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気持ち想像シリーズ

シャーペンの気持ち

作者: 峰崎 愁莉

気持ち想像シリーズ第2話。

今回はシャーペンです。

本体「今日も元気にいくぞー!」

芯 『ラジャー!』


「俺らは一心同体!」

『一心同体!』

「みんながいなきゃぁ書けないぜ!」

『書けないぜ!』

「ずっと一緒の俺たちだ!」

『俺たちだ!』



保志野「ねぇねぇ」

桐戸 「なに?」

   「ペン回しできる?」

   「当たり前だろ。やってやるよ」



「やべぇ、回されるぞ!」

『1「怖いよぉー」2「ヤバイヤバイ!」3「大変だぁー!」4「うわぁぁぁ!」』

「落ち着け!落ち着くんだ!俺たちにはどうにもできねえ。心の準備しとけ!」

『コ・・・コロ・・・ノ・・・ジュン・・・ビ・・・』



((キュィィィィィィン。(芯の心準備発動)



   「早くやって!!」

   「はいはい、いいか、お前。これからやるペン回しを、目に焼き付けておくんだぞ」

   「うーん、焼き付けるのは痛いからやだけど、まぁしっかり見ておく・・」

   「いっくぞー!」



((クルクルクルッ。



本&芯『うぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!』


「っ・・・こいつ・・・プロってやがる。 いつまでも回し続けるぞ・・・」

『1「痛いー!」3「ちょっ・・ぶつかるなよっ!」2「しょうがない・・だ・・・ろ」

 4「大丈夫!?」5「桐戸許さーん!」6「やめてぇぇぇぇ!」』

「もう少し我慢するんだっ!」

『モウ・・・ス・・・コシ』(芯の我慢発動)

「あぁ、もう少し。 だからがんばれ!」



((ピタッ。



桐戸 「どうだっ」

保志野「あ・・うん、すごいわね」

   「まぁ、このぐらい当たり前だしな」

   「当たり前なの!?」

   「あぁ、お前もできるだろ?」

   「で・・できないことは・・ない・・ケド・・」

   「じゃぁやってみろよ」

   「や・・やってやるわよ! 見ててよ!」



「おい、だめだ! コイツは成功したためしが1度もねぇ!気をつけろ、落とされるぞっ!」

『落とされる!?』

「おい、今、芯の飛び出てるヤツはいるか?」

1「ぼ・・・僕です・・・」

「残念だが、体が欠ける。 痛いけど、我慢するんだ」

1「欠けるなんてやだよぉ! 書かれてへこんでいった方がいいよぉ!

   助けてくれよ兄貴ぃぃ!!」

「悪いな。 俺はどうしようもできねぇんだ・・・。何もできねぇ・・・」

1「・・・兄貴ぃぃ・・・」

「悪い、守ってやれなくて。 頑張るんだぞ」

1「う・・・うん」

「折れずに帰ってきたら、誉めてやる! みんなで祝うぞ!」

『もちろんさ! だから怖がらずに頑張れ!』

1「ありがとう・・・僕・・・耐えるよ」



   「せーのっ」



((クルクルッ…バタッ…



本&芯『芯1~!!!!!』

「芯1、大丈夫か!?」

『大丈夫か!?』

1「へへへ・・・やっぱり・・・痛いや・・・」

「おい、お前、あと体はどのくらい残ってる!?」

1「たったの3センチです。僕、もう・・・無理かも・・・」

「やっぱ、あの衝撃には耐えられないか…」



桐戸 「できねーじゃんか(笑)」

保志野「う・・・うるさいな。いつもならできるんだよ!」

   「できなかったくせに」

   「うるさいってば!」

   「もっかい練習してこいよ~」

   「んもぅ!練習中だっての・・」



・・・・・・・・・



保志野「あーあ、芯折れちゃった」



((カチカチ。



「あ、コラ、やめろ、芯1を落とした手で俺の頭を押すんじゃねぇ」



保志野「ありゃりゃ、この芯もう短かいやぁ」



『お前が落として折ったんだろ!』



保志野「捨てるかー」



本&芯『俺らの大切な芯1を無駄にするんじゃねぇぇ!!』

1「もういいよ。この仲間と一緒にいられてよかった。

   芯の仲間。 そして、兄貴。 そして、このシャーペンの主さん。

   この仲間に出会えたのは奇跡だよ。 最後まで、僕のことを思ってくれて

   どうもありがとう」

「おい、あきらめるな! 絶対に芯1を無駄にさせない!

  残り1センチぐらいになるまでお前を生き残らせる。

  芯たち! 働け!」

『ラジャー!』(芯の大移動)



保志野「・・あれ?やば、芯つまっちゃったかも?あーあ、めんどくさいなぁ・・」



1「みんな・・・」

「狭いだろうな(笑)」

『当たり前ですよっ!』

「悪い悪い(笑)」

1「兄貴・・大丈夫ですか・・?」

「あぁ、俺は全然平気だ。 なんとなく『便秘』になった気分だがな」

『プッ(笑)』

「笑うんじゃねぇ!」



保志野「・・だぁー!!」



本&芯『!?』



保志野「めんどくさいのやだー! 勉強並にいやだー! カッター!!」



((バタバタ ドタンドタン))



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



保志野「そうやってカッターは私を無視するんだ!! もういいもん!! ふんっ!!」

桐戸 「うるせーよ! なんなんだよ! どうしたんだよ!」

   「シャーペンの芯つまったぁぁぁー!!」

   「それだけで大袈裟に呼ぶな!!」

   「カッター・・なおして・・・このシャーペンを・・」

   「わかったから・・ ほら、貸して」



『兄貴・・・もしかして・・』

「いや、もしかしてじゃない。 本当におきるぞ」

『兄貴ぃ!!』

「・・・ただ分解されるだけさ」

1「それって、芯が折れることよりも痛いんじゃ・・・」

「俺は兄貴だ。 みんなの上にいなければならない。兄というのはそういうものだ」

1「・・それと似たようなこと、前どこかで聞きましたよ」

「気にするな」

『・・・はい (気にしちゃうよ)』



「俺は、みんなの兄貴だ。 お前らよりも、我慢しなければいけないんだ。

  だから俺は、痛いという気持ちを周りに感じさせない。 

  耐える。必死に耐える。 だから、頑張れ、お前らも」



『・・(涙)』

「泣くんじゃねぇ! 色がぼやけるだろうが!」

『どうせ黒だからいいじゃないですかぁ・・』

「ダメだ、人間から見たら違和感がありすぎる」

『・・確かにそうっすね』

「我慢しろ、一生泣くな」

『はい!』



桐戸「さてと・・芯を取り出すかな」



「・・・っ」

『・・・・』



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ」



『兄貴・・・?』

2「うわぁ!! 光だ・・光が見える!!」

3「おい、やばいんじゃねぇか!?」

4「絶対分解されてるよ」

5「兄貴の様子は!?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


『兄貴・・』

1「僕のせいで、兄貴がっ・・・」

2「芯1のせいじゃない。 俺らがつまりすぎただけ」

3「((それは兄貴の命令で・・・))」

4「芯3は黙ってろ」

3「はい」

5「兄貴は今、必死に耐えてる。 だから俺らも、動揺しないで、芯1を・・ ・・・!?」

『芯5?』

6「ねぇ・・ヤバイよ、本当にヤバイ」

3「芯6? どうしたんだよ急に」

6「兄貴の部品がっ・・」

『え』



桐戸 「やっべ、部品どっかにとばしちまった」

保志野「何やってんのよー!」

   「・・・わりぃわりぃ」

   「せっかく助けを求めたのにぃ・・。 どうしてくれるのさぁ・・」

   「お前は何様のつもりだよ。 お前が壊したから直してやろうと・・」

   「部品なくしたらどうしようもないじゃない!」



『兄貴は!?』



「っ・・・・・・・・・・イッテ・・・・・・・・・・・・っ・・・」



『1「どうしよー!」2「兄貴が・・」3「お、おい、なんか方法はねぇのかよ」

 4「わからねぇから焦ってんだろ」5「とにかく、みんなで考えよう」6「(泣)」』



桐戸 「わかったわかった・・俺が弁償するから」

保志野「やったぁ♪」


『たった1言で終わらせるんじゃねぇよ』


『「確かに僕らは大量生産されてるさ」

 「兄貴と同じ仲間だってたくさんいる」

 「それを同じように使っているやつだっている」

 「だけど、1本1本生きてるんだよ」

 「兄貴がいなきゃ、書けないんだよ」

 「お前ら人間は、毎日使ってるだろ?」

 「その相棒を、そんな[弁償]って言葉だけですぐに捨てられるのかよ?」

 「ゆるさねぇ」 』


『ゆるさねぇ、ゆるさねぇ、ゆるさねぇ!!!!!!』



桐戸 「とりあえず、芯はまだ使えるから取り出しておくか」



『コイツのこんな手・・俺らが汚してやる!!

 心が汚いならば、外見も汚なくしてやらぁぁぁぁぁぁ!!!!』



桐戸 「うげ、なんかめっちゃ芯の色が手についた、てか、なんでこんなにつくの?」

保志野「取り出し方がヘタなのよ!」

   「いつもはこんなに汚れないけどな」



『兄貴が捨てられるなら、俺らだって!』



((パキン・・



桐戸 「わりぃ、芯折っちゃった」

保志野「もったいなーい・・・」

   「・・だな、まぁ、またあげるよ」

   「ありがとー♪」



本体「お前ら・・・何やって・・・・・・るんだよ・・」

『兄貴が痛い思いをするなら・・俺らだって・・』

「馬鹿なこと言うんじゃねぇよ! お前らはまだ使われる可能性があったんだぞ!?

 何勝手に命をあきらめてんだよ! 俺なんかについてくるんじゃねぇよ!」

『だって・・』

「だってじゃねぇ! 俺は耐えるっていっただろ!?」

『1「でも僕は、兄貴の中にしかいたくありません!」

 2「それは僕も同じです!」

 3「だから俺らは、兄貴と一緒にゴミ箱に・・・!」』

「お前らっ・・!!」



桐戸 「んじゃ、これはもうゴミ箱行きかな。悪いな、シャーペン」



本&芯『・・・え?』

「謝ってくれた・・・?」

『「人間が・・・?」

 「僕らに・・・?」』



桐戸 「保志野が大事に使わないから・・・。 そんで、俺が部品なくしちゃって、

    しかも芯まで折っちゃったから・・、マジでごめん」



・・・許せない。


モノを粗末に扱うヤツは許せない。


それがたとえ、どんな人であっても。


こんなふうに、謝ってもらえたとしても、


落とされたり、


分解されたり、


芯折られたり。




こんな俺らだけど、大切に扱ってほしい。


俺らも、生きてるから。




ペン回し、ぜひやってくれよ。


ただ、高度な技を披露してくれ。 この、俺らの体でさ。


俺らは耐えるから。


みんなに、自慢してくれよ。


一緒に、ヒーローになろうぜ。




それと・・・。


俺らと一緒に、ずっと、文章にいろんな気持ちや表現を、()いていこうぜ。

シャーペンの気持ちを想像しました!

最後の「加いていこうぜ」は、文章に気持ちや表現を加えて、それを言葉にして書く、という意味が込められています。

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― 新着の感想 ―
[良い点] テーマに惹かれたので読ませていただきました。 そういえばここしばらく、シャーペンを回していないなあ何て考えながら読んでいました。ペン回し、私はあまり得意じゃないのでたまに失敗して1.5mく…
2012/07/04 01:15 退会済み
管理
[一言] コラボってますね!
2012/06/24 00:55 退会済み
管理
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