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遠くに感じた風
君と別れてから、ずいぶん経った。
あれから、何人かの女と付き合った。
だけど、どれも長続きすることはなくて、
いつも思い出すのは君の横顔。
この顔を見られるのは、彼氏である証。
俺だけの特権だと思っていたが、それは事実で、
別れた今となっては、横から君を見ることはない。
好きだった。 好きだったらから、隣に居たかった。
今も想いは変わらない。すれ違い、今に至るわけだけど、
街で見かける誰かと君を見間違えては、がっかりする毎日。
……本気で君を忘れることなんてできない。
薄れていく記憶。それとともに、深まる君への愛。
傍にいられないからこそ、どんどんと高まっていく君への想い。
強がりだとよく言われるけど、実際はただの寂しがりなんだ。
今すぐにぎゅっと抱きしめたい。むしろ、抱きしめてほしい。
君の口から、もう一度だけでもいい。 「好き」って言葉が聞きたい。
欲張りなのはわかってる。 自分勝手なのはわかってる。
だけど、他の女を見て、君とダブらせるのだけは、もう嫌なんだ。
記憶が君を求めてる。君以外、君になれる人間はいないんだと……