはそれを聞き今に至る。
「皆さん酷いです」
レイは プンプンと効果音が聞こえそうな顔でそっぽを向いた。
これはダメだ。機嫌を取らなくてはいけない。
「おい、アイル」
俺はアイルを呼ぶ。
「なんだ長谷川?」
「レイの機嫌を取ってくれ。このまま不機嫌は不味い」
アイルはチラッとレイの顔を見る。
「……そうだけどさ、どうやってとるんだ?」
「俺に聞かれてもわかるわけないだろう。だからアイルを頼ったんだから」
アイルは腕を組んで考える。 ハッとして何か思いついたようだ。
「そうだ!ライムとラプソディの2人に頼るのはどうだ?」
「グッドアイディア!!!早速実行だ!」
俺とアイルはラプソディとライムを呼んだ。
「……という訳だ。あとは頼んだぞ!」
俺とアイルは2人から離れようとすると、ガシッと肩を掴まれた。 俺はラプソディに、アイルはライムに掴まれた。
「おい、長谷川!まさかなのじゃが妾たちに投げる気なのか?」
と言ったらラプソディの力が強くなる。
「おい、離せよ!服が破けるだろ!あとその質問だがさっき答えた。頼んだぞと……」
ラプソディの掴む力が強くなっていく。 肩がメキメキ言ってる気がする。痛いんだけど、すごい痛いんですけど!?
「痛たたた、痛てーよ!!!そろそろHA☆NA☆SE☆マジでやばいから!!!」
「大丈夫じゃ!きっとなんとかなるのじゃ!」
こいつ絶対根拠ねーだろ!
「大丈夫なら俺達は要らないだろ!だから離れようとしたのに肩を掴むなよ!?離せよー!」
俺たちが話していると。
「私を置いてなんの話をしているんですか?」
ドスの聞いた声が響いた。その声の主は黒いオーラを放っている。レイだ。レイが今まで見たことの無いような顔をしている。女性がしてはいけない顔をしている。
「落ち着けレイ!!!落ち着いて話し合おう!話せばわかる!!!」
俺は必死に声を上げる。
「そうやって私を1人にするんですね?」
「違う!!!とりあえず落ち着こう!」
やばい、レイが行ってはいけないゾーンに言ってる気がする。
「おーい、お待たせ!」
俺は声が聞こえた方を向く。そこに居たのは今回奢る約束をした、館長ことマリィだった。
「館長ー!待ってましたー!!!」
俺は大声で叫んだ。
*** *** ***
俺達は今、飯屋にいる。飯屋の名前は飯屋パル。なんでも館長のお気に入りだそうだ。店内は所狭しと客がいる。どれだけこの店が人気かすぐにわかる。
ちなみにレイはすーすーと寝息を立てている。あの後館長に説明して館長が魔法「眠りを与える」を唱えて眠らした。
俺達は席に座りレイを起こす。
「うん、ここは?」
目を擦りながら起きるレイ。 まだ寝ぼけていそうだ。
「ここは飯屋だ。さぁいっぱい食べるぞレイ!」
勢いで誤魔化す作戦だ。
「そうですね。いっぱい食べましょう」
ふぅ…よかった。
その後はいっぱい飯を食べて騒ぎまくった。ご飯で驚いたのが唐揚げがある事だ。唐揚げがとても美味しかった。しかしとても高かった。普段食べれる値段ではない。そして飯はどれもとても美味しかった。 しかし問題が起きた。その問題とは……
「マリィさん〜聞いてくださいよ〜仲間にね〜忘れなれたんですよ〜酷くないですか〜?」
レイが酒を飲んで酔っ払ってめんどくさい。そして、
「それは可哀想に〜よちよちしてあげますよ〜」
館長も酔っ払ってめんどくさい。マジ勘弁。ちなみにこのマッドの街がある国、ビカセでは飲酒は自己責任で年齢制限はないそうだ。
よって俺も飲んでいいのだが、俺は20歳になるまでは飲まないようにした。アイルは酒を少し飲んでダウンした。今は水を飲んでいる。ラプソディは俺が飲ませないようにしている。素でもやばいのに酒を飲ましたらどうなるか……わかったもんじゃない。ライムは飲んでいない。ライムも20歳になるまでは飲まないようにしているようだ。 んな事考えていたらレイが
「アイル〜水なんて飲まずに酒を飲みなさいよ〜」
アイルは酔っ払いに絡まれたようだ。頑張れアイル。
「そんなことよりレイよ、飲みすぎではないか?大丈夫か?明日は依頼に行くのだぞ?」
ヘラヘラしてレイが答える。
「大丈夫よ〜何とかなるよ〜」
それは大丈夫じゃない奴が答えるセリフだ。
「のう、長谷川。レイも酒を飲めと言っておるのじゃ、だから酒を妾にも飲ませ「ダメだ」なんでじゃ!!!妾はこう見えても15歳じゃぞ!なら大丈夫じゃ!」
謎理論を言われた気がするがダメなものはダメだ。
「いいか?ラプソディ。身長が低いうちは酒は飲まないようにした方がいいぞ。身長が伸びなくなるからな」
実際は 知らんけど!!!適当に言っとけば誤魔化せるでしょ!
「……そうなのか?じゃあ飲まないようにするかの」
疑ったようだが飲まないようにしたようだ。
「そろそろ帰りますね、お会計は頼みますよ」
「おっけ〜まかせて〜」
館長がそういったのを確認して、俺達は店を出た。
「え〜まだまだ飲もうよ〜」
レイが文句を言ってくる。がしかしさっさと帰るんだよ!
「うるさい!酔っ払い!さっさと帰るぞ!アイル、レイを担いで」
アイルは嫌そうな顔をしたがしぶしぶレイを担いだ。レイは抵抗したが抵抗も虚しく担がれている。アイルの脇に担がれているレイ。
「離せ〜、アイル。今ならセクハラで許そう」
レイが冤罪をかけようとしてくる。
「なぁ長谷川。こいつ担ぎたくないんだけど」
めっちゃ嫌そうな顔をしているアイル。どんだけ嫌なんだよ。前世だったら喜んで担ぐやつはいっぱいいただろうに。
「まぁ俺も仲間じゃなかったらそこら辺捨てていたんだけどね、仲間だからそいつ。だから頼むよ」
しぶしぶとした感じで返事をする。
「分かったよ」
そうして 俺達はレイを担ぎ馬小屋に向かった。
レイを横にしたらすぐに寝た。俺達も寝た。明日の依頼のために。
超越者の道の休日が思ったより長くなってしまった。




