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独占欲

「バルム」


「なに?にーにー」


「ちょっとこっちにきて」


にーにーにぎゅっとされる。


なんだろう。


「どうしたの、にーにー」


「マーキング」


「え」


「匂い付け」


「本当にどうしたの…?」


匂い付けなんて急に言い出すのは、いくらにーにーでも流石に珍しい。


「さっき廊下ですれ違った教徒を助け起こしたでしょう」


「…?あ、ああ!さっきの子!」


「ヤキモチ焼いちゃった」


「あらま」


いつも余裕そうなにーにーにしては珍しい。


あ、言い忘れていたけれど今世の僕の色は茶髪にオレンジの目。


にーにーは白髪に金の目だ。


にーにーは細マッチョで男にも女にもモテる風貌。


つまりは美形だ。


「にーにーったら、にーにー以上にいい人なんているわけないのに」


「それは…」


「僕はにーにーが好きだよ」


「…俺も愛してる」


またぎゅっと抱きしめられた。


変な自信はあるくせに、時々へたれるところもにーにーの可愛いところだ。


「にーにー、世界で一番大好きだよ」


「俺も世界で一番バルムを愛してるよ」


だからこそ不安になる。


そうにーにーが言った。


だから僕は、にーにーの膝の上で反対…にーにーの方を向く。


そしてその鼻先にキスをした。


「僕だって、こんなに好きなんだよ?」


「バルムっ…」


ぎゅうぎゅう苦しいくらい抱きしめられる。


そんなにーにーも好きだよ。


本当に本当に、大好きなんだよ。


時々あの心中の記憶が蘇っても、にーにーを怖いと思わないくらいには。


本当に本当に、大好きなんだから!


「…ごめんね、ヤキモチ焼きで」


「いいよ、にーにーらしくて可愛い」


「俺が可愛いときたか」


クスクスと笑うにーにー。


やっと本調子になってきたかな?


「だって本当に可愛いんだもの」


「そういうバルムの方こそ可愛いよ」


「えへへ」


「今日の皇子様系ファッションもよく似合う」


「ふふ!にーにーの特注だもんね」


にーにーがオーダーメイドで作らせたお洋服は、黒と赤の皇子様系ファッション。


胸元のリボンが可愛いんだ。


「にーにー、このお洋服ありがとうね」


「どういたしまして。可愛いバルムのためならこのくらい当然だからね」


「にーにー大好き!」


生まれや育ちは恵まれなかったかもしれないけれど、この中性的な見た目にだけは感謝している。


おかげで皇子様系ファッション似合うからね!


対するにーにーの方は【巫女様】だから普段からそれらしい服装だ。


この国は和洋折衷の文化で、だから和服もある。


にーにーの格好はまるで宮司様みたいな格好なわけだ。


「でも、にーにーと僕が隣り合っているとファッション的にチグハグだよね」


「お互いに合う服を着てるんだから別に良くない?」


「僕はいいけど」


「じゃあ問題ないね」


にーにーは本当に、マイペースだなぁ。

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