炎の色香
艶めく色は炎の色香と想える程に狂おしく、二人は交わり、恋い願う。されど終演は唐突に訪れる。
それはかつて見たことの無い、巫女の姿だった。冷厳として幻、振るわれる呪は、氷の炎の様、全ての妖異をその手に下して来た。その姿は神々しく、夢、幻の様をみるかのよう。
その頬は疲れのためかそれとも別の色か、朱に染まり、肩であえぐ、彼の者が色づくなどそれはあってはならぬ事態であった。
緻密に計算された隔夜の結界がその心を映して揺らぐ、それを見逃す鬼では無かった。豪と振るわれる腕がたおやかなる巫女の躯を弾く、とっさに張った結界は辛うじて巫女を護っていた。禍炎の炎が鬼を焼かんと果敢に打たれるが、効いた風も無い。
鬼が彼女たちを捉える。それは、刹那、永劫と思える時を現出し、そしてその重圧は不意に消える。己を制する力を無くした者に興味など無いという様に。
その巫女達の側を鬼は無人の野を行くがごとく通り抜ける。叫ばれる咆吼は未だ満たされぬ力への渇望か、それとも己を満たすかも思えた別の熱情か、鬼は未だ満たされず。
去りゆく鬼の背に注がれる視線は熱く燃ゆる。彼の者の瞳に、もはや彼女の姿は映らず。路傍の石と同じ扱いに彼女の心は千々に揺れる。
禍炎は己の無力さにうち震え、隔夜は己が信望する巫女の色に戸惑う。
それが二度目の逢瀬




