第12話 「テスト期間中部活やっちゃいけないから、帰宅部は家帰れないやん。」とかくそ寒いことテスト期間の度に言ってくるやつは、早いこと成仏してくれないかな?。
説明しよう。僕(現実幻想)はヘッスラ高校の野球部に所属する平凡な男子高校生だ。強いて人と違うことをあげるとすれば、1人を除いてクラスメイトから絶縁されていることくらいかな!。そんな僕は唯一の友人であり妻候補でもある三条さんに別れを告げ、今日も今日とて野球部の部室に向かうのであった。
とまあ設定を説明したものの、野球部2日目の分際でさもずっと前から所属してたみたいな雰囲気を僕にかもし出させるあたり、作者も相当切羽詰まってるんだろうな。ちなみに作者は今、理想を求める旅に出てるらしい(日帰り)。詳しくは説明できないが、クリスマスがもうすぐだということが原因らしい。まあそんなことはどうでもいい。僕には関係のないことだ。
そして僕は部室に続く階段を一段ずつゆっくりと降りていった。扉に書かれた「地獄の入り口へようこそ」の文字。今考えてみれば西田先輩が悪ふざけで書いたものだと簡単に推測できる。2日目にしてだいぶ野球部に馴染んでるなあと、我ながら思いながら扉をあけて部室に入ると世紀末覇者とチャラ男がいた。
「お、げんげんよくきたな。」
ジョージ先輩が男の僕でもときめいてしまうかもしれない声で僕のことを歓迎する。見た目は褐色肌に金髪モヒカン。黒いサングラスに190センチ程度の身長。なのにイケボと言われる美しい声。よくよく考えたらいろんな意味ですごい先輩なのかもしれない。「どもです。」
僕はペコリとお辞儀をして荷物をとりあえず空いてる隅のスペースに置いた。
「で、今日は何するんですか?」
「うるせー、今読書中だぼけ。」
チャラ男こと西田先輩に一蹴された。そんなに僕の麻酔なし去勢手術を受けたいのだろうか。むかついたので僕は西田先輩の背後に回り込み、なにを読んでいるのか見ようとした。そこで僕の意識はとぎれた。
目が覚めると僕は学校のジャージを着て校庭に立っていた。目の前には西田先輩とジョージ先輩がたぶん野球のユニフォームと思われるものを着て立っている。いやいやおかしいだろ。一体意識がない間何があったんだ!?。そもそもなぜ意識がなくなったのか?。
「げんげん。」
西田先輩が話しかけてきた。
「世の中には知らない方がいいこともあるんだぜ・・・。」
僕の頭のなかは疑問でいっぱいになったが、これ以上詮索しても意味がないような気がしたので、この事は頭のなかで保留ということにした。
「よし、今日はキャッチボールをげんげんに教えよう。ジョージあれ持ってこい。」
「オーケー西田!」
ジョージ先輩は部室になにかを取りに行った。キャッチボールを教えると言っていたから、もしかしたらグローブを僕に貸すために取りに行ってくれているのかもしれない。何だかんだで優しい先輩達だな。ジョージ先輩が戻ってきた。でかいダンベルを持って戻ってきた。いやなんでだよ。キャッチボールするんじゃなかったのかよ。
「ちがうぞジョージ!。」
西田先輩が訂正する。
「でもよう西田、とりあえずダンベルでキャッチボールに使う筋肉を鍛えるっていうのは・・・。」
どんだけ筋肉重視なんだよ。ジョージ先輩は西田先輩にまたあれとってこいと言われしぶしぶ部室に戻っていった。
ジョージ先輩がまた戻ってきた。今度はなにも持ってきていない。
「西田・・・、あれってなんだ?」
根本的な質問をしてきた。
「あれって、コンドーさんに決まっているだろ。」
いや何で唐突にコンドーさんが出てくるんだよ。頭のなかウジ虫牧場なのかよ。
「ふっ、甘いなげんげん。ボールからボールを守るために決まっているだろ。」
ボールからボールってなんだよ。わかりにくい表現をするな。そして人の心を勝手に読むな。てかコンドーさんじゃ、バットは守れても双子のボールまでは守れないだろ。
「ジョージ先輩、グローブ貸してもらってもいいでしょうか?」
めんどくさいので普通に頼んだ。
「確かにそうだな、今取ってくるわ。」
ジョージ先輩はまたまた部室に戻っていった。
「のり悪いなーげんげん。」
西田先輩が拗ねた感じで言う。
「あまりにもくだらなかったので、のるのはご遠慮させていただきました。」
営業さんのごとく丁寧に返した。こう見えても僕は礼儀正しいのである。いただきますやごちそうさまはきちんと言っているし、さらに毎日おかずを提供してくださっている女優の方々にも日々感謝をして暮らしている。お、ジョージ先輩がまたまた戻ってきた。手ぶらだ。しかもなぜか哀愁ただようような表情をしている。
「西田、げんげん・・・。先生に校庭って許可もらわなきゃ使っちゃいけないって言われた・・・。」
いやいや許可取っとけよ・・・・・・。