どうして僕はにーにーに愛されてるんだろう
「… どうして僕はにーにーに愛されてるんだろう」
「………バルム様?どうしました?」
「いや、なんか…だって、にーにーって理想の恋人じゃない?僕でいいの?」
「バルム様、何故急にバッドに入ってしまったんです?」
急にバッドに入ってしまった僕にベルクさんは戸惑うが、僕はいわゆるメンヘラという側面があり時々バッドに入る。
これはもう自分でもどうしようもできない。
「にーにーはかっこよくて、優しくて、素敵で、甘々で、いつも愛してくれて………」
「それはバルム様相手だからですよ」
「本当に世界一の恋人で…」
「それはバルム様相手だからですよ」
「なのに僕なんかが相手でいいの…?」
勝手にバッドに入って勝手にしょげて勝手に蹲っている僕に、ベルクさんは困惑しながらも無視せず言葉をかけてくれる。
「バルム様、巫女様はバルム様を真実愛していらっしゃいますよ。そんなに落ち込まれないでください」
「うぅ…僕…にーにーにお似合いじゃない…」
「大丈夫です、巫女様にはバルム様しかいませんから」
「でも…僕なんて…」
「バルム様、巫女様がそんな言葉を聞いたら泣いてしまわれますよ」
にーにーが僕を思って泣いてくれる…それはそれで嬉しい…でも僕なんかのためににーにーを泣かせるわけにいかない…。
「…うー、僕はどうしたらいいの」
「巫女様にとって、バルム様は存在してくれるだけで幸せな存在ですから。何もなさらずとも変わりません」
「うぐっ…それはそれで…」
「どうしてバッドに入ったら全てをマイナスに捉えてしまわれるのか…」
そこににーにーが帰ってきた。
「あれ?バルム?久しぶりにバッド入っちゃった?」
「うー…にーにー………」
「こっちに転生してから初めてみたねぇ、バルムのバッドモード。よしよし、こっちにおいで」
にーにーがベッドの上で足を開いて座る。
僕はそのにーにーのお腹に頭を埋める形でぐりぐりする。
「はいはい、なにが辛くなっちゃったのかな」
「僕なんかがにーにーの婚約者だなんて…恋人だなんて…」
「あー、そういう。だって俺バルムにかっこよく見てもらえるように振る舞ってるもん、バルムがそんな風に思っちゃうのもわかるわかる。バルムは悪くないよ」
「うー…」
「バルムは悪くない。バルムさえいてくれれば俺は幸せだよ。バルム以外の男も女も見てないよ」
さらにぐりぐりとにーにーのお腹に頭を埋める。
「でもでもぉ…」
「わかるわかる、釣り合ってないと思っちゃって辛いんだよねぇ。でもバルム以外の誰かなんて俺は考えられないなぁ」
「うー…」
よしよし、と頭を撫でてくれるにーにーに、少しだけ心が満たされた。




