友達からの…
――友達からの恋愛なんて成立しない。
昔の俺なら、そうやって適当なことを言っていただろう。
けれど、最近になって気が付いた。
愛おしいとか、「好き」の気持ちが離れないとか、
そんな恋愛感情だけじゃなく、「おちつく」ってのがあることを。
俺は君といると、素の自分でいられる。
仲の良い恋人にも、少なからずは気を使う。
それはお互いが大切だからこそするんだと思う。
でも、その関係を越えることさえできれば、
そこにあって当たり前で、自分自身かのように錯覚することさえある。
そんな関係が、俺は存在すると気が付いた。 そう思うことができた。
大切っていう気持ちは、その前後では変わらない。
けれど、心の距離感というのか、君という人間への向き合い方が、
今までとこれからじゃ、全く違うように感じるんだ。
それはまるで別世界に来たかのよう。
君は空気のようにそこにあって当たり前で、
きっと、たぶん、俺はそれがなきゃ生きていけないんだろう……
壊れちまうんだろうって、そんな風に思うようになったんだ。
だから、友達からの恋愛だってあると思う。
それはなんとなくとかから始まるものではなく、
「君じゃなきゃ、俺を保てない」ってくらい狂った感情を持たなければ、
君という存在を大切だと思う以上に、大切にすることなんてできない。
だから、俺はこんな感情を持って君に伝える。
「この関係が壊れてもいい」
「この関係を壊してでも、もっと君の深みへ入りたい」
「俺は君じゃなきゃダメだから」「俺自身が壊れちまうから」
「だから、君という支えが欲しい」「俺にはお前しかいない」
「今まで以上に傍にいてくれ」「俺の心が君を求めているんだ……」