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僕が国教の愛し子さま?

にーにーと暮らすようになってからしばらく。


にーにーがある日、出かけたと思ったら頬を腫らして帰ってきた。


「にーにー!?どうしたの!?」


「このくらいなんでもないよ」


「そんな…とにかく治療しないと」


「氷で冷やしておけば大丈夫」


「…にーにー、ちょっとほっぺ貸して!」


にーにーが頬を寄せてくるから、優しく手を添える。


そして祈った。


すると、にーにーの頬の赤みは引いた。


これはこの世界に転生してから得た僕の特殊能力で、僕は勝手に転生特典かなと思ってる。


今のところ、似た能力を持っている人は見たことない。


「…バルム、その能力は」


「勝手に治癒能力って呼んでる。他に使える人は見たことないから転生特典かな?」


「…バルム、よく聞いて」


にーにーが真剣な表情で僕に語りかけるから、僕も真剣に聞く。


「…うん、なあに?」


「バルムのその能力は、国教のリュキア教の〝愛し子〟が代々使える治癒魔法だ」


「…え」


な、なんてこと。


僕が国教のリュキア教の愛し子だったなんて。


「リュキア教の愛し子である僕が神の力を一部借り受け、豊穣の力でこの地域一帯を支えて宗教施設を構えたように…バルムも、リュキア教の愛し子だと知られれば崇められリュキア教に保護されるだろう」


「でもそれじゃあにーにーと離れ離れになっちゃう…」


「そうだね。だから………」


にーにーは僕を抱きしめる。


「これは、僕たちだけの秘密にしよう」


「でも、リュキア教の愛し子をミノス教が匿っていたって知られたら……」


「知られなければいい。幸い、知っているのは俺とベルクくらいだ。ベルクも黙っていられるよね?」


「もちろんです」


「でも…」


本当にいいんだろうか。


「にーにー…」


「大丈夫。バルムのことは俺が守るよ」


「…うん」


ということで、治癒能力については僕とにーにーとベルクさんだけの秘密にすることになった。


「でもにーにー、まだミノス教に保護される前には、治癒能力で色々な人を助けちゃってたよ」


「…バレないことを祈るしかないね」


「うう…」


僕が余計なことをしていたせいで、にーにーに迷惑を掛けてしまうかも知らないなんて…。


「にーにー」


「大丈夫、迷惑なんて思わないで。俺は君といられるだけで幸せなんだ」


「…うん。わかった」


そういえば、と思い出して聞いた。


「にーにー、なんで頬を腫らしていたの?」


「リュキア教の奴らに絡まれてね」


リュキア教は、表向きは他の宗教も認めているがその実裏では排他的。


だからにーにーを〝宗教会議〟の場で虐めたりするらしい。


なんてこと…!!!


僕は密かに、生きる目標をここに定めた。


今の僕がリュキア教に見つかれば、きっといいようにされてしまう。


だからしばらくはのらりくらりとリュキア教に見つからないようにしよう。


でもその間に少しでも教養とか身につけて、リュキア教をむしろ〝脅せる〟くらい賢くなって…それでにーにーを守れるようになろう。


にーにーが虐められないように、これ以上状況が悪くならないように。


時間が必要だけど、それでも僕がなんとかしなくっちゃ!!!

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