にーにーのトラウマ
「…バルム、ちょっとこっちに来て」
「うん?いいよ」
にーにーの側に寄ると、抱きしめられる。
「にーにー?どうしたの?」
「ぎゅー」
「ぎゅーっ」
ぎゅーと抱きしめられるから、ぎゅーっと抱きしめ返した。
「…不意にね、不安になるんだ」
「ん?」
「また君を殺さなくちゃいけなくなるんじゃないかって」
「………ああ」
そっか、にーにーも時々あの時のことを思い出すんだね。
「殺してしまうのも悲しいし、またこうして巡り会える保証もない。俺はそれが怖い」
「…大丈夫だよ、にーにー」
にーにーの顔に両の手を添えて、無理矢理泣きそうになってるにーにーと視線を合わせた。
「今世では、長生きしよう?お互いに」
「でも、一緒にいられなければ意味がない」
「なら、一緒に長生きしよう」
にーにーの隣にいるのに、僕が相応しいかはわからない。
でも、にーにーがもっといいパートナーを見つけても。
僕がにーにーの〝隣〟にはいられなくても。
「ずぅっと、一緒に長生きしようよ」
「…うん」
「僕がにーにーを守るよ」
「普通逆じゃない?」
「僕もにーにーに今守られてるから、将来は僕がにーにーを守るの!」
そして鼻先にキスをした。
「不安を消すおまじないだよ」
「…効果抜群だね」
「でしょう?」
ふふんと胸を張れば、にーにーはようやく笑った。
「…愛してるよ、バルム。今度は心中なんて必要ないように守るから」
「僕もにーにーを守るよ。これで安心だね!」
「そうだね」
ふふっと笑うにーにー。
僕も釣られて笑う。
やっとにーにーは落ち着いたらしく、僕を離した。
「ごめんね、急に弱音を吐いて」
「弱音くらい、いくらでも聞くよ」
「ありがとう、バルム」
「こちらこそいつもありがとう、にーにー」
でもせっかく体を離してくれたところ申し訳ないが、このまま離すわけにはいかない。
「にーにー、ベッドに行こう」
「え、うん」
「にーにーも来て」
「いいけど。はい」
にーにーの手を引いて二人でベッドに潜る。
広いベッドだけど、できる限りくっついて寝る。
「狭いね」
「密着してるね」
まあ、それはいつものことなのだけど。
「二人で少し寝よう?」
「いいよ、今日は豊穣の力を使う依頼は受けてないし」
「じゃあ休もう休もう」
ぎゅうぎゅう抱きついて、腕も足もにーにーに絡める。
「にーにー、おやすみ」
「…うん、おやすみ」
不安でストレスがキャパオーバーしていたにーにーはすぐに寝に入った。
そんなにーにーの頬を撫でた後、僕も眠る。
起きた頃にはにーにーも目を覚まして、どこか憑き物の取れた表情をしていた。
「ありがとう、バルム。おかげで元気が出たよ」
「それはよかった」
「バルムも、何かあったら俺に言ってね。俺もバルムの力になるから」
「うん、ありがとうにーにー」
またにーにーがトラウマ発動してしまったら、とりあえずベッドに二人で潜り込むことにした。




