甘い日々
今日はにーにーが甘い物を大量に取り寄せた。
さつまいものプリン、カボチャのプリン、プリンアラモード、プリンのパフェ。
全部プリン。
そしてプリンは僕の大好物だ。
「にーにーありがとう!大好き!」
「どういたしまして、我が愛しのバルム様」
にーにーの言葉にクスクス笑う。
にーにーは本当に、可愛い人だ。
「願わくばバルム様、お互いてずから食べさせ合いっこしませんか?」
「もちろんいいよ、はいにーにー。あーん」
「あーん…甘くて美味しいね」
「にーにーもはやくはやく!」
「はい、あーん」
あーんと口を開けたら、甘い香り。
そしてスプーンが離れていく。
口いっぱいに甘い味。
美味しい。
「美味しいかい?バルム」
「うん、すごく美味しいよにーにー」
「可愛いなぁ、俺のバルムは」
その後もニコニコと、お互いに食べさせ合いっこする。
穏やかで温かな時間。
できれば、離れたくはない。
でもいつか、前世のように離別の時は来るかもしれない。
その時は。
「ねー、にーにー」
「なに?」
「今世ではお互いに長生きして、幸せでいようね」
「もちろん!ずっと一緒にいようね」
にーにーの言葉に曖昧に微笑む。
前世ではあんなことになったから、今世では長生きして幸せでいて欲しい。
そこに、僕の居場所がなくても。
「…バルム」
「うん?」
「逃がさないよ」
ふと、にーにーに陰が差した。
と思ったら、不穏な空気。
それを笑って誤魔化した。
「僕がにーにーから逃げるわけないじゃない」
「そう、そうだよね」
「うん」
「よかった、また果物ナイフ手に入れないといけないところだった」
その言葉に全身鳥肌が立つ。
あの時は怖くなかった、今だってにーにーが怖いわけじゃない。
それなのに鳥肌が立つほどゾッとするのは…まだ一緒にいられるのに、それを潰される恐怖からか。
「にーにー…一緒にいてね」
「うん、ずっと一緒だ」
抱きしめられたら、鳥肌は徐々に治った。
「僕、にーにーと離れるのが一番怖い」
「今世ではそんなことにならないから、安心して」
ぎゅっとされて、ぎゅっとして。
お互いに、お互いの体温で平静を取り戻した。
「…にーにー、やっぱり僕………にーにーの幸せより自分の幸せを優先しちゃうかも」
「いいんだよ、それで。それが俺の幸せなんだから」
にーにーは本当に。
なんでも、お見通しなのだ。
そんなにーにーから自ら身を引こうなんて、はなから無理なのかもしれない。
にーにーもこう言ってくれているし、まだまだ今は甘えよう。
難しいお話は、もっと経ってからでいい。