2パート
波動はヒカリに容赦なく降り注いだ。
腕で防ぐもののあっという間に限界が来てふっ飛ばされた。なおも続く波動。
ヒカリはその波動を今までの巫女として、神の声を伝えるときと同じように自らにその波動を取り込む事を考えた。
波動を受け止め、立ち上がった。般若の魔法少女の力を吸収した。
受け止めた腕に魔法石がやどり、腕を中心に全身を包み顔まで覆い尽くした。
「な…なんだと。」
魔法少女ヒカリはゆっくりと歩き出し銀色の魔法少女に接近した。
銀色の魔法少女の波動を打ち返した。
ジャンプをして接近。飛び蹴りをした。般若は手で受け止めようとするが耐えられず後方にふっとばされた。
「わけのわからないやつなのに。なぜこれほどの力を。」
「あなたの魔法少女としての力をコピーさせてもらった。」
「小ざかしい真似を。」
「名前からとって魔法少女、魔法少女ヒカリ!」
「村ともども消し飛べ。」
小さな羽を使って舞い上がり、急降下して飛び蹴りした。
魔法少女ヒカリもその技をコピーしていたため、右足に魔法力をためジャンプした。
空中でキック同士が激突し、両方ともふっ飛ばされた。
魔法少女ヒカリが立ち上がり言った。
「あなたを倒し、魔法少女としての力を抜き取る。そうすればあなたは鬼ではなくなる。人間に戻れるかもしれない。あなたを苦しみから解放したい。」
般若は枯れ草を握りしめた。
「解放…だと。私は妹といた頃は楽しかったんだ。鬼としての魔法少女になって、半永久的な寿命を手にしてしまった私は妹とずっといられた。楽しかった。でもね。やがて寿命が来て妹がなくなって、わたしを知る人たちが寿命が来てなくなったあと、村の人は私を気味悪がって村から追放したんだ!行くあてもなく歩いていた頃、拾ってくれたのが鬼たちだった。少し違うからと追放した人間、異種だと知りながら受け入れた鬼。本当に醜い鬼はどっちだ!」
銀色の魔法少女は立ち上がりながら更に続けた。
「解放だと。やっと見つけた居場所をまた奪うつもりなのか。人間はいつもそうだ。大事な居場所を平気で奪う。次は何を奪えば気が済むんだ!」
真っ黒な風が般若を包んだ。影が銀色の魔法少女の全身を包み、禍々しい黒色で覆った。まだ小さな羽は全身を包むほどの巨大な羽に変わり、黒く歪んだ色に変化した。後々魔法少女ヒカリを何度も苦しめる魔法少女オーガが誕生した。
魔法力を右足に込め、魔法少女ヒカリに飛び蹴りした。暗黒のエネルギーが吹き出し、魔法少女ヒカリもろとも包んだ。
猛烈な魔法力を食らい、魔法少女ヒカリはしばらく立てなかった。
「お前こそ魔法少女ヒカリから解放する。私の仲間になれ。」
ゆっくりと近づいていく魔法少女オーガだったが突如身動きが取れなくなった。
片方の羽に巫女の時に使っていた邪気を封印する石が突き立てられていた。
「貴様。余計なことを。」
その石から出た強力な力により魔法少女オーガはその姿を突き立てられた魔法石に吸収され、封印された。
魔法少女ヒカリは大ダメージを受けたがなんとか般若を封印した。
般若が安らかに眠れるようにとヒカリはそこに祠を立てた。腕の魔法石をそこに置いた。
戦いが終わったあとヒカリに雄介とヨモツが話しかけた。
「戦い、終わったんですね。」
「苦しいままだったんだよ。ものすごく苦しんでいた。私がしたことが正しかったかどうかも自信はない。」
「すくなくともまちがったことはしてないと思いますよ。ヒカリさんは。」
「ありがとう。どっちが醜い鬼か…だってさ。やんなっちゃうね。」
「ほんとですね。」
「ヒカリさん、いろいろとありがとうございました。」
「いえいえ。また何かあればぜひ。」
ヨモツたちは手を振り、いなくなった。
祈っていたヒカリはふといなくなった方角を見てつぶやいた。
「っていうかあの人ら何者だったんだ?」




