月灯りに啼く
半身を失くした鬼が地に倒れ伏し、その半身を己と鬼の血で朱に染めた巫女が歩み寄る。瀟々と瀟々と鬼の啼く、末期に巫女の姿を、臭いを、その瞳に焼き付け鬼が逝く
悄然と巫女は立ちすくむ、とくとくと流れ落ちる己が血潮にも頓着せず、立ち枯れたかのように、桜は微動だにせぬ。
飢!! 満たされた時はあまりに短く、そうして二度とは満たされはせぬ。
そろり、そろりとその身に傷を負った術者が集まり、怪異を滅する力を集め始める。断縁の炎が、昇華の呪力が倒れ伏した鬼に集う。
触れさせぬ!! 内なる巫女の声は、呪力の乱流となって、傷ついた術者を打ち据える。
渇!! その心の渇きは桜を狂わせる。
禍炎の炎が巫女に向かい、その炎を隔夜が隔絶する。
触れさせぬ!! 毛筋の一本たりとも余人には触れさせぬ!!
妄執とともに流れ落ちる巫女の血潮は鬼と混じり合い、失われた半身同士、固く強く結びつき、ようよう二人は一つとなる。
渇!! 鬼をその身の裡に取り込み、二度と逢えぬと知った心の渇きは、巫女の心を黒く染めあげる。
びょうと吹きすさぶ砂塵の中、そうして顕れ出でたるは、月灯りに啼く独りの鬼女
一度、逢うて、二度、逢うて、三度目の逢瀬は恋となりまする。
情に狂いて、恋に咲き乱れ、女は鬼と成り果てる。
それが鬼女の始まりの物語
言いたいこと、やりたいことは作品中でやり尽くすのであとがきつーのが、無駄な気もするんですが、とりあえずは、妖異恋 Part2をここにお送りします。その後 鬼女と成り果てた巫女ががどうなったのかは、ご想像にお任せ致します。作者としてこの物語の結末はこれでおしまいです。月夜に啼く鬼の話をどこかで聞くかもしれませんが、それは、また別の物語。では、感想、評価お待ちしております。




