にーにー、いくら同性愛が認められるわが国でもこの歳の差で婚約はヤバいのでは?
「バルム、そろそろ婚約しようか」
「え」
にーにーに突然そう言われて、びっくりする。
ちなみに我が国では婚約も結婚も国教であるリュキア教へ「届け」を出さなければならない。
そうでないと正式な「婚約」とは認められない。
そしてリュキア教は表向きは「同性婚」を認めているが、その実それを選んだ当人たちには冷笑を送るくらい「嫌悪」しているらしい。
だから今はまだやめておいた方がいいと思うのだけど…そもそも年齢差も、歳の差婚には理解がある我が国だけど……リュキア教は超偏見を持ってるらしいし。
「にーにー、いくら同性愛が認められるわが国でもこの歳の差で婚約はヤバいのでは?」
「大丈夫大丈夫。国の文化で同性婚は認められてるし、歳の差婚も認められてるし、あとはリュキア教の奴らを気にしなければ問題ないよ」
「いやぁ…まあ気にしなければいいと言えばそうかもだけど…」
それはそれでいかがなものか。
絶対宗教会議の場でそれをネタにいじめられるだろうし。
「ねえ、お願い。俺と婚約しておくれよ」
「いやでも…他の教徒さん達は納得してくれるかわからないし」
「俺がそうしたいと言えば納得するよ」
「いやぁ……」
なんて押しの強さ。
本当に僕と婚約したがってくれているらしい。
その気持ちは本当に嬉しいけれど。
「ねえにーにー、一旦冷静になろうよ。他の教徒さん達にも一度相談したら?」
「他の教徒たちへの相談か。いいね、そうしよう」
僕はほっと息を吐いた。
これでにーにーの暴走も止まるはず。
他の教徒さん達は止めるだろうしね。
………と、思っていたのだけど。
「俺はこの子バルムを、生涯をかけて守りたい。この子は俺の宝物だ。だから今、全教徒に宣言する。俺はバルムと婚約を結ぶ」
まだ七歳の僕を胡座をかいた膝の上に乗せて、全教徒たちを集めて宗教行事区画の一番広い部屋でそう宣言したにーにー。
教徒たちは戸惑いつつも、僕たちの婚約を祝福してくれた。
…暴走を止めるために提案したのに、却って退路を断たれた!!!
「結婚式が楽しみだね、バルム」
「そ…そうだね、にーにー………」
まあ僕としてはものすごく嬉しいことなのだけど。
にーにーの幸せを考えると、こんなにはやまってよかったのかなと不安になる。
にーにーには、もっと相応しい人がいるのではないかと…。
でも、にーにーが言う。
「…なんか不安そうだから言っておくけど、俺はバルム以外なんてありえないからね?」
「でも……」
「愛してるんだよ、仕方がないでしょう?」
「にーにー…僕も愛してる」
とはいえ、大丈夫なんだろうか。
桜作品の執筆が多い私ですが、薔薇作品にも興味がありまた二回目の薔薇作品に挑戦させていただいております!
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