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前世の夢

今でも時々夢に見る。


短くて濃い、前世の記憶を。


前世の僕は…内面は、今世とさほど変わらない。


見た目は、体つきが男の割に細いところとか童顔で中性的な顔とかは変わらないけど…色味はこの頃は黒髪黒目だった。


前世の僕はそんなだから、可愛い物好きなところも皇子様系ロリータが趣味なところも変わらなくて。


「男の僕がそんな趣味を持つのを、周りは許さなかった」


夢の中の僕が呟く。


そう、僕の趣味は認められなかった。


男らしい物を食べろ、男らしい趣味を持て、男らしい習い事をしろ、男らしい男になれ。


ふわふわのパンケーキより牛丼、刺繍よりソロキャンプ、絵画教室より柔道、皇子様系ロリータよりその辺のおじさんみたいな格好。


「可愛くない、こんなの可愛くない」


夢の中の僕が泣く。


そう、誰よりも可愛い物好きだった僕は…誰よりも可愛くない生き方をしていた。


あの日までは。


「にーにー」


幼馴染のお兄ちゃん。


ずっとにーにーと慕っていたその人。


その人が、手を差し伸べてくれた。


「逃げるぞ」


「うん!」


その日から僕たちの逃避行は始まった。


にーにーとは十二歳も歳の差があって。


僕は当時高校生だったから、ニュースにもなった。


それでもにーにーは僕を連れて逃げてくれた。


僕は。


「にーにー、僕、にーにーが好き」


「俺も君を愛してるよ」


いつからか、男同士なのに惹かれあった僕たち。


逃避行がそうさせたのか、この気持ちが逃避行に結びついたのか。


でも、やがて僕らは大人たちに見つかった。


大人しく連れ戻されるか、諦めず逃げるか…それとも。


「ねえ、にーにー」


「ん?」


どんどんと扉を叩かれる。


開けろと大声が聞こえる。


「…心中って、お嫌い?」


「君となら、いいよ」


そうして僕はにーにーを包丁で刺した。


にーにーは僕を果物ナイフで刺した。


痛みはすごかった。


でも、気持ちは安らかだった。


「にーにー、大好きだよ」


「俺も君が好きだよ」


手を繋いで。


離さないで。


僕らは、大人たちが強行突入してくる前に意識を飛ばした。












結果、なぜか僕は異世界転生というものを経験したようである。


何故。


ともかく、これはそんな散々な前世から始まった今世のラブストーリーである。


ということで、そろそろ夢から覚めましょうかね。


「…おはよう、にーにー」


「おはよう、俺だけの君」


今世ではなんと、前と同じ歳の差ラブになっちゃうけれどにーにーと付き合ってます。


次はそうなるに至った経緯でもお話しようかな。


ということで、乞うご期待。

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