1パート
現在の世界に戻った時、ヨモツの計らいで飛んだ直後の時間に戻ってきた。
ずっとブレスの中でおとなしくしていたミントとハーブが肩の上に戻ってきた。
「いやはや、やっと出られる。」
「なんで出てこられなかったの?」
「過去の次元に飛んだところで過去の魔法少女に見つかると混乱して大変だからね。」
「なるほど。」
メガネをかけたハーブが百科事典片手に出てきていった。
「おかげでいろいろなことがわかりましたよ。」
「般若はかわいそうな理由で魔法少女オーガになったのね。」
「それだけじゃない。そもそも魔法少女なのに全身スーツなのはまず魔法少女ヒカリよりも先に生まれた銀色の魔法少女。あの子は鬼に憑依されて生まれたわけだ。腕や足だけ憑依されずに生身のままっておかしな話。魔法少女はそもそも憑依された姿だから全身スーツで、それをコピーしたから魔法少女ヒカリも全身スーツ。」
「なるほど。」
「おまけに、変身者の考えがかなり反映されるから呪文を唱えるのが好きな暁美ちゃんは呪文を唱えるパターンになった。イメージの問題なわけね。」
ミントがそこに付け加えた。
「割とメルヘンなのが好きなんですね暁美さん。」
書類をまとめていた暁美がくしゃみをした。
「まぁ、いずれにせよこの世界の般若を見つけ出してラセツを倒さないと。」
「なぁヨモツさん。」
「どうしたの?」
「般若を見つけ出してラセツを倒したら般若はどうしようと考えてる?」
「うーん。思念もろとも消し去るかなぁー。理由はどうあれ村を襲ったわけだし。」
「そうだよな。」
「なんか、浮かない顔だね。」
「本当に般若は悪人なのだろうか。般若はむしろ被害者だよな。」
「確かにね。でも死人はいなかったし被害がさほど大きくなかったからいいものの、村を襲ったのは事実。」
「しかし、般若がそうなるきっかけを作ったのも同じく人間だ。自分たち人間が般若を救う必要があるのではないか。」
ハーブやミントまでもおどろいて雄介を見た。
「あなた、般若に洗脳されたの?般若は鬼なんだよ。人間を襲ったのも事実だよ。」
「だが元は人間だ。鬼に力を借りたのも妹を守るために他に方法がなかったからだよな。」
そこでハーブが話しに入った。
「雄介くん、あなたの考えていることは正しいよ。そして美しい。相手も苦しんでいたことを知り、なんとかして救いたいと思うのはとても清らかなこと。」
ハーブは百科事典をたたみ、雄介の方をまっすぐ見ていった。
「でもね。般若を助けようとしてクレハが救えなかったり、被害を広げてしまったり、結果として悪いことを招いてしまっては意味がない。もう、この問題はあなただけの問題ではないの。そのことだけは考えておいてね。」
「わかった。」
ヨモツと肩のハーブが歩いているのを見ていた雄介にミントが話しかけた。
「僕も初代から見て来たけど君はもしかすると一番優しいのかもしれないね。」
「おかげで随分苦しみそうだ。」




