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ジュエル!  作者: asobito
幼少期編
4/67

第2話 0~3歳児の考察と衝撃の事実

2011/12/19 家政婦の2人がさん付けだったので直しました。

2012/9/10 指摘のあった誤字脱字を修正しました。

 驚愕の誕生から数週間。まだ身動きは取れるはずもなく小さなベッドの中でゴロゴロする日々を過ごす。生まれた時より物事を考えられるがすぐに眠くなってしまうのは脳がまだ発達してないからだろう。いわゆる食っちゃ寝生活だがとりあえず現状を把握するべく小さな脳をフル活動させる。


(まず現状としては、オレは今赤ん坊だ。ってことはあの事故でオレは助からなかったってことなんだろうか。でもなんであの女の人が無事な上にオレの母親なんだ・・・さっぱりわからん。それにここはどこなんだ。洋風な家の作りみたいだし、あの両親もどう見ても外人だよな。ここって外国なのだろうか。)


 そんなことを考えながら周りを見渡す。木造建築の素朴な部屋。今寝ているベッドは木製だし近くに置いてあるおもちゃも木と布しか使われてない。がんばってベッドの端まで行って床を覗き込んだが木の板を並べただけの床だった。ここまで徹底した木造建築は田舎町に住んでいたハジメにも珍しいものだった。


(まったくコンクリートとか使ってないのか。どんだけ田舎なんだここ・・・。)


 かなり年季のかかった感じのする家だが決して汚いわけではない。家政婦の人が毎日掃除しに来ているのを確認済みだった。家政婦の一人で10代くらいのかわいらしい女性が掃除の合間にやたらとハジメの所にきてかわいいかわいいと頬や頭を触ってきた。初めは嬉しかったりしたが、さすがに部屋の掃除中10分間隔くらいで来るのはストレスが溜まりそうだった。3日目に他の家政婦に見つかって怒られていたのでストレスが溜まることはなかった。


(家の事はこれ以上わかんらんな。もうちょっと成長して歩けるようにならないと・・・。)


 そんなことを考えていると部屋に女性が入ってきた。


「あら、ハジメまた動き回ったのね。まだ数週間でこれだけ動き回るなんて大きくなったらわんぱくな子になっちゃうのかしら。」


 そう言いながら顔を覗き込みそっと頬をなでる。生まれた時から変わらない優しさに溢れた笑みを浮かべハジメを見つめる。


(名前はクラウさん・・だっけか。自分の母親にさん付けもどうなんだろう。)


 身長は170cmくらい。髪は金髪で細身の体だが出るところは出ているモデルのようなスタイルだった。顔も整っておりじっと見つめる黒い目が意志の強さを物語っている。まさに美人と言って何の問題もないだろう。母親とはいえそんな外人モデルのような人が至近距離で笑顔を浮かべ顔をなでてくるのだからハジメは内心落ち着かない状態だった。


(自分の母親に緊張してどうするオレ!)


 赤ちゃんなのに緊張で固まっていたが、抱きかかえられて子守唄(まったく知らない歌)を聴かせられたハジメは速攻で眠りについた。






「やあ!只今帰ったよ!」


 爽やかな大声にふと目を覚ますとすぐにドアを開けて父親が入ってきた。名前はオルタス。身長は180cmくらい、サッパリ整えた短めの髪で色は目と同じく黒。掘りも深くキリッとした男前だった。体格は細身だが筋肉がしっかりついていて細マッチョという感じだった。ハジメを確認するとサッと抱き上げクルクル回りだす。赤ちゃんのハジメには若干早すぎたので恐怖の為に体を強張らす。だがオルタスは嬉しくて仕方がないのかそのままジャンプまでしようとする。


「さぁ高い高いもセットだ!今なら低い低いもセットで高低差が倍だぞー!」


 そう言って回転を維持しつつしゃがんだ状態から立ち上がって頭上まで持ち上げようとするオルタスの肩に後ろから手が掛りピタっと動きが止まる。


「アナタ、なにをやってるんですか?」

「あ、クラウ、ちょっとハジメを楽しませよ・・う・と。」


 振り返ったオルタスがピタリと止まる。ハジメからはクラウの姿は見えないが明らかにオルタスが動揺しているのがわかる。すぐにハジメをベッドに戻し反省を口にする。


「すまない。ハジメの顔を見たらうれしくなってつい張り切ってしまった。」

「まぁ気持ちはわからないではないですが・・・。まだ赤ちゃんなのですから気を付けてもらわないと困ります。」

「そ、そうだな。まだ早かったな。」

(あ、いつかやるんですね・・・。)


 あのテンションの上がりっぷりからその日がそう遠くないと不安に駆られるハジメだった。






 それからしばらく過ごすと母のクラウに抱かれ、部屋の外へ出ることも多くなった。そうなると両親以外も家の中に数人いることがわかる。父と母の身の回りのことをしている男性。名前はラウスペムス。両親はラウって呼んでる。オールバックにした白髪に細面、細く鋭い目で色は黒。眉は白で口と顎には白い髭。一見年寄にも見えるが40歳くらいだろう。服装はまさに執事。言葉使いも丁寧で立ち振る舞い、仕事っぷりも含め(赤ちゃん目線だが)絵に描いたような執事だった。

 次に家政婦2人。ふくよかな女性の方が名前をモルヒラ。ハジメが生まれるときに産婆をしていたのも彼女だ。もう一人がヒルエ。見た目は10代前半、小柄でまだ少女の幼さが残っている。2人は親子で髪と目は茶色、モルヒラは髪を団子状に纏めていて、ヒルエは後ろに束ねている。身長は2人とも160cm前後というところだろう。モルヒラが主に仕事をしていてヒルエはそのサポートをする見習いのようなものだった。家族3人に対して執事と家政婦2人とはどういうことなのだろうと気になったが言葉を喋れないので当分保留することになった。


 家には庭もありテラスもあったのでそこで外の景色を楽しめた。見渡す限り森だったが。そして庭先にありえないものを見つける。馬車だった。しかも引いてる馬が見たこともない馬だった。全身が黒っぽく目が赤く、鬣が風もないのにゆらゆら揺らめいていた。火が燃えてるように。ここでハジメは自分の置かれた状況に確信を持つ。


(これは・・・地球じゃないな。地球上の生物すべて知っている訳じゃないが、鬣が黒く燃えてる馬なんて存在しないのはわかる!)


 馬を凝視するハジメを見て「お馬さんかっこいいねー」とクラウは嬉しそうに頭を撫でた。





3歳になり今では自分で立って歩けるようになった。高校生だった初の頃の感覚で歩こうとするとすぐ転んでしまうのでゆっくり歩くようにする。本人は慎重に歩いているようでもフラフラしている様に大人には見えるので後ろにはいつもクラウか家政婦が付くようにしていた。喋ることも問題なさそうだが、普通の子供は何歳から喋るようになるのかをよく知らなかったので大人達が話しかけてくるのを片言で返事するところから始めてみた。両親を騙しているようで少し罪悪感を感じたが、いきなりペラペラ喋りだす子供にいい印象はないだろう。最初に言葉を発した時は両親が大喜びで父から<高い高いデラックス>(ハジメ命名)を10回連続でされた。この頃には何度も受けて耐性も付いたので最初ほど恐怖はないが、年々回数が増えジャンプの高さも上がっているのでどうにかしないといけないなと新たな問題に悩んでいた。両親以外も言葉を覚えさせる意味合いでよく話しかけるようになった。

 ラウ(自分の事をラウと呼ぶように言っていた)は両親を「父上」「母上」と呼ぶ事や家にある色々な物の名前を教えてくれた。あと何もないところからカップやスプーンやお菓子を出すマジックを見せたりしてくれて楽しませてくれる。モルヒラは子供の扱いには慣れていたので小さい子供をあやす典型的なおばさんスタイルでさすがに高校生にそれはないだろと思う事でも見た目3歳児のハジメは嬉しそうにキャッキャ言うしかなかった。ヒルエは下にまだ幼い弟妹がいるのでその感覚で接してくれた。一緒に庭に出て花や木を見たり一緒に遊んでくれたりした。


 見たり聞いたりする事が増えたおかげでさらに色々な事がわかってきた。この家の周りは森になっているがすぐ近くに村がある事。モルヒラとヒルエもこの村で暮らしている。村自体にはもう何度か行ったこともあった。両親に連れられて散歩がてら村を見て回ったりしたからだ。石や木で作られた家が8軒ほど井戸を中心に並んでいた。ニワトリが放し飼いにされていたり牛がつながれていたりしていたがどの生き物も微妙にハジメの知っているものとは違っていた。人々が着ている服は質素でアクセサリーやオシャレとは無縁という感じだった。そして何より驚いたのが住んでいる村人だった。普通の人間の他にトカゲのような顔をした人や耳のとがった人、犬の顔をした人、髪や目の色も多種多様だった。ハジメは過去に見た映画やゲームの世界観を思い出した。多少の誤差もあるがあのフィクションの世界が目の前に広がっていた。


(ここはファンタジーな世界なんだな・・・。生活も映画で見た中世とかそんな感じだしな。)


 村人はみな楽しそうに生活していてクラウとハジメが通るの見かけるとお辞儀したり、ハジメに笑顔で手を振ってくれた。ハジメもそれに手を振って応えた。

 あと驚いたのは父オルタスがここの村長だということだった。それはオルタスと来たときに村人がオルタスを「村長」や「村長様」と呼んでいたからわかった事だった。つまりクラウは村長夫人、ハジメは村長の1人息子ということになる。村人が楽しそうに暮らしているので父は優秀な村長なのだろう。ハジメは改めて父を尊敬するようになった。






 家で母と過ごしている時にずっと気になっている事を思い切って聞いてみる事にした。生まれた時から気になっていた事。3歳でそんなこと聞いて大丈夫か不安だったが片言で聞いてみる。


「なんで、なまえ、ハジメ?」

「ん?なんでハジメって名前になったか知りたい?」


 クラウは微笑みながら首を傾げる。ハジメはコクコクと頷く。


「ある日ね、急にどこかからラッパの様な音が聞こえてきたの。それと同時にハジメ!って声が響いてきたのね。でも周りには誰も見当たらないしおかしいなぁと思ってたのね。でも次の日お腹に赤ちゃんがいる事がわかって、あぁあれは神様の声だったんだって思ったの。だから生まれた子の名前はハジメにしようと思ったのよ。」


 その説明を聞いてハジメは目が点になり思考が止まってしまった。


(ラッパの音ってもしかしてクラクションか?ってことはハジメ!って声はサイトーか・・・。)

「ん~ハジメには難しかったかなぁ?」


 キョトンとしているハジメの頭を撫でて少し困った顔をするクラウ。それにハジメは苦笑いをするしかなかった。バカな親友が名付け親な上に神様になってる事に対してだったが。

ハジメ、大地に立つ。

3歳児までに知った自分の周りの事と思わぬ名前の由来。色々設定がザックリなのはご愛嬌ということで。もっと正確に伝わりやすくすることが課題ですね。がんばりましょうオレ。

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