ペトラ村からの依頼《クエスト》
俺たち超越者の道は今日も今日とて依頼に来ていた。
今日の依頼はツインタートルヘッドの討伐。ツインタートルヘッドは顔が二つある亀だ。亀といってもでかく、全長4メートルくらいはある。性格はおとなしいが農作物を食べるので村人がよく困るそうだ。そのため討伐依頼が出るようだ。
「はぁ〜ここまで遠かったのじゃ」
ため息を吐きつつ、愚痴を吐く、ラプソディ。
「そうだな。確かに遠かったな」
その愚痴に同意するアイル。
「ほんと遠すぎです」
さらに愚痴を言う、レイ。
「まじ、こんなの二度とごめんです」
またさらに愚痴を吐く、ライム。
「ほんとだな。次は馬車でこようか」
そして俺も愚痴に同意する。 そして俺の意見にラプソディが。
「……そういえば、馬車でこれば良かったのじゃないかの?そうすれば楽できたのではないかの?」
ラプソディはなぜ馬車ではなく、歩きで来たか疑問に思っているようだ。それに俺は答えよう。
「なぜ馬車を使ってないか、教えよう!!」
俺は意気揚々といった。
「なぜか教えるのじゃ!はやく教えるのじゃ!」
「はやく教えろ長谷川!」
ラプソディとライムがすごい気になるようだ。
「では教えよう!!!なぜ馬車を使ってないかというと〜〜〜お金がないからだ」
俺の言葉に2人はポカ〜〜〜ントしている。
「そういえばなんでこの依頼を受けたんでしたっけ」
レイが俺に疑問を投げかけてくる。
「それは報酬がいいからだ。一体討伐すれば依頼達成。そして二体目以降を倒しても追加報酬がもらえる。つまり倒した分だけ報酬が美味しくなるんだ」
「なるほど、それは確かに報酬が美味しいね」
レイは納得したように頷く。
「…にしても、いつまでポカ〜ントしているんだ。はやく行ってツインタートルヘッドを倒して依頼を終わらすぞ!」
俺はポカ〜ントしている、ラプソディとライムにいう。
はっとして戻ってきた2人はこちらに向かって走ってきた。
「待って〜長谷川〜」
「待つのじゃ長谷川〜」
2人は走ってきて俺に追いついてきた。
「はいはい、おいてかねーよ。そしてあと少しだぞ〜、頑張るぞ!」
ここいらで気合いを入れておく。
「おー!!!」
俺たちは気合いを入れて目的の村に向かった。
*** *** ***
俺たちは目的の村に着いた。村の名前はペトラ村。ツインタートルヘッドによって、農作物が食べられて困っているようだ。俺たちが村に入るといそいそと俺たちの前に人がきた。
「これはこれは、遠くまでご苦労さんです。確か、依頼を受けた、冒険者さんですよね?」
俺が前に出て、答える。
「はい、僕たちは依頼を受けた、冒険者で
パーティーネームは超越者の道です。リーダーの私は長谷川と申します」
と言って俺はお辞儀した。
「これは丁寧に。私はペトラ村の村長で名前はラルトリアと言います」
と言って村長もお辞儀してきた。
「ラルトリアさんですね、わかりました。とりあえず依頼の内容を確認したいのですが?」
「わかりました。ではこちらに」
そう言って、部屋に案内してくれた。
俺たちは案内された部屋にいる。そして全員が座ったのを確認してから俺が村長に質問する。
「では、依頼の確認です。依頼達成の内容はツインタートルヘッドの討伐。討伐数は一体ですね?」
村長は頷き、
「はい、そうです。ツインタートルヘッドを倒していただきたいのです」
しかし俺は疑問に思う、なぜ一体で依頼達成なのか?
ツインタートルヘッドについて俺は図書館で調べたのだ。ツインタートルヘッドの被害が出るところは少なくとも五体以上いなければ被害が出ないらしい。なぜ被害がでないかというと、数が少ないため、周りの食料がなくならいから。村の畑などに行き、農作物を食べる必要がないのだ。そしてツインタートルヘッドの被害が出ているならば一体ではなく、もっと討伐しなくてはいけないはずだ。
「なぜ、一体なのですか?ツインタートルヘッドの被害が出ているならばもっと討伐しなくてはならないのではないですか?」
「実はツインタートルヘッドの被害は出ていないのですよ」
「は」
俺が村長の言葉を聞き、ポカ〜ントしてると村長が続きを話す。
「今回依頼した理由はツインタートルヘッドの被害が出る前に少しでも倒せば被害が出ないのではと思いまして。なら一体でも倒してもらえればいいですし、さらに倒してもらえればさらに出にくくなると思いまして。ツインタートルヘッド一体なら依頼を依頼するのに安くすみますしね」
…なるほど。まだこの村はツインタートルヘッドの被害が出てないのか。そして被害が出る前に倒して数を減らして被害が出ないようにする。数が減ればいいので一体でもいいのか。大量にツインタートルヘッドを倒そうと依頼するのは金がかかるしな。
「わかりました。そして追加で倒した場合はどれほど追加報酬がもらえるのでしょうか?」
「一体で一万マリスです。あと依頼達成報酬は一万マリスです」
倒した数×一万か、素晴らしいな。100体倒せれば借金返せるぞ。
「わかりました。ではツインタートルヘッドが出る場所はどこでしょうか?」
俺は付近の地図を広げて村長に見せる。それを見た村長は指で場所を指す。
「確か、ここら辺です」
「わかりました。では行ってきます」
俺は地図をしまい、部屋から出て依頼達成のために向かう。
「ここら辺かな?」
俺たちは村長に指を指された場所に来ている。 場所は森の中だ。木々が鬱蒼と生い茂っている。ちなみに森の名前はシンゲの森というらしい。
「長谷川〜疲れたのじゃ」
ラプソディが舌を出して言ってくる。
「ドラゴンはそんなにしょぼいんだな。そう覚えておく」
そう言うとラプソディは舌を引っ込めて、
「ドラゴンがそんな軟弱なものではないのじゃ、覚えておくことじゃ」
「はいはい、わかりました」
そういえば、ラプソディはドラゴン好きだな。やっぱりドラゴン能力を持っているからかな。 そんなことを話していると、のっしのっしと歩いているのを見つけた。亀の頭が二つ。でかい甲羅が一つ。間違いない、あれがツインタートルヘッドだ。全長が4メートルくらいはありそうな体をしている。ツインタートルヘッドはまだ俺たちに気づいてないようだ。俺たちは急いで隠れる。
「まだツインタートルヘッドは気づいてないようだな」
「そうじゃの」
「そうだな」
「そうですね」
「そうだね」
「とりあえず、作戦を立てるぞ」
あんな亀の攻撃を食らったらやばいし甲羅に引き込まられても困る。なのですぐに確実に倒せるようにしたい。
「作戦?どんな作戦を立てるの?」
ラプソディが俺に聞いてくる。
「それを今から考えるんだよ。どうしようかな」
俺が考えるとみんなも考え始めた。するとラプソディが思い着いたらしい。
「思いついたのじゃ長谷川」
「どんな作戦だ」
「長谷川が囮になってる間に妾たちが倒すのじゃ!」
「却下」
「ひどいのじゃ!なぜダメなんじゃ」
ラプソディが俺に説明を求めてきた。
「いいか?あいつは硬い甲羅がある。あれに引きこもってしまったら面倒なんだ。囮をする前に引きこもってしまったら大変だぞ。だから却下」
ラプソディがむ〜と膨れているが無視だ無視。
「じゃあ、長谷川は作戦があるの?」
ライムが俺に聞いてくる。
「思い着いていたら話しているよ。そして今考えている」
「そうですか」
しばらく考えているとある作戦が思いついた。
「お前ら、作戦思いついたぞ」
そういうと皆が待ってましたと言ってきた。こいつら実は作戦なんか考えていなかったのでは?そう思ったが口には出さなかった。
「とりあえず話すぞ。作戦はこうだ」
作戦は単純。まず、レイの能力とアイルの能力で少しでも動きを封じて欲しい。レイは水の渦で、アイルは糸で、そして俺とラプソディが首をぶった切る。そしてそれでも倒せなかったらライムはそれの追い討ち係だ。どうだ、この作戦。
「うん、いいと思うよ」
「いいと思うのじゃ」
「いいと思いますよ」
「いいと思うぜ」
「じゃあ早速狩りますか」
ツインタートルヘッドを見つけた。作戦開始だ。まず、レイの水の渦で足を止めて、アイルは糸で首を止めて欲しい。
「水の渦!」
「糸」
ツインタートルヘッドは驚いた。抗おうとしたが、時はすでに遅い。足は渦に捉えられて動けない。首は糸で動けない。
「動くなよ、亀さんよ〜」
「動いてはダメですよ。今です!」
「行くぞ!ラプソディ!!!」
「わかったのじゃ」
ツインタートルヘッドは二つの頭はアイルの糸で動けない。足は渦に捉えられて動けない。俺は動けないツインタートルヘッドに向かって剣を出して、走った。 ラプソディはドラゴン能力を発動させている。
「強撃」
「竜の爪」
俺の剣はツインタートルヘッドの首を切り落とした。 そしてラプソディの爪はツインタートルヘッドの命を奪うのには十分すぎるほどの威力を出した。首を切られたツインタートルヘッドは魔石に変わった。
「私の出番は?」
ライムが聞いてきたが無視する。
「とりあえずこれで依頼達成だ。あとは追加報酬を頑張るぞ!!!」
「頑張るのじゃ」
「おう」
「頑張ります」
「待って聞いてよ!私の出番は!」
俺たちはそのあともがんばり合計10体のツインタートルヘッドを討伐した。最後の方は疲労でやばかったけどな。特にライトアイルが。しかしなんとかペトラ村に帰ることができた。 俺は村長な報告をしに行った。
「村長〜どこですか〜」
それが探すといそいそと出てきた。
「冒険者さん。ご無事でなにより。ところでどうでしたか?」
「ああ、ツインタートルヘッドは合計10体討伐したよ。これが証拠の魔石だ」
俺は魔石を出し村長に見せる。
「おお、これが魔石ですか。では確認しましたぞ。これで依頼達成ですな」
「ありがとうございます。では今日はここで一泊しますので、ではこれで」
「ごゆっくりしてください」
村長はお辞儀してきた。
昨日はしっかり休み、今日で村を出て、マッドの街に向かう。報酬は村を出る前にもらう予定だ。報酬は10万マリス。やったぜ。そう考えているうちに準備をしてもう、村を出る時間になった。
「冒険者さん、ありがとうございます。また、依頼を受けてくれるとありがたいです。報酬はこちらです」
じゃらといった、袋を村長からもらう。
「ありがとうございます。こちらこそ、よろしくお願いします。では」
挨拶をして俺たちは村を出た。
「はぁー終わったのじゃ。なぁ長谷川。マッドの街に帰ったら、帰った次の日は休みにしないかの?」
ラプソディは疲れた顔でいってくる。
「なぜだ。こちとら借金があるんだぞ!働いて早く返すんだよ!」
俺が力強くいうと、ライムが
「けど、働きすぎると体壊すよ。今日はレイとアイルが頑張って2人ともきつそうだし」
そう言ってレイとアイルの方を見ると疲れた顔をしていた。
「大丈夫だよ、長谷川」
「大丈夫ですよ、長谷川」
2人は元気そうに装うが絶対元気ではない。
「長谷川は少し、周りを見たら?レイとアイルの疲労に気がついてなかったでしょう?」
「まぁ、そうだね。少し周りに見るようにするよ」
「うん、頑張ってね」
ライムがエールを送ってくる。
俺ははぁーと息を吐く、そして、
「わかった。マッドの街に着いた、次の日は休みにしよう。ただし1日だけな」
「わかったのじゃ」
「おう」
「わかりました」
「わかったよ」
「じゃあさっさと帰るぞ!」
「おう!!!」
俺たちは少し早めにマッドの街に向かって歩いた。




