可哀想な子だとみんなは僕を憐れむけれど
「僕…」
「うんうん、どうしたのバルム」
にーにーのお腹に頭を埋めつつ、言った。
「可哀想な子、でしょう?」
「うん?そう?俺はそう思わないけどな」
「うぅ…でも…でも一般的に見て哀れでしょう?」
「そうかなぁ…」
言われたのだ。
お稚児様は哀れな子だと。
誰に言われたとかはにーにーに言わないけど、にーにーのいない時に僕に聞かれてるとも知らずに言っていた教徒がいたのだ。
哀れな子な僕を、こんなにも優しく包み込む巫女様はさすがだと褒め称えていた。
にーにーを褒めるために、僕をこきおろしていた…のはまあいいが、だからにーにーと対等じゃないんだと思って…バッドに入ってしまった。
「まあでも、仮にバルムが可哀想な子だとしても…俺にとってはそれ以上に可愛い子だよ」
「にーにー…」
「こんなに可愛い子他にいないよ」
「うぅ…」
「僕はバルム以外なんて要らないんだ、だからバルムが可哀想な子でもそうじゃなくても関係ないね」
にーにーの顔をチラッと見る。
「…」
「………」
慈愛に満ちた眼差しでニコニコと微笑み、バッドに入っちゃった僕を可愛い可愛いと思っているのがわかるような緩み切った顔で頭を撫でてくれるにーにー。
緩み切った顔ですら甘い美形なんだから本当ににーにーはもう。
「…にーにー。大好き」
「俺も大好きだよ。バッドにすぐ入っちゃうところも含めて可愛いね」
「にーにー、それを許容するのはどうかと思う」
「いいじゃん。そんな繊細で可愛いところも含めてバルムなんだから」
「にーにー…」
僕なんかにこんなに寄り添ってくれる。
本当に大好き。
「でも、じゃあ、このままにーにーの隣にいていいの?」
「いてくれなきゃ困るよ。というか泣くよ。というかまたバルムを殺さなきゃいけなくなるからやめて」
殺すと言う単語にギョッとするベルクさんに構いもせず、にーにーはお腹に頭を埋める僕を撫で続ける。
「本当に?本当にそんなに僕が好き?」
「好き好き。大好き。愛してる。本当に好き」
「他に行こうとしたら殺すくらい?」
「うん、普通に殺す。殺して後を追う」
「…にーにー!好きー!」
身体を起こしてにーにーの胸に飛び込む。
そんな僕ににーにーはデレデレした雰囲気で可愛い可愛いと抱きしめてくれる。
それをドン引きした目で見つめるベルクさんはそっちのけで、二人でラブラブ空間を楽しんだ。
…その後こっそりベルクさんに「バルム様。お願いですから一生巫女様のそばにいてくださいね」と本気で懇願された。




