シャルルと
「会長もやってくれたわね」
「……寒い」
「お風呂で暖まろ?」
「うん」
着替えを待ち、浴室に向かう2人。
「珍しい組み合わせだね」
「たまたまよ」
和緒が声をかけシャルルが答える。
「今なら大浴場貸切よ?」
「……それ、良い」
「混んでると思ったんだけどなぁ」
「これから混むわよ? 会長が放水やってくれたから。無駄話してるより早く行きなさい」
「……分かった」
「じゃあまたね」
「早く行きなさいって。風邪ひくわよ」
「……暖かい」
「大浴場はやっぱり開放感が違うわー」
因みに大浴場は男女別に建物の中にある。
「リオー? なんでそんな端っこに居るの?」
「……傷跡見られたくない」
リオはシャルルに背中を向けたまま肩まで湯船に浸かっている。
「でもさー、女同士で貸し切りだよ? 和緒が上手くやってくれて私たちが出るまで誰も来ないし」
「……え? 何で?」
「なんか、ボイラー室にトラブル有ったって事にしてあるって。んで建前上は和緒が直してる」
「……気を遣わせた?」
「かもね。今はテスト運転って事みたい。和緒は随分リオの事気に入っているみたいだし」
「……何でだろ?」
「和緒は身寄りがないのよ。結婚もしないって言ってるしね。だからかな、リオを見つけた時からずっと前にはなれた家族みたいだって言ってたから」
「……家族? 私が?」
「和緒ってね、厳しいように見えても甘いのよ。いや、寂しいかな。自分が寂しい思いをしてきたから、それを誰にも味あわせたくない。できる範囲で手を差し伸べるって」
「強いね」
「捕まえた」
シャルルは話しながらリオとの距離を詰めていた。
「ふにゃあ!?」
「それにね、傷跡は闘った証。恥じることはないよ。自分だけの証。汚される事の無い、ね」
「ありがとう」