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ジュエル!  作者: asobito
幼少期編
5/67

第3話 5歳児が聴く自分の種族について

2011/12/19 家政婦の2人がさん付けだったので直しました。

「ハジメ坊ちゃん、朝食の準備できましたよ。起きてください。」

「ん・・・は~~い・・・・。」

「ほら、そう言って起きる気0じゃないですか!ちゃんと起きてください!」


 家政婦のヒルエに上半身を起こされやっと目を開ける。眠りを貪りたいと訴える体を無理やり動かしフラフラ立ち上がるのを確認してヒルエさんは部屋を出て行く。


「ふぁ~~~~・・・ねむ・・・。」


 ヨロヨロしながらもタンスに向かい寝間着から普段着へと着替える。茶色のズボンに白いシャツと紺色のベスト、革のブーツを履いて壁に掛けてある鏡で身だしなみをチェックする。黒い髪、目は黒だが光に当った時よく見ると紫色になっているので限りなく黒に近い濃い紫なのだろう。これは父も母もそうだった。じっくり見ないと気付かないが。

 顔立ちはさすがあの両親の息子という整った顔立ちでまだ5歳だが将来はイケメンになるのだろうなとハジメは考えていた。ここにサイトー(過去に好きだった娘がイケメンと付き合っていた事がありアンチイケメンになった前世の親友)がいたら「イケメンマジ死ねっ!」と掴み掛ってきただろうなとニヤニヤしている自分の顔に気付きすぐに元に戻して部屋を出て食卓のあるリビングへ向かう。


「おはようございます。」


「やぁハジメおはよう!」

「おはようハジメ。」

「おはようございます坊ちゃん。」

「おはようございます。朝食は用意できてるんで顔洗ってきてくださいまし。」

「おはようございますハジメ坊ちゃん」


 ドアを開けて挨拶すると父、母、ラウ、モルヒラ、ヒルエと挨拶が帰ってくる。モルヒラに促されるままリビングを抜け隣のキッチンに入り外の井戸に向かう。丁度裏庭にあたる場所にある井戸で顔を洗いすぐ近くの馬小屋から顔を出す黒い馬に声を掛ける。


「クロ、おはよう。」

「ヒヒンッ」


 鬣が火のように揺らめいている黒い馬は名前をクロフレイアと父から教えてもらったがクロと呼んでいる。クロが嬉しそうに挨拶してくるのを確認して家の中へ戻る。テーブルには朝食が準備されラウがハジメの席のイスを引き座らせるとラウと家政婦の2人も席に着く。食事は皆でするのは昔からのルールらしい。ラウに聞いたところ世間的には家政婦や執事が一緒に食事するのは珍しい事らしい。日本の一般家庭しか経験のないハジメにとってはむしろこちらの方が普通だったのでなんの違和感も感じなかった。







 食事を終え片づける為に家政婦の2人やラウが席を立ち、ハジメも席を立とうとするとオルタスが話しかけてきた。


「ハジメ、今から大事な話があるから聞いてくれるか?」

「え、あ、はい、わかりました父上。」


 浮かせた腰を下ろしオルタスを見る。オルタスの隣に座るクラウもこちらを見つめている。何があるのだろうと考えているとオルタスが再び話し出した。


「ハジメも5歳になったわけだし、色々話しておかなきゃいけないこともあってね。もちろん今すぐ全部理解しなきゃいけないわけじゃない。わからなかった事はその都度詳しく教えるからいつでも聞いてくれて構わないからね。」

「はい。」

「よし、それじゃまずは・・・オレ達の事から話そうかな。まぁ正確にはオレとハジメなんだけど。」


 どんな事言われるのか緊張して聞いているハジメ。オルタスは普段と全く変わらない口調でハジメの目をじっと見てゆっくりと話す。


「オレとハジメは人間じゃない。魔人って言われる種族なんだ。」


 いきなりのカミングアウトに思考が止まる。だがオルタスはそのまま話し続ける。


「まぁ見た目は人間とほとんど変わらないしね。たぶん言われなきゃ気付かなかったんじゃないかな。でも間違いなくハジメは魔人だよ。その眼がその証拠さ。」


 そう言うとハジメの眼を指さす。指を差されて我に返るハジメは聞いた事を頭で繰り返し理解しようとする。そして疑問に思ったことを口にする。


「母上も同じ眼なのに違うのですか?」

「お、いい質問だね。さすがハジメだ。」


 そう言って一人でウンウン納得しているオルタス。クラウの先を促す視線に気付いてその答えを話す。


「クラウは元人間といえばいいかな。魔人の特徴に<魂の共有>というのがあってね。愛する人と一生添い遂げる為に魂を一体化させて分かち合うことができるんだ。これをすると寿命の長い方、つまり魔人の寿命に合わせられるんだよ。普通に生活してれば間違いなく魔人の方が長生きするからね。」


 そう言ってオルタスはクラウを見る。クラウはニッコリ微笑んでハジメを見つめる。


「共有すると相手が違う種族の場合目が魔人と同じ色になる。魔人はまたちょっと特殊な目なんだけど。まぁその辺は後にして。あと共有できるのは一生に1回だけ。だから愛する人と一生を添い遂げる為なんて言われてるんだね。なかなかロマンチックな種族だろ?さて、この辺まででなにか質問はあるかい?」


 突拍子もない話の連続でついていけなくなりそうになるが、とりあえずそういうものなんだと無理やり理解して気になった事を聞く。


「魔人は寿命が長いって言ってましたが具体的にどれくらいなんですか?」

「あ~魔人の方が寿命が長いって言い方はちょっと違うか。正確には寿命がないんだよ。」

「は?」

「ある程度歳を取るとピタリと成長が止まってね、あとはず~~~っと歳を取ることはない。でも死なないわけじゃない。怪我や病気が原因で死ぬこともあるし、あくまで老衰することがないってだけだね。あ、老衰ってのは歳を取ってお爺さんになることだね。」


 それでも十分すぎるだろう!と思わずツッコミを入れそうになるのを堪える。さらにオルタスは付け足す。


「あとこれがとても重要なのだけど<魂の共有>をした後に自分か相手が死んでしまうと同時に死んでしまう。共有しているのだからね。だからもしハジメが<魂の共有>をしたら自分が死なないようにする上に相手をしっかり守らなきゃいけないよ。してなくても女性を守るのは男として当然の義務だけどね。」


 そう言ってニッコリ笑顔でグッと親指を立てるオルタス。話の内容はハードな気がするがオルタスのおかげで重く受け取らずに済んだのはハジメにとってありがたかったかもしれない。


「魔人の目が特殊というはどういうことですか?」

「あ、それはね、実際にやってみるのが早いね。」


 そう言うとオルタスはテーブルの上に手を出す。すると手から紫色に光る靄のようなものが出て掌の上で渦巻いている。回転が速くなったかと思ったら火が出て燃える球体になった。ハジメは初めて見るおそらく魔法であろう現象に驚き、オルタスの顔を見てさらに驚いた。オルタスの目が淡く紫色に輝いていた。


「こんな感じで魔力を使うと体の中を魔力が巡り目が輝きだす。使う魔力の量が多ければ多いほど輝きが増すって仕組みかな。オレ達の姓がアメジストって言われるのもこれのおかげだったりするんだけどね。」


「なるほど。」


 前に初めてオルタスに姓がアメジストだということを聞いたとき疑問に思った事だった。前世の記憶で紫色の宝石というのはなんとなく覚えていたがなぜそんなものが姓になったのか。それが魔人特有の目からきていることに納得するハジメ。

 そして話を聞いてる途中から聞こうか迷った質問を思い切って聞いてみることにした。今なら並大抵のことは驚かない気がしたので。深呼吸してから疑問を口にする。


「父上と母上って何歳なんですか?」

「む、ハッキリとはわからないけど300歳くらいかな?」

「それくらいかしらね。」


 そう言ってお互いを見つめて笑っている2人を見て眩暈を起こしそうになるハジメだった。

ちょっと短いかもしれませんがここで区切った方がいいような気がしたので。

ここでやっと姓を公開。出すの忘れてたわけではないです。決してないです。でも出す機会あってよかったですマジで。

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