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作者: ren

漠然と、自分はまともな医者にはなれないと確信した2017年冬。


頭が悪くても、人より一年長く勉強すれば医学部には入れたし。その場しのぎの徹夜勉強と、気が狂いそうな本気の追い上げと、マニュアル通りの面接でどうにか卒業、就職まではなんとかなった。それでもーー。


その先に待っていたのは案外、どうしようもない未来だった。


彼氏無し、友達極少、家族との仲険悪。一人で遊びに行くのも億劫で、趣味も無い。ある意味時間が有り余って、休日でも勉強に勤しめるという最強の環境を持ってして。私はどうしようもなく泥沼に沈んでいた。


他人より頭が悪い。他人よりかなり不器用。要領の悪さとすぐパニックになる性格、極度の人見知り。


そんな自分と付き合いながら、今日ここまで行きてきた。それももう、限界なのか。


なかなか上手くならない手技と、ノロノロした事務作業。まとまらない判断と、自分一人では何も決められない間抜けさ。


成長していく同期たちを見ながら、漠然とした不安が確信に変わる。


患者さんに優しくしたいだけなら、医者である必要なんてない。


愛想を振りまくより、知識と技術を磨く方が良い。


そう思った瞬間、患者さんにありがとうと言われるのが辛くなった。


私が担当につくより、他の子がついた方がきっと良かったのに。


そんな思いが加速する。


おまえ、うちの科来いよ。


そう言われている同期を見ながら、一歩、一歩、誰もいない方へ後ずさり。


一番どうしようもないのは、こんな自分に嫌気がさして、来世はもうちょっと医者向きに生まれたいと思っている自分。


諦めきれない夢が、全てを絡め取っていく。



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