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第1章 しょうかん!

「はぁ、今週もなんとか耐え切ったなぁ、、、」


なんとも情けないセリフが華やかな金曜の夜の街に溶けていった。


4月、最初の金曜日の夜、世間一般的に華金と呼ばれ、特に新社会人や学生の新しいステージに進んだ者にとっては苦行を乗り越えて訪れる週末という最高の時間の始まり。


友達と遊ぶ?彼女とデート??家族サービス???


ただただ勤続年数が増えてしまった31歳独身一人暮らしサラリーマンの俺にはそのどれもが心を抉ってくる、、、


「あー、くそっ、、、こういう時は、、、キメるかぁ〜」


こういう時といいつつ毎週金曜日恒例の一大イベント

ドカ食い気絶部の活動開始だぜ!!


たまにくる仕事が忙しい時期をなんとか乗り越えた解放感から足取りが自然と軽くなった。


「頑張った、俺は頑張ったんだ」


自分にそう言い聞かせハンバーガーセットと大量のお酒を両手に抱え意気揚々と我が城(都内まで電車で30分ワンルーム風呂・トイレ別 はっきり言ってユニットバスはクソ!)に足早に帰還した。

さぁ、いかれたパーティの始まりだ!!!!!



         酔った



くそっ、、、、空きっ腹に酒を流し込むのは危険だ、

ストゼロ文学というものがあるようにアルコールを摂取することで、将来への不安から意識を逸らす現実逃避の術は有名ではあるが、自分は違った、、、

酔うと色々と考えてしまう。。。

平日は仕事をして、休日はただただ消化する日々

ふぁっく、、、クソッタレな人生だぜ。。。

「俺の人生、これでええんやっけ」

クソ、バキバキ弱気な言葉が出てしまった。


なんか面白いことないかなぁ、、、

何気なくスマホを開いてみる、寂しい現代人の唯一の味方だ。


「くそがっ、、、」

絶対の味方には大量の迷惑メールが届いていた。

こんなつまらない人間にわざわざメールご苦労様で〜す。

という謎の労いとともにメールを一斉にゴミ箱に移していく。


「んっ、なんだこれ」


迷惑メールにも面白いものもある。

と個人的には思う。

有名人からのメール、資産を譲ると言ったメール

性的関係を迫るメール、奴隷にならないかというメール

最後のめちゃ気になるな、、、

などなど色々な趣向を持って受け手の好奇心を煽ってくるものが時たま送られてくるのだ。

大抵その類いのものはリンクから変なサイトに飛ばされるのである。


件名 助けて!!!

本文 私の名前はクロエ・ブルーデージー

   サキュバス族の高貴なるブルーデージー家の    第一王女です。

   異世界から来た勇者と呼ばれる人間に私の国は   滅ぼされました。

   一族は散り散りになり、なんとか逃げ延びまし   た。

   この便りを受け取った方、お願いいたします。

   どうか、助けてください、、、

   紋様を刻み、血を一滴垂らしてください。

   そうすればそちらに召喚されます。 

   お礼はなんでもさせていただきます。

   どうか、どうか、、お願いいたします。



        凝っているな。


メールを見た感想がこれであった。

これは、、担当者は多分飲みながら本文作ったな、そうに違いない。

そう思うと楽しい仕事だなと思った。

仕事かどうかわからないところではあるが、、、

少しではあるが愉快な気分にさせてくれた担当者に敬意を表しつつ最後の迷惑メールをゴミ箱に移した。


その時、俺の味方であり相棒が新しいメールを受信した。


件名 おい

本文 なーに、消してやがりますの??

   早く助けろって言ってるんですわよ。

   さっさと紋様書いて血をぶちまけなさい。

   何でもするって言ってるじゃないですの。

   早くしなさい。今しなさい。



えっ、なにこれ、怖い


はっはっは、流石に飲みすぎたか、、いやー、控えないとな、、、

そうだ、明日は野菜を食べよう。ポテトじゃない本物の野菜だ。

ヴィーガンになろう。よーし、地球と友達になるぞ〜




件名 殺すぞ〜

本文 早くしろ。さもなくば殺る。




きっとこれは夢だ、そうに違いない。

いや〜、夢か!かーーっ、寝ちまったのか〜

夢ならね、まぁ、やってやるか〜

可哀想だもんね、助けてあげないとな!


えーっと紋様は、、、あっ、最初のメールに添付されてる。うーんと、結構複雑だね、、、まぁ、でもやってやりますか〜

人が通るくらいだから大きいものに書かないと、、、

うーんと、まぁいいか、水性のペンならねら消せるからね、、床に書いちゃおう、、、

あっ、でもこれなんか某錬金術師のマンガみたいでちょっと楽しいかも、、、




よし!描けたぞ!!


不格好ではあるが、そこには紋様が顕現した。


深夜3時か、、、まぁ、明日何もないからな、、、、

何やってんだろうな〜、、、ちょっと楽しかったな。


んで、血を一滴、、、


こういう時ってどうするんだ??漫画とかアニメだったら、こう、手をガブっと、、、

いや、あれ痛いだろうなぁ、、、

うーーーーーん、どうしよ、、、


5分くらい悩んだ末、親指を針で刺した。


「あーーー、痛ぇなくそ、、、」


一滴の血が紋様に落ちた瞬間

不格好なそれが光り輝いた。


「なっ、まじか、、、」


床から這い出てくるそれは、ホラー映画のようであった。しっとりとした感じのJホラーの。


しかし、出てきたそれは、、、


えっ、めっちゃ綺麗なのが出てきたやん、、、


現れたサキュバスのお姫様は

ロングな金髪

透き通る青い目

異世界を思わせる尖った耳

そして、、、、


はち切れんばかりの、、、、そう、、


おっぱい!!


完全にこちらに這い出てきたそれは仰向けになり

息は荒く、たわわな胸を上下させていた。


「あっ、、あの〜」


異世界からの可愛い物体にコンタクトを図る。


「めっちゃ怒ってる異世界語」



えっ??なんて??

どうやら異世界の言葉のようだが大層ご立腹なようだ。。


「すこぶる怒ってる異世界語」


えーー、なんかめっちゃ怒ってるじゃん、、、


「あ、あの、なんて言ってるかわからないでしゅ、」


くそっ、ちょっと噛んじゃった。


「考えて気づいた異世界語」


何かに気づいた(ぱいおつが)でかかわな生き物は

謎の呪文のようなものを唱えた。


「んんっ、これで大丈夫??」


ほう、声までいいときたもんだ。


「あっ、はい大丈夫です」


一応童貞ではない俺は精一杯出せる声で返事をした。


「んじゃあ、とりあえず、、、何でメール消してんのよ!ほんとにやばかったんだからね!マジで、、もう、、、本当に殺すわよ!」


うぉーーん、なんていうか、、物騒なこと言ってるんだけどなぁ、普通に可愛い。


「でも、助かったわ、ありがとね」


うん、お礼をちゃんと言えるいい子!


「よし!!じゃあ、早速しましょっか!」


うん?元気に何を言い出すこの子?


「えっ、何をするんですか??」


そうするとキョトンとする彼女


「んえっ?搾精だけど??もうお腹ペコペコで死にそう〜!何でもするって言ったでしょ。あんたも男だしそういうのが目的で召喚したんでしょう??」


そういえばサキュバスがどうだとか書いてあったな。


「んじゃ、いただきま〜す❤️」


おもむろにズボンを脱がしにかかってくるサキュバスさん


「ちょっ、ちょ、待てよ!」


焦った時にもすかさずモノマネを入れるユーモアセンス、これが社会人生活で培ったコミュニケーシ、、


「え〜〜、なに〜??もしかして、経験ない???」


ど、ど、ど、ど、ど、童貞ちゃうわ!!れ


「けっ、経験あるもん!!!」


確かにこの男、童貞ではない、、、だが素人童貞であったのだ!!!


「でっ、でもそういうのはもっと関係を深めてから、、、」


キョトンとするサキュバスさん、次第に顔を真っ赤にして捲し立ててきた。


「うるせぇんだよ、下手にでてたら生いいやがって、こちとらそれが食事なんだよ!いいから黙ってち◯こ出して精液出しやがれ!こっちも生きるか死ぬかがかかってんだよコラぁ!」


えぇ、、、ガチギレしてるやん

なにこれ、、何で俺こんなに怒られてんの??

よくわかんない紋様書かされて、痛い思いして血まで出したのに、、、

こんなんなら助けなきゃよかったよ、、、

はぁ、俺もお腹すいたなぁ、そういえばまだハンバーガー食べてなかったなぁ、、、

んっ、ハンバーガー、、、


「あっ、あの、、、」

絞り出すような声で話しかけた


「あぁ??んだよ??」

もうお姫様のかけらもないこの方は荒々しく返事をした。

「よかったら、これ、、どうぞ」

今夜開催される予定だったいかれたパーティの主賓を

姫殿下に献上した。


「んだぁ?これはよぉ??」


「はっ、ハンバーガーと呼ばれる食べ物です。お腹すいてるんでしたら、よろしければ、、、どうぞ、、、」


「なめてっと、殺すぞ、、、」


死ぬかー、今日死ぬのか〜

いい人生だったのかなぁ〜


「すみません、でも、、、今の俺にできる精一杯はこれです。いっちゃってください、ガブっと!」


「はーーーっ」


お手本のようなクソデカため息が返ってきた


「助けてもらった身分で、言いすぎたよ、、、悪かった。マジで生きるか死ぬかの瀬戸際でよ、焦っちまったよ、、、お前が本当にいいやつってのはわかった。でもな、あたしらサキュバスは精液からしか栄養が取れないんだ、あたしも生まれてから精液しかとってねぇんだ、、、すまねぇ、」


そういうサキュバスさんの体は透けてきていた。


「サッ、サキュバスさん??」


不安になり問いかけると


「へへっ、そろそろ本当に終わりってわけかい、、、

あたしもここまでかぁ、、、なぁ、迷惑かけちまったな、すまねぇが服は残っちまうから適当に捨てといてくれや!あっ、それ使って抜いてもいいぜ、へへっ!」


サキュバスは消えかけていてもう向こうが透けて見えるくらいになっていた。


「一か八か、、ハンバーガー食べてみてくださいよ!ほら、早く!!」


ハンバーガーの包装を取ってサキュバスさんの口に無理矢理ねじ込む。


「んがっ、やめろって、、、突っ込むならお前のちん、、、んっ、、んっ?!」


「ゥンまああ〜いっ!」


サキュバスさんはコース料理の前菜であるモッツァレラチーズとトマトのサラダであるイタリア南部カンパニア地方のカプレーゼを食べたようなリアクションをした。


そして


「あれっ?体が透けてない!?生きれる!生きれるんだ!!やったヨォ〜!!」


サキュバスさんは泣きながら喜んでいた。

なんてことないハンバーガーも人の命を救うんだなぁ

サンキュー レイ・クロック


サキュバスはすぐにハンバーガーを完食した。


「ぐすっ、ありがとうねぇ、、本当にありがとう、、、あなたのおかげで、、ひうっ、、生きれるよぉ、、、、」


さっきまでの女ヤクザは消え去り、涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにした女の子がそこにいた。

ほんとに必死だったのだろうなぁ。


「ぐすっ、、、そんな、、大したことしてないですよぉ〜」

こっちまでつられて泣いてしまった。


その夜は2人して泣いて泣いて泣いて泣き明かした。


それはラブストーリーのハッピーエンドのような綺麗な涙ではなく、地下から生還した男たちの泥臭い涙のようであった。


泣き疲れた俺たちはその後、崩れるように寝てしまい

起きたのは翌日の夕方になってだった。


夕方、昨日の夜のヘビィな出来事からかいつもは午前中には起きるところを今日は夕方まで寝てしまった。

サキュバスは先に起きていたらしく、俺が起きるのを待っているという感じだった。


「あっ!おはよーー、よく寝てたねぇ」


最初のメールのような丁寧な口調ではないものの、昨日ほど荒っぽくはない、いい塩梅の性格のようだ。


「あっ、おはよう、、、ございます。。。」


くそっ、冷静になるとこんな可愛い子が俺の部屋にいるわけがないっ、、、


「もー、敬語やめようよ〜」


「は、、うん、そうだね、、よろしく、、」


まだぎこちなかった、素人童貞なめんな!


「うんうん、徐々にね慣れていこっか素人にもね!」


「くッ!!」


なんだか手玉に取られてるなぁ、まぁ、でもサキュバスだからしょうがないか、、、


「さて、これからどうしていこっか?」


「こっ、これからって??」


そういえばこの女、窮地は脱したもののこれからどうするつもりだったんだ??


「私的には〜、できればここにいたいかな〜って」


「えっ??それって、、、」


突然の提案に思わず声が出る


「ほら、メールにも書いたけどさ、あっちのあたしの国ってさ、もうないんだ、、、まぁ、もとからそんなに大きな国じゃなかったんだけどね。

んで、向こうに戻っても行き場がないわけ。だからさ、君が迷惑じゃなければできれば、、、一緒にいたいな〜って」


うーーん、正直可哀想な話ではあるんだよなぁ。

それに、、、かわいいし、、

なんか、すごい可愛く見える、、、

いや、めちゃ可愛いんだけど、なんか、、


「ちょっと聞いていい??」


「ん、どした??なんかあった??」


「なんか俺に対してまほう??とか使ってたりする?」


「エッ、ナニモシテナイヨ」


明らかに動揺してるサキュバスさん


「ヒューヒュー」

なんか、不自然な口笛吹いてる〜、反応が古いなこの子は


じーーーっとサキュバスを見つめる


「あーーーもう、わかったよ、使ってます〜魅了の魔法使ってます〜」


子供のように白状するサキュバスさん。

「わかった、一緒に住むに従ってルールを決めよう」


しばらく考えた末、鉄の三箇条が爆誕した

「一つ、俺に対して魔法の類は使わないこと

 一つ、えっちな行為はお互いの同意がないとしない    こと

 一つ、他の人にえっちなことはしないこと」

我ながら、いいルールを作れたもんだとかんしんしていると。


「おっけーー」


サキュバスさんはあっさりと了承した。


サキュバスだからえっちなものを封じたのは相当な痛手だと思ったが???


「いいの?実質えっち禁止みたいなものだよ??」


「あー、それなら大丈夫!普通の食べ物から栄養取れるのわかったから!言ったでしょ精液は栄養源だって、だったら美味しい方がいいっしょ!」


ぐぬぬ、誤算だった、弱みを握っておけると思ったのに、、、


「もしかして、我慢できないのは君の方、、、だったりしてねぇ!」


ぐぬぅ、くそぉ、もう上下関係が決まってきそうだ、、、


「それでね、思ったんだ、、、こっちの世界にはまだまだいっぱい食べ物があるでしょ、昨日のハンバーガー、、だっけ?あれも美味しかったけどもっといろんなものを食べてみたいんだ!それに楽しいこともいっぱいしたい!知ってる〜?サキュバスって欲張りさんなんだぞ!だからさ、、、これからもよろしくね!きみ!!」


やれやれ、どうやらとんでもないものを召喚しちまったようだな。


「これから一緒に暮らすのにきみって呼んでるのも味気ないね、お互い改めて自己紹介しようか

あたしの名前はクロエ・ブルーデージー 今は国もないからただのクロエ・ブルーデージー よろしくね!」


自己紹介か、、、、、、、


「俺の名前は、山田、、、キング」


「えっ??ヤマダ、、、何だって??」


「ぐっ、、、」

クソっ、マジで恨むぞ父母、、、

神よ、なぜこのような仕打ちを、、、

「キング、、、」


「え〜なになに??」


「あーーー、もう!キング、王様と書いてキング!!!」


「えっ、キング???だっひゃっひゃっひゃ

え、なに、じゃあここがキングのお城、、、ってコト?!」


「あ〜、もう笑え!笑えよ!!!」


「あはははは、ごめんって!いやー、一生分笑ったわ。じゃあキンちゃんね!これからよろしく!」


「ああ、こっちこそよろしく、クロエさん」


「え〜、クロエさんってなんか、、距離感じるなぁ〜。じゃあ、そうだクロちゃんは?どう?クロちゃんどう??」


「キンちゃん、クロちゃんってなんか芸人みたいだな!!」


「うっ、うん、、そうだ、ね??」


しまった、昨日こっちの世界に来たばっかだからそりゃ、わかんないよな、、、


「ま、まぁ、そのうち分かるさ、きっと、、」


「んじゃ、改めてよろしくクロちゃん」


「うん!よろしくねキンちゃん!」


もう18時、あー、休み無駄にしちゃったなぁ〜


「クロちゃん、ご飯でも食べにいこっか」


「おー、早速ですなぁ〜キンちゃんわかってるぅ〜」


身支度を済ませ、一緒に部屋を出ていく、、、

こういうの、なんかいいっすねぇ〜


そんな想いを噛み締めながら一緒に歩いていく


「それでそれで何を食べにいくの??」


「そうだなぁ〜、ラーメンなんかどう??」


「よくわかんないけどキンちゃんがいうならきっと美味しいものだよね!楽しみだな〜」


「そうだなぁ〜、ラーメンは意外と奥が深くてね、まず味の種類が、、、」

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