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迷門野球部  作者: 甲子園のソクラテス
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第4話 休み時間だぜ、ヒャッハー!

クラス中が僕に対してかなり引いていた。理由は明確にわかっている。僕は保健の教科書を朗読した。そのときにちょっとあれなワード達を読むときに、少し感情を込めすぎたからだ。いや客観的に見たら少しというか、全身全霊を込めて妙にエロく、それでいて表情はクールに、それはもうエロゲー声優顔負けのエロボイスで朗読したからだ。昔やってたエロティックなゲームの知識がここでいかされたというわけだ。まぁこれも哀れな女の子を助けるためにやったことだ。別に後悔はしていない。

そういえばこんなに引かれたのは僕が中2病をフル稼働していたとき以来だ。ちなみに中2病をフル稼働していたときに何をして引かれたかというと、女子トイレに間違えて入ってしまったのだ。いやいや、1つだけ言っておくが決してやましい気持ちからではない。ただ当時中2病だった僕は、女子トイレを表す赤いマークが血で書かれたものだと勘違いしていた為に、女子トイレへの突撃を余儀なくするはめとなったのだ。中2病の悲しい定めだ。まあ、誰も同情なんてしてくれなかったがな。おっと、話が脱線してしまった。脱線して喜ぶのは電車通学の学生くらいだ。話を戻そう。

僕は結果的にクラスメイトの評価が興味なしから、なにあいつキモくね?にグレードアップした。これでクラスメイトに名前を覚えもらえるはずだ。僕も有名人というわけだ。嬉しすぎて涙がでてくるよ。そういえばまだ読者の皆さんに自己紹介をしていなかったな。僕の名前は現実幻想(げんじつげんそう)だ。現実が名字で幻想が名前だ。名字と名前が正反対な感じの意味なんて、なかなかかっこいいだろ。そんなこんなで保健の授業は終わった。

そして休み時間になった。休み時間。そう、それは僕のような陰キャにとっては授業中以上に神経を使うデスタイム☆である。皆が皆グループをつくり、自分達が孤独ではないことを孤独者達に執拗にアピールしてくる。孤独者達もグループをつくれば良いのだが皆、人に話しかけれないという悲しい特性があるので、孤独者達は孤独者達のままなのである。ここで僕ら孤独者達がとるべき行動は2つある。その行動とは、携帯をもてあそぶか寝たふりをするかの2つである。僕は寝たふりを選択した。寝たふり発動!僕は寝たふりを開始した。あれ?デジャブか。さっきも同じようなことがあったような。まあこれで10分のデスタイム☆はやり過ごせそうだ。

「あ、あのー」

弱々しい女の子の声が聞こえた。うるさいな。おしゃべりならよそでやってくれ。

「あのー?」

今度は少し疑問に近い感情が混じった先程と同じ女の子の声が聞こえた。ここでふと思った。この声の主の女の子はまさかとは思うが、この陰キャの代名詞であるこの僕に話しかけてるのではないだろうか?いやそんなはずはない。勘違いして恥をかくまえに、寝たふりを続けよう。

「あ、あの、げっ、現実君!!!」

僕は顔をあげて声の主を見た。そして女の子のその弱々しいながらも精一杯出したであろう大きな声にクラス中が僕と女の子の方を向いた。その声の主は三条さんだった。彼女は自分の指と指をつんつんしながら、恥ずかしそうに顔を赤らめて僕の顔を見た。

「そ、その現実君。さっきはありがとう!。」

彼女は照れながらも、本当に嬉しそうな顔をしてそう言ってきた。僕は思わず顔がにやけてしまった。ちょっと前まで僕はクラスメイト全員にキモい認定されていて、完全に孤立していると思っていた。でもここにいるじゃないか。こんな僕に感謝してくれる、それもかわいい女の子が。僕は決して孤独なんかじゃなかった。僕は笑った。それも豪快にこれでもかと言わんばかりの大きな声で笑った。「えっ!?ど、どうしたの現実君?私なにかおかしなこと言ったかな・・・。」

三条さんが心配そうに言う。

「いや、何でもないよ。僕の名前は現実幻想だ!これからよろしく頼むよ。」

そして僕は唐突に自己紹介をした。自分の口が自分の意思に反して勝手に動いたのだ。

「え、えと。三条真奈(さんじょうまな)です。よ、よろしくお願いします。」

三条さんはペコリとお辞儀をしながら照れながら自己紹介をしてくれた。良くぞ動いた俺の口。でかしたぞ。女の子の名前ゲットだぜ!。はっはっは。ああ、高校生活もなかなか捨てたもんじゃないかもしれないな。こうしてデスタイム☆の休み時間がエンジェルタイム☆になって休み時間は終了した。

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