甘ったるいチョコはいかが?
「ねえにーにー」
「うん、なにかな?」
「この辺のお菓子屋さんで最近チョコレートフェスがやってるって聞いたんだけど…」
「あれ、どこでそれ聞いたの?」
「教徒たちの話し声」
ああ、とにーにーは納得顔。
「そうだね、チョコレートフェスやってる店があったかな」
「行ってみたい!」
「じゃあ一緒に出かけようか」
「うん!」
手を握って決して離さないにーにーと、近くのチョコレートフェスをやっているお菓子屋さんに向かう。
品揃えを見て僕は思わず叫んだ?
「美味しそー!」
「バルムの欲しいモノ全部買って帰ろうか」
「いいの!?」
「うん、どうせバルムならそう日を置かずに食べ切るだろうし」
「わーい!」
にーにーとチョコレート菓子を見て回る。
チョコレートケーキやらチョコレートクッキーやら、いろんなものがたくさんある。
チョコレートケーキと一言で言ったって数種類用意されてるし、チョコレートクッキーも同様。
でも、正直全部欲しい。
でもさすがに我慢我慢…何個かは買うとして、どれがいいかなぁ。
「バルム、無理して我慢しなくても全部買ってもいいよ」
「え?」
「今の俺にはそれだけの財力もあるし、バルムなら消費期限前に食べ切れるだろうし」
「でも…」
「遠慮しないで、ね?」
にーにーにそう言われて結局全種類一個ずつ買って帰ることに。
家に帰ると、にーにーに一つ一つ消費期限が短いものから順にあーんされて給餌された。
「まるで雛鳥さんみたいだね、バルム」
「お恥ずかしいです…」
「なんでよ、照れないで。可愛いよ、バルム」
「ありがとう、にーにー」
「どう致しまして。美味しい?」
こくこくと頷きながらもぐもぐ食べれば、にーにーは満足そうに笑った。
「よかった」
「にーにーもよかったら一口、あーん」
「あーん…うん、甘いね。美味しい」
「ふふ、よかった」
にーにーのお顔は蕩けるように甘い。
「バルムにあーんされたら泥団子すら美味しいだろうな」
「いやそれはさすがに」
「いや、本当に」
「…やらないからね!?」
僕の反応ににーにーは楽しそうに笑う。
「あはは、半分冗談だよ」
「半分本気!?」
「バルムにされたら美味しく感じそうなのは本当」
「もう!だめったら!」
「わかってるわかってる!バルムは可愛いなぁ」
本当にだめなんだからね!
なんて言いながらにーにーに給餌されてチョコレート菓子をもぐもぐ食べる僕でした。
にーにーはチョコレート菓子が尽きるまでずっと笑顔だった。
僕が細身でよかった、下手をしたら雛鳥どころかフォアグラにされてしまうところだった。




