第18話 バイクの免許ほしいな
僕は今、西田先輩とジョージ先輩とともにバイクで街中を闊歩している。もっと正確に今の状況を述べるとすれば、西田先輩とジョージ先輩が二人乗りしているバイクの横にそっと取りつけられている小さい車のようなものに僕は乗っている。なんというか通りすがりの人の八割近くが僕らのことを二度見してくることから察すると、一般庶民から見ると僕らの今のスタイルだいぶ奇抜なものらしい。お、歩道のサラリーマン風の男の人が四度見ぐらいしてきたな。そんな目で見ないでくれよ。僕はあまり注目されるのは得意じゃないんだ。それにがん見されるといちいち反応してしまうチャラ男がバイクを運転してるからさ。ほらまただ。
「てめぇ何見とるねん?あぁっ?。」
「西田先輩、通行人が見てくるたびいちいちバイクとめて絡みにいくのそろそろやめてもらっていいですか?」
「バカ野郎、なめられたら終わりなんだよ野球部は!。」
控え目に言って意味がわからないな。ってまた通行人ががん見してきているな。超絶美人な女の人なのにかわいそうにな。運がなかったと思ってくれ。
「てててて、てめぇぇぇなに見てるんですかーーーー!。」
いやいやいや、どんだけ照れるんだよ。なんかほっぺも恋する乙女みたいに真っ赤になってるし、後半敬語になってるし。まあかなりの美人だったし、西田先輩といえど男だから照れて暴走してしまうのはしょうがないのかもしれない。とか思ってたら今度は明らかにやくざみたいな男が、がん見してきた。さあどうする西田先輩?。
「お、けんじじゃん。」
「あ、兄ちゃん。こんなとこでなにしてんの?。」
「後輩の為にひと肌脱いでるとこだぜ。紹介しようげんげん、俺の弟のけんじ(13)だ。」
いや弟かよ。てか13歳って嘘だろ。どの角度から見ても30歳くらいのやくざの幹部にしか見えないわ。そして西田先輩の弟?と別れて。またバイクを進めていく。またまた通行人ががん見してきた。今度はマッチ売りの少女だ。マッチ売りの少女!?。マッチ売りの少女が何故ここに!?。
「てめぇなに見とるねんこら?」
「あ、あのマッチを買ってくれませんか?。一本でもいいんです。じゃなきゃ私、お家に入れてもらえないんです・・・。」
「あ?。」
「ひぃっ!。」
「そいつは大変だ!。俺が今からお家に行って説得してきてやる。げんげん、ジョージ。ちょっと寄り道するぞ!。」
なんか西田先輩が昭和の熱血体育教師のように一瞬だが見えてしまった。まあ僕がなにを言っても西田先輩の意志を変えられる気がしないから寄り道につきあうことにしよう。
「僕の隣あいてるから座っていいよ。」
「え、あ、はい。」
とりあえず僕は優しく少女に僕の隣の席を案内してやった。なんか少女がすごいひいてる顔をしてたけど気のせいだよね!。そのまま僕たちはその少女に案内してもらいながら少女のお家へとバイクを進めていった。
少女に案内してもらった場所に着くと、お家らしきものはなくなぜか十数人のヤンキーに囲まれてしまった。僕がわけもわからずおろおろしていると、少女がサイドカーから降りてヤンキーの方へとすたこらさっさと行ってしまった。あ、なるほど。つまり少女の話は嘘だったということか。とりあえずこういう時に大事な事は現状を把握することだ。僕はヤンキーの一人に質問してみた。
「すいませーん、ここってどこらへんですかね?」
「見りゃわかんだろ俺らのアジトだよ。」
いやわかんねーよ。アジトってなんだよ中二臭いな。まぁそれは置いといて、気になることをもう一つ質問していこう。
「すいませーん、これから僕たちどうなっちゃうんですか?」
「ぼこぼこにして身ぐるみはがすんだよ。」
なんでそうなるんだよ。いまいちぼこぼこにされる理由がわからないので、マッチ売りの少女に目線ビームを送り詳しい説明を求めた。
「あんた達が大人しくマッチ買わないからよ。」
マッチ買わないだけでぼこぼこにされた挙句身ぐるみはがされるのか・・・。
「西田先輩、ジョージ先輩、どうしますか?。すきを見て逃げますか?。」
先輩達に聞いてみたら二人とも黙って顔を横にふって指をぱきぽき鳴らし始めた。二人とも指でもこってるのかな?。
「良く見て見なげんげん。」
「なんですかジョージ先輩?。」
「げんげんが言ってた茶髪ってあの子じゃない?。」
「あっ、あの野郎・・・!。」
運命というかなんというか、探し求めていた茶髪のクソ野郎を発見した。しょうがない、僕も一肌脱いでやるか。そしてそっと指を鳴らそうとした・・・、けど付き指しそうだったからやめておいた。まあなにはともあれ次回はバトル回になりそうだな。バトル回は細かい描写が必要になってくるから甲子園のソクラテス先生の腕の見せ所だな。それではみなさんまた来世。