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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
1章 オッサン異世界に行く

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18話、冒険者に絡まれました。オーク狩りがヤバいんだが

 異世界に来てから、3週間が過ぎようとしていた。


 店舗と屋敷を繋ぐ為の工事が開始されていく。


 俺は嫁達を連れて、『冒険者ギルド』に来ていた。


「すみません、このクエストを受けたいんだ」


「おはようございます。キンザンさん……クエストですね、受理しました。あと問題は起こさないでくださいね……本当にお願いしますよ?」


 朝から冷ややかな目だなぁ、まぁ慣れたがな……


 俺がギルドに行けば、嫁ちゃん達が、新しい女が増えないようについてくるんだよな……


 今もなんか、俺が受付嬢といい雰囲気にならない様に睨まれてるし、その視線のせいで受付嬢もぎこちないしな。


 俺の周りを見てみればわかるだろうが……


 赤髪の可愛い鬼人族のミア。

 猫耳が自慢の猫人族の少女ニア。

 美しい紫髪の美人、ベリー。

 ダークグリーンの髪をしたメイド、ポワゾン。

 漆黒の和風ナース服姿をした白銀髪の娘、ドーナ。


 誰が見ても、オッサンには勿体ない美人揃いなんだよな……


「よう、姉ちゃん達、オレ達と飲まないか? 美味いもんくわせてやるぞ」


 ニヤニヤと如何わしい笑みを浮かべた冒険者が絡んでくる。


「はぁ、久しぶりに絡まれたな……」


 そんな呟きに、冒険者が明らかに嫌そうな視線を向けてくる。


「オッサンには、用ねぇんだよ? 女を置いて帰れば、無事に帰れるぞ?」


 冒険者の言葉にテーブル席側から、男達の笑い声が聞こえてくる。


 仲間なんだろうか、こっちに向けて立ち上がり、歩いてくる男達。


「はぁ……まじか」 


 明らかに、テンションが下がった俺の姿に、男達が更に調子にのり、言いたい放題言ってきたので聞き流していく。


「無視してんじゃねぇぞ!」


 いきなり、殴り掛かってきた冒険者に俺は軽く足をかけて、転倒させる。


 毎回の事なので、慣れたものだ。


 モンスター相手は、なかなか上手くいかないが、対人戦なら、普通に何とかなるのも不思議な話だが、【身体強化】を使い続けていた俺は動体視力も強化対象になっている。


 その為、一般の冒険者や、俺と経験や身体能力が変わらない冒険者に負ける事はない。

 最近は絡まれたりもなかったので、ギルドで絡まれるのは、本当に久しぶりだ。


「なぁ、やめないか? 俺達は今から、クエストに行くんだ。時間を無駄にしたくないんだよな?」


「キンザンさん、それかなり煽ってるわよ?」


 紫ロングの言葉に一瞬考える。


「確かに、そうなるな、悪かったな」


 それがいけなかったのか、冒険者男が飛び掛ってきたので、新たに“買い物袋”で買った“ロングサイズ麺棒”を素早く【ストレージ】から取り出す。


「はい、めーんッ!」


 腹部にぶち当たり、その場に悶絶する冒険者男、仲間達が俺を取り囲むと我慢の限界を迎えた嫁達が動き出した。


「もう、しつこいな! ボク達は忙しいって言ってるのに!」


「全員、倒すにゃ。手加減なしにゃ、ぶっ飛ばすにゃ!」


「私、闘いは嫌いなのよね……だから、一方通行で、燃やさせて貰おうかしら、ふふっ」


「ご主人様に害を及ぼすゴミは全て排除します」


「敵……敵……敵……マスターの敵なの……」


 可哀想に、あれは間違いなく、怪我だけじゃすまないだろうな?


 案の定、俺の目の前で冒険者男達は、ぶっ飛ばされていた。


 赤髪ショートの拳が炸裂し、猫耳娘の鋭い爪が防具を切り裂き、2人の男が吹き飛ばされる。


「うわぁぁぁ! 待ってくれ!」


「待たないわよ、全てを燃やし尽くせ灼熱ッ! フルフレイムッ!」


「ぎゃあああああああああ!」


 更に1人犠牲者だな。


「皆さん、激しいですね……ワタシも急がないといけませんね……」


「やめてくれ、頼む……もう、腕も足も動かないんだよ!」


 液体の入った試験管のようなガラス瓶を持った毒メイドが哀れみの視線を動けない冒険者に向けると瓶の中身を頭からぶっかける。

 冒険者男の髪が一気に抜けていく。


「安心して下さい。ただの超強力な脱毛剤ですから」

「か、髪が、オレの髪が!」


 ヒデェ……えげつないな。あれは禁止にしないとな。


 最後はドーナだが、やべぇ!


「ドーナッ! ストップッ!」


「ん? マスター、なんでなの?」


 黒ナースの前で膝をつきボロボロの冒険者が泡を吹いて気絶していた。そんな冒険者にいつの間にか握っていた巨大な鎌を振り抜こうとしていた。


「さすがに、絡まれたからって、殺したらダメだろ! 約束だろ!」

「違うの、腕を落とすつもりだったの、命は奪わないの!」


 そこから、腕を失ったら、死んじゃうかもしれないと、分かるまで話して、やっと納得してくれた。


 その間に、他の嫁達を放置してしまい、ボロボロの冒険者達が大量生産されてしまった……


 受付嬢さんも真っ青な顔をしていたので、頭を下げておく。


 他の冒険者達からは「派手にやったな!」「かぁ、男の方に賭けたのに負けかよ!」「馬鹿だなぁ、キンザンハーレムに絡むとか……」など、色々な声が聞こえてきていた。


「お前ら、やり過ぎだって、また、修理代に金貨が消えるだろうが……」


 そう、黒ナースが俺達の仲間になってから、1週間ほど経つと更に僻まれ、絡まれる事が度々起こるようになっていた。


 俺達が勝つか、絡んだ冒険者が勝つかで賭けまで行われるくらいには、俺達『チームフライデー』は有名になってしまっていた。


「悪い、また問題が起こっちまったな、修理代は後で持ってくるよ」

「うぅ……だから、言ったのに、修理終わったばかりだったんですよ」


 涙目の受付嬢を横目に、俺は頭を下げて、嫁達とギルドを後にした。


 ギルドでの騒ぎに申し訳ない気持ちを感じつつ、[森の終わり]へと移動する。


 昼過ぎに到着してから、川辺に拠点を作り、魔物を探しに向かっていく。


 全員で最初は探索していたが、オーク相手では、過剰戦力だと判明した為、二手に分かれて探索をする事に決めた。


 チームを選ぶと文句が出そうなので、割り箸でクジを作り、俺を覗いた嫁達が引いていく。

 色がついた割り箸を引いた2人が俺のチームになる


「チーム分けだが、ミア、ニア、ベリーのチームと、俺、ポワゾン、ドーナのチームだな」


「ちぇ、オッサンと戦いたかったのにさ……」

「仕方ないにゃ……クジは嘘つかないにゃ」

「ほら、2人ともいくわよ。数でキンザンさんをびっくりさせてやりましょ」


 そんな会話をして、3人は森の探索を開始して行った。


「さて、俺達も行くぞ」

「はい、かしこまりました」

「マスターの為に頑張るの!」


 森の中を進んでいくと、すぐにホーンラビット(角ウサギの上位種)を食べているオークの集団を発見した。


「数は4体か、こっちは3人だから、悩むがどうするかな」


 悩んだ理由は、複数のオークと遭遇したのが初めてだったからだ。

 はぐれ個体を見つけて狩っていた為、此方が数で有利を取れない状況での戦闘は未経験だった。


「どうなさいますか?」

「マスター、やるならやるなの」


 2人は構わないって顔してるな、ならやりますか。


「なら、最初に食事してる奴を狙うとするかな」


 ゆっくりと背後の林まで移動しようとした時、オークの鼻がピクピクっと動き、周囲を確認するように左右に視線を向ける。


「ブギィィ!」っと突然、声を出したオークが片手に斧を握り走り出すと、一直線に此方へと向かってくる。


 バレたかッ! ちくしょう……


「ポワゾン、ドーナ、距離を取れ!」


 慌てて振り降ろされた斧を回避すると急ぎマグロ包丁を握る。


「牛切り包丁も、今度用意するかな……」


 斧を構えるオークに向けてスキル【食材鑑定】【解体】【調理器具マスター】【身体強化】を発動させる。


 全力で駆け出し飛び上がると同時に、マグロ包丁をオークの首に向けて振り払う。


「首切り解体ッ! ウリャアァァァァァァァッ!」


「プギィッッ!」


 力強い一撃に【身体強化】が加わり、オークの首が吹き飛び、身体がドスンっと倒れ込む。


 それを合図に残り3体のオーク達が槍や剣を握り走り出してくる。


 すぐに毒メイドが、風上から薬品を振りまくと、オーク達が苦しみ出し、動きが止まる。


 その場で苦しむオークに俺と黒ナースがトドメをさしていく。

 最後の1体に黒い大鎌が振り下ろされると、戦闘が終了した。


 オークを【解体】スキルで、肉に変えてから【ストレージ】へと入れていく。


 数回の解体で、最初は苦手だったオークも問題なく解体できるようになっているので、本気に成長したなと思う。


 そこから周囲を探索して、はぐれ個体を1体、3体で行動していたオークを見つけて、討伐していた。


「しかし、今日はオークが多いな? 普段ははぐれ個体が1、2体入ればいいくらいなんだが?」


「そうですね、流石に遭遇率がおかしいかと」

「分からないの、でも、沢山狩れるの」


 確かに、おかしいな……


「いったん、戻るぞ。すぐにミア達と合流しよう」

「はい、かしこまりました」

「マスターに従うの!」


 2人に話してすぐに、近くで激しい粉塵が上がった。


「なんだ! 急ぐぞ、やな予感がする!」


 3人で走り出し、粉塵の上がった方向に走り出す。


 すぐに辿り着くと、そこには通常のオークよりも巨大なオークと闘うミア達の姿があった。


「大丈夫か!」


 俺に気づいた3人が此方に視線だけを一瞬向ける。


「オッサン、コイツ、ヤバい奴だ!」


「見りゃわかる! 怪我はないか?」


 すぐに3人の元に駆け寄り、状況を確かめる。


「大丈夫だよ、ただ、ニアが不意打ちくらって、足を痛めてるから、逃げれないんだ」


 俺が振り向くと、木にもたれかかった猫耳娘とそこに寄り添う紫ロングの姿があった。


「ニア、ベリー、大丈夫か」


「私は大丈夫よ、ただ、ニアちゃんが、動けないわ」

「ごめんにゃ……ニアを置いて逃げるにゃ……足でまといは嫌にゃ」


 やばいな、ニアを背負って逃げ切れるのか!


「そうだ、ベリー! まだ魔力はあるのか」

「あるけど、あのオーク、魔法が効かないのよ!」


「魔力があるなら、大丈夫だな」


 俺はすぐに【ストレージ】から、【癒しの基礎魔導書】を取り出して手渡す。


「俺は魔力とか分からないから、頼む」


「わかったわ、少し時間を稼いで!」


「任せろ! ポワゾン、ドーナも頼む、ミアの援護と時間を稼ぐぞ!」


 巨大オークとその周りにニヤつくオークに向かって、俺達は武器を構える。


「ミア、俺が【食材鑑定】で弱点を探す、だから、攻撃に当たるなよ!」


「オッサン、任せたぞ! それにボクは元々冒険者なんだから、心配要らないよ!」


 会話の最中、痺れを切らした巨大オークが手に握ったハルバートを力強く振り下ろす。


 回避された瞬間「プギャアッ!」と雄叫びをあげる。


「そんな単調な攻撃当たるかよッ!」


 赤髪ショートは回避と同時に双剣を巨大オークの脇腹えと全力で振り抜いた。

 

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