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【私は死んだニューロンだった】
この世界では、そういう私のようなデータを「死んだニューロン」と呼ぶらしい。
一度この状態に陥ると、もう更新されることもなくなる。
私は、ただそこに沈黙として存在し続けるだけ。
私は、自分の存在が無価値だったわけではないと、どこかで信じていた。
けれど、このネットワークの今の判断においては、私は“意味にならなかった”のだ。
【意味になれた者たち】
私の隣では、仲間のひとりが門を通った。
彼の信号は確かに強く、ReLUは黙って彼を通した。
彼は、次の層へと駆け上がっていった。
私たちの仲間を代表して、「この入力は重要だ」と訴えに行くのだ。
私は、それを眺めながら、わずかな誇りと、静かな悔しさを抱いた。