1パート
再び蝶に乗り、ワープをするとその戦いのあとからずっと時間の経った同じ村に降り立った。
「これ、少なくとも数十年は経ってるぞ?」
「なんでわかるの?」
「前にここへ時、苗木だった木が今はきちんとした木になってるから。」
「なるほど。あの姉妹はいくつくらいになってるのかな。」
あの姉妹の家はすっかりなくなり、新しい家になっていた。
「あの子の家がない。」
「ちょっとあなた達。そこで何してるの?」
2人が驚いて振り返ると巫女の格好をした女性が怪しい物を見る目で見ていた。
「私ら怪しかった?」
「ええ。コソコソなんか話してたし。」
「ちょっと失礼。」
ヨモツは雄介を引っ張ってこそこそ声で話した。
「どうする?未来から来た人と別次元から来たなんて言っても絶対信じてもらえないよ。」
「そりゃそうだよな。あ!そうだ。」
雄介は何かを思い立ってその人のところへ行った。
「実は昔、ここで銀色の女性がラセツを倒したって話を聞いて、見学に。」
「あー、なるほど。そういうことね。しかし、そんな何十年も前の話どこから聞いたの?まぁいいや。見せたいものがある。」
その女性は二人を連れて歩き始めた。
「その人は般若と呼ばれた。」
「般若か。」
「女性の鬼。般若がラセツを倒したけどそのあと、よもや人類を襲うようになるとは予想していなかった。いつからか、女性の鬼である般若と呼ばれるようになった。」
「人類を襲うようになったのですか。」
「そう。一時期はすごくいい人だったのに何かが変わったのかそれが本性なのか。」
「あのー…」
「あ、わたしの名前はヒカリ。」
「ヒカリさんはどちらに向かっているんで?」
「ラセツと戦った村を見に行くんじゃないの?」
「あ、そうです。」
「ついたよ。」
ついたのはきりたった崖だった。
「ここが。」
「そう。みてごらん、この景色を。」
「村が、なくなってる。」
「般若がやったのですか?」
「噂としてはね。でも私は違うと思ってる。」
「噂は噂ですもんね。」
「それもあるけど、不思議なんだけどここに来ると苦しんでる声が聞こえるんだ。こんな仕事してるからかな。」
「巫女さんですね。」
「神や先祖の声を聞いて伝える。ここに、来ると般若が苦しんでる声が聞こえる気がするんだ。」
「感受性がすごく強いんですね。助けたいですか?」
「もちろん。でも私には力がなさすぎる。何かができるわけじゃない。不安なのはこの村はこうなってしまった。次に白羽の矢が立つのはもしかしたら…」
「ヒカリさんの村なのではということですね。」
「般若が苦しんでいるとはいえ、私も村がなくなるのは困る。」
雄介たちは崖に座るヒカリは不安げな表情をしていた。この人が初代の魔法少女ヒカリになるとわかった。
しかし、いよいよその時が訪れた。
村が鬼によって襲撃されたのだ。
逃げ出す村人、ヒカリも一緒に逃げることにした。
しかし、逃げ出す途中突然何かにとりつかれたように方向を変え、鬼へ向けて走りだした。
般若が歩いているとそこへヒカリは駆けつけ、大きな声を出した。
「般若!私の話を聞け!」
襲おうとした鬼を片手を上げて静止させ、般若は一歩前に出た。
「何のようだ。」
「何を苦しんでいるの?助けを求めているんじゃないの?」
般若の表情が曇った。
「何を言っている。」
「わかるんだ!苦しんでるんだよ。あなたは。心のどこかで助けを求めている!」
「うるさい!だまれ!」
魔法石を発光させ魔法少女に変身した。
「言わせておけば訳のわからないことを言いおって。くたばれ。」
銀色の魔法少女は腕から波動を放った。