超越者の道《オーバーロード》の休日
〜祝二十話〜
俺たちは今日は休日だ。
しかし休日だが日課をこなす。その日課とは朝の特訓だ。塵も積もれば山となる、この言葉のように少しずつでもいつかは山のようになる。なので今日も元気やる。
しかし昔のように今は1人ではない。俺たちが寝ているのは馬小屋だ。お金が無いため安く寝る事が出来る場所を探したらここに着いた。ちなみに1人一泊100マリス。5人いるため1日につき500マリス。一ヶ月を30日としたら一万五千マリスだ。馬小屋は安いがいいところでは無い。まず馬が糞をするのでそれを片付けなければならない。風呂もないしトイレももちろんない。他にもあるがここは割愛しよう。今、俺たちは一つの馬小屋に5人並んで寝ているのだ。
仲間を起こさないように物音を立てないように移動しようとするが俺の肩に手がかかる。ガシッと掴まれた肩の方をゆっくりと見ると、ボサボサの青い髪の毛が顔にかかっており中から黄色い瞳がこちらを見る。体の所々が青色の液体がかかっている。そんな怖い夢に出てきそうな光景を見た俺は叫び声をあげてしまった。ギャーーーと。 そんな俺に満足したのか、怖い夢に出てきそうな光景を作った張本人のライムが笑い声をあげる。
「あっはっはっ、長谷川面白すぎ〜、ギャーーってギャーーってあっはっはっお腹痛い」
ひーひー言いながらお腹を抑えるライム。あまりに笑いすぎて涙が出ている。 涙を拭きながら、
「いやーごめんね。思い着いてやったら思ってた以上の反応で面白くて」
「 この野郎、絶対いつかやり返してやる。覚えとけよ」
ライムは仕方ないなと言いたそうな態度で。
「はいはい。覚えておくよ」
こんなやり取りをしていたら、仲間たちが起きてきた。 しかしみんな不機嫌そうな顔をしている。 むくりと起きた、ラプソディが怒りに顔を染めて言ってきた。
「朝からうるさいのじゃ!!!」
ラプソディの言ってることはもっともだ。そして俺とライムは同時に言った。 ーすいませんでした。とー
そのあと30分くらいラプソディから説教された。正座をさせられて、俺は驚かされた被害者なのに。そんなこんなで俺の休日は始まった。
*** *** ***
「あーあ、朝から酷い目にあったぜ」
俺はテクテク歩きながら愚痴を言う。
「それはお主が悪いじゃろ、あんなに朝からうるさいのじゃからな」
ラプソディもテクテク歩きながら 横からラプソディが嫌味を言ってくる。
「そうだな。流石にもうちょっと遅くてもよかったのではないか?」
「そうですね、早すぎます」
レイとアイルも便乗してきた。
「はいはい、次は気をつけますよ」
俺が適当に避けると目的の場所に着いた。目的の場所とは図書館だ。
図書館に入ると俺以外のメンバーは驚き、おおっと声を漏らしている。俺たちが入ったのに気づき、声を出す人がいた。
「おーい、はーせーがーわーこっちこっち」
手を振り大きな声で言ってくるのはマリィだ。図書館の制服らしきものを着ており、メガネをかけている。髪は茶色のロングにウェーブがかかっている。
「はいはい、図書館では静かにしましょうね」
俺がそう言うと、はっ、しまった。と言わんばかりの顔をしている。コソコソと俺たちの方に近づいてきた。
「久しぶりですね、長谷川くん。そちらの方はどなたですか?」
館長はラプソディたちについて質問してきた。
「パーティーメンバーですよ、ちなみにパーティーネームは超越者の道です」
俺が質問に答えるとふむふむと言って自己紹介を始めた。
「はじめまして、超越者の道の皆さん。私の名前はマリィです。この図書館で館長を務めています」
おいおい、この人は誰だ。俺が知っている館長ではないぞ!俺のイメージでは火炎弾ぶっ放す人なのに!どうなっているんだ?まぁどうでもいいか。 館長の自己紹介に続くようにうちのメンバーも自己紹介を始める。
「妾の名前はラプソディじゃ、これでも能力持ちじゃ、よろしくなのじゃ」
「じゃあ、次は私がしよう。私の名前はライム。私も能力持ちだよ。よろしく」
「俺はアイルだ。俺も能力持ちだ。よろしく」
「私の名前はレイです。私も能力持ちです。よろしくお願いします」
「挨拶も終わったな?じゃあ、図書館をまわろうぜ」
そうして俺たちは図書館をまわり始めた。
う〜ん何かいい本はないかな?などと探していると気になるタイトルがあった。
「能力集?」
その本は図鑑見たいで、ページ数を見たが三百四十ページだった。表紙には能力集と大きく書かれている。パラパラとめくって見たところ音の能力やら音楽の能力やら様々な能力について書かれていた。
「う〜ん、自分以外の能力について知ってもな〜」
ほかの能力について知ってていいことなんてあるのか?いや、知ってて悪いことはないはずだけどな〜まぁいいか。俺は能力集を本棚にしまった。
俺が本を探していると聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「ちょっと落ち着くのじゃ!火球はまずいのじゃ、ここは図書館であろう?火なんて出したら燃えてしまうのじゃ!謝るから落ち着くのじゃ!」
どうやらラプソディが館長を怒らせたようだ。館長は前回よりも耐えてまだ火球を打ってない。
「おおっ長谷川!これはいいところに。実は館長が怒ってしまったのじゃ。だから「お断りします」長谷川〜〜〜薄情者。人でなし、ロリコン」
おっと酷い言われようだ。しかしロリコンは聞き捨てならんな。懲らしめようかな。
「そうかそうか、じゃあ頑張れよ。応援してるから」
そう言って立ち去ろうとした時に肩がガシッと掴まれた。
「なぁ長谷川。妾たちは仲間じゃろ。だからいつも一緒なのじゃ」
めっちゃ笑顔で言ってくるがこいつ、俺も巻き込む気かよ!
「えーい、離せーー!!!俺が助けてくれないからって巻き込んで言い訳ではないんだぞー!」
こいつの手を離そうとしてもめちゃくちゃ力強い。
「ハハッ、長谷川よ〜一緒に仲良く火球の餌食になろうじゃないか〜!」
クッソ、離れない。クソこのままだと俺もくらっちまう。どうすればいい?こうなったら館長を止めるしかないか。
「離せ、ラプソディ。俺が館長を止めてやるよ!だから離せ」
「わかったのじゃ、頑張るのじゃ長谷川」
ラプソディは俺から手を離す。よし、離れた。館長をどうやって止めるか、どうしよう。何もアイディアが出てきてないんだけど、まぁいい。力ずくで抑える。
「ラプソディ!2人で館長を抑えるぞ!」
「わかったのじゃ」
俺とラプソディは館長に向かって走り出す。
「…本…を…だい…じ…に…しや…がれ……火球…」 火球が館長の手から離れ、飛んでくる。
「!!!しまった、火球がきたぞ!」
どうする。どうすればいい、剣で切るか?できるのか?クソ、どうすれば…
「水の渦」
火球の前に水の渦が出てきた。火球はそのまま水の渦に飲まれていった。
「!!!」
この能力は!ばっと声が聞こえた方に見るとそこにはレイがいた。
「レイ、助かったぜ!!!」
大声で叫ぶ俺にレイは手を振る。
「大丈夫ですか〜?」
俺がレイに感謝をしていると館長が声をかけてきた。
「はっ、しまった。怪我はないかい?」
おいこら、何がしまっただ。こちとら危なかったぞ。
「すまない。大丈夫そうで何よりだ」
はぁーとため息を吐く。
「よくない。あー今起きたのを忘れるにはご飯おごってくれないかなー(棒)」
「はいはい、奢ればいいんでしょ」
「そうこなくては!」
俺は意気揚々といった。
「妾はいっぱい食べるのじゃ!だから金はいっぱい持ってくることじゃ!」
「今日はご馳走ですね」
「あれ、みんなどうしたの〜」
「どうしたんだ?」
ライムとアイルが来たようだ。今日のご飯はご馳走だと伝えよう。
「アイルとライム、今日は館長のおごりで飯が食えるぞ!」
「マジか!ナイス長谷川!」
「楽しみだ!」
「じゃあ、時間はいつにする?まだ仕事があるんだけど」
う〜んと考えて、
「じゃあ20時はどうだ?」
館長がうんと頷いて、
「いいよ、20時に中央広場に集合ね」
「わかった。しっかりおごれよ」
「わかってるから」
ラプソディが俺の服の袖を引っ張ってきた。
「なぁ長谷川、これからどうするのじゃ?」
「う〜ん、自由時間にするか、20時に中央広場にちゃんと集合しろよ」
「了解」
「わかったのじゃ」
「わかりました」
「わかったぜ」
「じゃあ解散!」
俺たちは図書館を出たのだった。




