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スポットライトがあたる。
全てを暴いてしまうかのような荒々しい光に晒される自分の体。
不思議なことに自分の体と認識出来るのに、痛いとも悲しいとも感じない。自分を戒めていた全てのものから解放されたような気分だった。
肉体を持たないというのはこんなにも自由なのか。
清々しい気分だった。何にも出来ないのに、何でも出来そうな万能感すらあった。
下を見ると自分の体だったものが見えた。
眺めていると、誰かが俺の側に駆け寄ってきた。
その人はただの物体になった俺に何か話してる。
ここからじゃ聞き取れない…。
俺はその人の顔が見える位置まで回り込んだ。
あぁ、◻︎◻︎さんだ…。
俺の名前を叫びながら、必死に繋ぎとめようとしている。
涙なんて出るはずないのに、視界が滲んだ。
そんなことしなくても、ここにいるよ。
嬉しくて可笑しくて自分が惨めで…。
確かにその時、頬に涙が流れるのを感じた。