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キズ

「やるから。お前を幸せにするから。」

その言葉を信じて、ここまで歩いてきた。

君の本当の心を知りたい。そこに私はあるの?

「俺にしかできないことがある。 きっと。」

その言葉を想って、私は君を励ました。

多分そうだろうと。 他人に馬鹿にされたとしても。

「騙されてる。 いいようにされてるだけ。」

そんなことを何回も言われた。 自分でも気付いていた。

うっすらとだけど、求めたところで……。


でも、私は君を好きになって、

『君と過ごしたい』と思うことができた。

だから、私は期待した。 君の言葉に期待した。

いつからすれ違っていたのか?これが私たちの限界なのか?

「世界に一人だけのお前に惚れた」

「お前を愛すために、今の苦労は仕方がない」

けど、その苦労はいつ終わるの?

むしろ、苦労しているのは君よりも私の方。

君が成長してくれているのなら、私はそれでいい。

けど、前に進もうとしない君。私としては嬉しくない。

実際、去年や一昨年と比べて、状況は何も変わってない。

むしろ、私たちの関係は日を増すごとに悪化するばかり。


無視なんてしたくない。君と笑っていたい。

だけど、甘やかしてはダメ。 君のためにも、私のためにも。

そう思って、この1年は本当に辛い思いをした。

逢いたくて家に行っても、片付けのされていない部屋。

私が掃除をすると、君は嫌そうな顔をしながら、

「俺は大丈夫だから。」「お前は待ってろよ。」

「お前に心配されるような俺じゃねぇよ。 だから……」

そう言うよね。 けど、私はたくさん待ったと思う。


私が結婚資金を貯められない理由を知ってる?

半分ずつ出すって約束したよね?来年にはって約束したよね?

でも、あれから4年も経ってるのが現実なの。

君にとっては、時間があるかもしれないけれど、

私にとっては、もう限界が近いの。

私が死ねば、君を心配してくれる人はいないよ?

どんどん離れていった君の友達。

最初は私と一緒に応援してくれてた。君の夢のこと。

だけど、次第に君の周りには…… 私しかいなくなってしまった。

それでも私は好きだったから一緒にいた。

それでも私は君を応援した。 本当の意味で一緒になりたかったから。


でも、私たちにはこれが限界。 そう気付かされた。

神様も、あと半年しか君といることを許してくれないらしい。

今は好きというより、『離れられない』というのか、

気になって、心配で、私が見捨ててしまうとって思いの方が強い。

今、私が君の傍にいることをやめたら、君はどうなってしまうの?

夢はもういいの。 私のことはどうでもよくなるから。

だから、せめて昔の輝いていたころの君を取り戻してほしい。



夢を追いかけるよりもしてほしいことがたくさんある。


その一つとして、私だけを見て欲しい。

この傷を埋め尽くすような愛を、君から貰いたい。

できれば、私という存在を目に焼き付けておいてほしい。



「好き」って、最近言ってなかったよね。

それもできれば、いっぱい言いたい。

でも、言わなくたってわかるよね?

薄れつつはあるけれど、この気持ちは今も変わらずにある。

そして、きっと、これからも永遠にそれは変わらないと思うから。








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