2パート
「なに?じゃあ君はこの世界の住人じゃないのか!」
「そういうことでございます。私は別次元から来ましたの。」
「どうりで会話がかみあわないわけだ。」
「私はヨモツ。もう一つの次元からこの次元にやってきた。妹がラセツに捕まってる。ラセツからクレハを助けださなきゃ。」
「そのラセツは何が目的でここに来たんだ?侵略か?」
「般若がどうのって言ってた。多分この世界の般若が狙いなんだと思う。」
「そうか。なるほど。不思議なのはここの世界の般若は魔法少女にすでに倒されている。」
「般若が倒されているとは…ここの次元の般若って悪人なんだね。」
「そっちではいい人なのか?」
「いい人もなにもクレハが般若の力を得ている。」
「おっと。そうなのか。ということはラセツはクレハの般若の力を狙っていたから連れて行かれたのか。」
「そういうこと。クレハにほとんど般若の力は残っていない。魔法少女として戦うことはなんとか出来ていたけど。」
「般若も魔法少女だもんな。」
「あの子、最後に魔法少女としての全パワーを私のブレスに渡して気を失ってしまった…。」
「心配だな。まず何よりもそのラセツというやつを何とかするしかないな。そして君、魔法少女なのね。」
「この世界の般若も気になる。」
「倒されたからそこは大丈夫でしょ。」
「倒されたけどもしかしたら思念として残っているのかも。ラセツは思念としての般若を取り込んで強くなるのが狙いなんだと思う。」
「そういうこともあるのか。わかった。一応報告しようと思うけど言っては困ることとかある?」
「特にないよ。」
「さて、喫茶店にでも行こう。電話が長引きそうだからな。」
喫茶店に入るとヨモツは珍しそうにメニューを眺めていた。
「コーヒーでいいかな?」
「なんだかよくわからないけどそれにする。」
「ちと電話かけてくる。珈琲でも飲んで待っててくれ。」
「わかった。」
ヨモツはキョロキョロ見回しながらコーヒーというものが出てくるのを楽しみにしていた。
しばらくするとコーヒーが出てきた。驚くほど真っ黒だ。どんな味がするのだろう。おそるおそる口をつけた。
「にがーい。なんだこの飲み物は。こんなものの何がおいしいんだ。」
顔をしかめてカップを置いた。って、こんなことしてる場合ではない。はやくクレハを探しだして助けなければ。そう考えているところで雄介が帰ってきた。
「情報は伝えたから何があればすぐ連絡来るから大丈夫だ。」
「たよりになるわ。」
「それとラセツは般若を狙っているとしたら鬼に関連した事件に関わると思う。鬼の情報が入ればすぐに連絡来るよう頼んでおいたから。」
「たすかる。ありがとう。」
すると早速電話が来た。
「早いな。」
雄介が電話に出てしばらく会話した後、切ってヨモツに行った。
「予感的中。久しぶりに鬼が出た。何か手がかりがつかめるかもしれないし魔法少女の君も来てくれ。」
「わかった。」
二人は走って車に乗り込み、現場に駆けつけた。
鬼はヒョウ型の鬼で足が非常に速かった。
「あの鬼随分すばしっこいな。」
「私、行くね。」
「頼む。気をつけて。」
車から降りてヨモツは歩きながらブレスをかざし、魔法少女ヒカリに変身した。
足から頭の上まで全身をスーツが包んだ。そしてブレスから猫が飛び出した。しかし、紫だったはずのスーツは水色だった。
「ねぇハーブ?あんたさっきの戦いの時なんで出てこなかったわけ?しかもなんでスーツが水色なの?」
「あ、あの時取り込み中だったごめんね。あれホントだ。水色だ。なんでだろ。ちょっと失礼。」
ハーブは青い猫だった。ハーブはいきなりメガネをかけて百科事典を取り出し調べ始めた。
ヒョウ型の鬼は魔法少女ヒカリの元へ高速で走ってきて引っかこうとしたが魔法少女ヒカリはすぐに瞬間移動して、それをかわした。
魔法を使い瞬時にいくつかの次元のゲートを作りその中をくぐる事で瞬間移動に近いことをやってのけていた。
再び引っかこうとした鬼を再びかわし、背後にまわってステッキで殴った。
敵をふっ飛ばした魔法少女ヒカリの肩にハーブが乗って目を輝かせながら言った。
「わかったよ!マスクが割れるほどの大ダメージをおってしかも次元まで超えてしまったからか、今その姿は不完全な姿なのだ。だから水色になってしまった。」
「これ、なおるの?」
「わかりません!」
「自信もって言うな。」
「魔法力自体は問題なく使えるけど20分しか変身できないよ。」
「そんだけあれば十分。」
ヒョウ型の鬼は再び起き上がり、高速で向かってきたが次々と瞬間移動して翻弄した。
「さてそろそろ決めますか。」
魔法少女ヒカリはいよいよ魔法力を集中し、ステッキにためた。そしてすれ違いざまにヒョウ型の鬼にたたきつけた。
鬼はその場に倒れ、撃破された。
「おおー、すごい。」
雄介は車から降りてみていたが走ってきていった。
「何かあれば援護するつもりだったが必要なかったみたいだな。」
「こう見えても魔法少女だからねー。」
「そっちの魔法少女は呪文唱えないんだね。」
「そっちは唱えるんだ。」
「おお、そこのあなたいい質問をなされた。実はですね呪文を唱える唱えないというのには実は変身者が最初に無意識に決めていてですねー。これは実は潜在意識というのが関わっていて…」
ハーブが再び百科事典を開いて説明を始めた。
「長いから気にしなくていいよ。」
そういいながら変身をといてヨモツに戻った。
「これからどえらいことがはじまりそうだな。」
あるいていく後ろ姿を見て雄介はつぶやいた。