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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
4章 各地を回って食材探し[カエルム]

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62話、海に全力! キンザンの本気!

△△△


 今日は予定通り昼過ぎに『ガラット宝石店』へと寄って色々と仕事をしてから、夜中になるのを待って[カエルム]に来ている。


 勿論そのまま来ると、時間差や眠気にやられてしまう為、毎度お馴染みのフライちゃんの結界で皆で仲良く睡眠を取ってから此方に[カエルム]へと来ている。


 転送陣で『フライデー2号店』に移動して、ダイン達に挨拶をしてから、クラン創設が完了した事実を話していく事になり、その間、嫁ちゃん達と三ツ目族三姉妹といった面々は早々に移動を開始した。


 嫁ちゃん達は一足先にビーチで海を満喫すると言って向かってしまったので俺も後で合流する事になっている。


 元々[カエルム]はバカンス向けのリゾート地でもあるので、前回は俺のせいで羽を伸ばせなかったのだから、今日くらいは全力で遊ばせてやりたいな。


 俺は俺で、残されたダインとガルダにクランとして『フライデー』が動き出した事実と、クラン所属になった事実を改めて伝え、クラン証の代わりとなる各自の名前が彫られたネームプレートを渡していく。


「キンザンオーナー……これ、オラのな、名前、名前が彫られてますだよ」


 余程驚いたのか、両手で持たれたクラン証のネームプレートがプルプルと震えている。


「当たり前だろうが、ダイン達の名前を彫って貰ったんだからさ」


「ダ、ダンナ、この横についてる、石はなんですか? 見た事のない赤い石ですが?」


 ガルダが質問してきたのはガーネットだ。


「そいつはガーネットって宝石の一種だ。石言葉ってのがあって、『仲間』って意味があったはずだからつけてみたんだ」


 そう、ガーネットは俺が全て空けて貰った穴に嵌め込んで接着した。

 まぁ、エポキシ樹脂の接着剤を買った事があったから出来た感じだがな、普通の接着剤だとあれだったから本当になんでも経験だな。ブラック企業にやらされた事が今役に経つなんて皮肉な話だよ本当に。


 ただ、宝石と聞いて、ダインだけでなく、ガルダまで手を震わせていたのはびっくりした。


 ガルダなど、この数日の態度から宝石なんて気にしないと思っていたのだが、見かけで分からないことって本当にあるんだな。


「ダンナ、これは何かを試す試験かなんかなのか?」


「なんで、そんな捻くれた考えになるんだよ?」


「だってよ! 奴隷なんだぞ、奴隷に宝石の付いた物を渡すってことは、忠義の確認か、裏切り者を炙り出す為の術が仕込んであるってもんだろ!」


 余りに、考え方が歪んでやがる……いや、そう言う世界で生きてきたって話か、しゃあないな。


「いいか、ガルダ! ダインもよく聞けよ。俺はお前達を奴隷だからとか、獣人だからとかってつまらない差別はしないし! 仲間だって思ってるからネームプレートを用意したんだ! これは俺も有るし、嫁達にも渡してある。仲間の証明だ!」


 声を大きく言ってしまったが、分かってくれたらいいんだが。


 ガルダを見ると、尻尾が下に“しゅん”っとなっていた。


「ダンナ、すまなかった。ダンナのその言葉に答えられるように全力で頑張らせて貰うつもりだ」

「お、オラも頑張りますだ!」


 ヒヤヒヤしたが、話が一段落したので俺達もビーチに向かう事にした。


 『フライデー2号店』から歩いて20分程の場所にビーチがあり、海水浴場になっている。


 人も多いので、嫁ちゃん達を探すのは大変かと思っていたが、意外にも簡単に見つける事が出来た。


 ベリーが特に目立っていたからだ。何処がとは言わない。ただ、ヤロウの視線を釘付けにする破壊力があるって話だ。


 他の嫁ちゃん達もかなり、いや、飛びきり可愛くてセクシーな為、俺は【身体強化】を使い、2人には悪いが嫁ちゃん達の元に駆け出していった。


 俺が走ると同時にイケイケな金髪サラサラヘアーのこんがり痩せマッチョ君2人がベリー達に声を掛けている姿が目に入る。


 あんにゃろが! 心の中に鬼でも住みついたかのような心情になりつつ、全力でビーチに降りる階段の上部からジャンプする。


 着地と同時に舞い上がる砂煙を無視して、靴のまま、ビーチを一気に駆け出し、勢いが足りないと感じだ瞬間に【リミットカット】を更に発動する。

 砂浜を踏み固める勢いで一気に嫁ちゃん達の元に駆け付ける。


「ねぇねぇ、遊ぼうよ? おれら暇なんだよ。なんでも奢るからさ?」

「なんなら、おれは貴族なんだぜ。オヤジが子爵だからさ、いい思い出来るぞ」


 なんか言ってやがるな? 竜切り包丁も取り出してやろうか、こんちくしょうが!


「悪いわね、私達。旦那がいるのよ、それに私達の旦那が怒ると子爵の位無くなっちゃうかもしれないわよ?」


 そんな会話が耳に入ると同時に俺はその場に到着する。

 ブレーキと同時に凄まじい砂埃が男達にダイレクトアタックすると男達が痛がった様子がわかる。


「おいおい、人のカミさん捕まえて、何やってんだ!」


 砂を払いながら、俺を睨みつけるナンパ2人組。


「ぺっぺ、砂が口に、やりやがったな! 誰だテメェ」

「俺達に逆らうと、タダじゃすまねぇぞ、ちくしょう!」


「お前らが誰かは知らないし、逆らってどうなるか教えてくれるなら話は聞いてやる! だがな、俺の嫁に手を出す奴は絶対に許さねぇからな!」


「だから、テメェは誰なんだよ!」


「俺はキンザンだ! この嫁ちゃん達の旦那だ!」


「イカれてやがる、あんなに女囲って何が嫁ちゃんだ!」

「まて、キンザンって言ったよな、逃げんぞ。マジに関わったらダメなやつだ!」


 1人が何かに気づいたようにもう1人の腕を引っ張りながら逃げようとする。


「なんだよ! こんなオヤジやっちまえばいいだろうが!」

「バカ言うな、こいつは『貴族潰しのキンザン』だ! 最近もこいつと揉めたせいで、すげぇ数の貴族が汚職で捕まったんだ! 俺達の親父もそのお陰で子爵になったんだろうが!」


 なんか、知らない間に噂話がやばくなってるような気がするな?


「とにかく、まだやるなら相手になるぞ!」


 流石の嫁ちゃん達もマズイと感じたのか、俺の足を押さえてくる。


 当然だが、嫁ちゃん達がどんなに掴もうが今の俺は、今の俺は……あれ? マジに動けないんだが?


 足を全力で掴むミア達の力は凄まじく、更にナギまで加わった今、俺の【身体強化】じゃ、どうしようも無くなってるのか?


 取り敢えず、ナンパ2人組を全力で“ガルガル”言いながら睨んでおく。


 逃げるようにその場から走り去るナンパ2人組。


 そして、やっと落ち着いた頃に息を切らせたダインとガルダがやってきた。


「はぁはぁ、ダンナ、なんなんすか! あの馬鹿げた速度、獣人のオレ等でもあんな馬鹿げた速度は無理ですぜ」

「心臓が痛いだよ、オラ、足がもげるかと思っただよ」


 全力で追って来てくれたんだなと改めて感謝の言葉をかけてから労いの飲み物を【ストレージ】から出してやり、水分補充をして貰う事にした。


 すると、遠くからまたあのナンパ2人組が何人かの人を引き連れて此方に戻ってきたのがわかった。


 ただ、見慣れた連中だったので、俺は引き攣った笑みを送る事にした。


「よう、警備兵団の皆さんか。流石にアンタらには、手加減なんか要らないよな?」


 そんな会話に身を震わせる警備兵団の姿に追い打ちをかけるようにナンパ2人組が煽り散らかしていく。


「早くアイツを捕まえてくれ! 子爵の息子であるオレが許可してるんだからな!」

「そうだ、奴らを早く捕まえてくれよ!」


 そんな言葉に身動きが取れない警備兵団に俺が一歩前に出る。


「皆も相手は仕事なんだから手加減してやれよ。ただ、間違えて民間人に迷惑をかけるような警備兵団さんには、少しお灸を据えないとな」


 俺の言葉に困ったようにアタフタするフライちゃん。それとは対照的に敵意を剥き出しにする嫁ちゃん達。

 そんな俺達を口をあんぐり開いて見ている『フライデー2号店』のメンバー達。


 警備兵団も両手を前に出して必死に叫んでいる。


「ま、待ってくれ、本当に待ってくれ! 我々は話を聞きに来ただけなんだ!」


 俺が【ストレージ】から竜切り包丁を取り出そうとした瞬間、更に聞き慣れた声が俺の耳に入ってくる。


「おう、兄弟? また騒ぎらしいな、若いのが慌てて詰所まで来たからよ、近くて助かったぜ」


「ブ、ブルーノ団長……なんで此方に」と慌てる警備兵団にブルーノが苛立ちを隠さずに睨みつける。


「それで、なんで兄弟がこんなに怒ってんだ? これでも兄弟は、聞いた話だと穏便なタイプみたいなんだがな?」


 そこからは一方的な圧力による威圧のオンパレードだった。

 流石にみてて、可哀想になってしまい、俺の怒りも何処吹く風と言わんばかりに霧散してしまった。


 ナンパ2人組はブルーノが話をつけると、詰所まで連れていかれていった。


 いきなり、色々あったが、俺は俺の大切な存在を守ったのだと改めて感じた。


 ホッとしてから、嫁ちゃん達を見る。


「おれのカミさんになにしてんだ!」

「おれはきんざんなの! よめちゃのだんななの!」

「ふ、まだやるなら相手になるにゃ!」


 ミア、ニア、ドーナが俺の真似をして、それを見てベリー達がニヤニヤしている姿が目に入る。


「似てるわよ、皆、キンザンさんが着地した瞬間が見えたからびっくりしたものね」

「はい、ご主人様が砂煙をあげて走ってきた瞬間、心から……ポッ……ズキュン……っとなりました」


「ベリーにポワゾンもからかわないでくれ、思い出すと自分でも恥ずかしいんだ」


 からかわれながらも、海を見ながら可愛くも美しい嫁ちゃん達の姿に俺は顔を赤くしていた。


 とりあえずは、俺もせっかくの海なら楽しむことに決めた。 



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