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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
7章 繋がりの先に、女神の心と紡がれる道

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176話、賑やかな日曜大工は二号店で

 店舗にて、ルンダさんを含めて、揚げ物の調理法を教えてから、次に俺は店舗の奥に設置した転送陣へと向かう。


 転送陣から向かう先は勿論、癒しの街[カエルム]にある『フライデー二号店』だ。


 時間を考えれば、[バリオン]が夕暮れの為、あちらは早朝になるだろうか? 時間的には三つ目族の三姉妹と孤児院の子供達が朝の清掃をしている頃だろうか、誰もいなければ出直せばいいしな。


 俺が[カエルム]の二号店に到着すると店舗側で掃除をする孤児院の子供達と三ツ目族の三姉妹が床を綺麗に掃除していた。


 此方に気づいたのか、孤児院の子供達が嬉しそうに声を上げる。


「あぁ! キンザンのオジサンだ」

「え、本当だオジチャンだ。いらっしゃい」

「オジチャン、どうしたの。最近きてなかったよね」


 一斉に喋りかけられて、アタフタしていると、三ツ目族のドド、メメ、キキの三人がおずおずとやってくる。


「あなた達、まだ掃除が終わってないでしょ?」


「そうですよ? オーナーが来たから、はしゃぐのは分かりますが、やる事をしないとだめです」


「ネェ様達の言う通りだけど、嬉しいから仕方ないんじゃないかなぁ、キキもオーナーが来て嬉しいし」


 しっかり者のドドが注意をして、

 中立的な意見のメメが仲裁に入り、

 マイペースなキキが好き勝手な返事をする。


 なんか、性格バラバラすぎるな……まぁ、仲良さそうだから、構わないが。


「いきなり悪かったな、実は必要な物がある場合について、少し補足して起きたいことがあってな」


 俺がそんな説明を口にすると、メメがぺこりっと頭を下げると、その場から姿を消していく。


 メメが姿を消してしまった事に唖然としていると直ぐに子供達が質問を問い掛けてくる。


「キンザンオジチャンは、なんで来たの?」

「わかったサボってないか確かめにきたのよね?」

「違うよ、きっと、僕達が頑張ってるか見に来たんだよ」


 子供達の楽しそうな声に俺は軽く笑みをこぼして、質問に優しく答えていく。


「そうだね。みんなが頑張ってるか見に来たんだが、思ったよりも頑張って働いてたから、ご褒美をあげないとだな」


 俺はそう口にして、“買い物袋”から、市販のクッキーを数枚取り出していく。

 一枚200円程度のの商品と言えば、分かるだろうか? 普通に買えばちょっと、いいお菓子かな? 程度の物だが、此方の世界での価値はまったく違うのだ。


「ほ、本当にいいの! ありがとう」

「皆にあげないとだよね?」

「うんうん、僕も皆にあげるよ! フィーネネェちゃんも喜ぶよね」


 優しく子供達の発言に俺も嬉しくなってしまうな。


「大丈夫だよ。お土産分は別にあげるから、みんなで食べていいんだよ」


 子供達にご褒美をあげていると、転送陣から、二号店を任せてある店長のダインがやってくる。


「オーナーすみません。遅くなりましただよ」


 早朝という事もあり、慌てて来てくれたのが、衣服の掛け違えられたボタンからも分かるので、俺は軽く笑みを浮かべて挨拶を口にする。


「悪いな、連絡もなく来ちまったから、まだ寝てただろうに許してくれ、ダイン」


 そこから、『フライデー本店』を『調理師ギルド』に任す事がある事実と必要な食材に関しては、『フライデー二号店』に取りに来てもらう事にした事実を伝えていく。


「はあ? だども、オラ達側に来てもらうのは、大丈夫なんですか」


 少し不安そうな声で質問するダインにドド達、三ツ目族三姉妹が不安そうに見つめて来ている。


「まぁ、問題は少ないとは思うんだ。決まった日のみだから、“金の精霊の日”だけだからな」


 俺はそんな説明と同時に“(つがい)の袋”についても説明していく事にした。


 早い話が、転送陣の秘密は顕になるが、二号店に繋いでいる転送陣のある場所を店のように加工してしまう事を伝えた。


 それにより、転送陣を使い、商品を受け取りに行くようなイメージで食材を本店に持っていって貰う事にした。


 少し回りくどいやり方になるが、このやり方ならば、『二号店』での食料受け渡し作業も問題ないし、揚げてある商品や食材の問題も全て解決となるだろう。


 前回までの砂漠のオアシス都市[ガルド・ゼデール]での失敗や長く迷惑をかけてしまった事実を考えて決断した事であり、事前の嫁ちゃん達との話し合いで了承も得ることができている為、あとはダイン達の返答次第になる。


「わかりますた。オラ達はキンザンオーナーの指示に従いますだ」


「悪いな、無理ばっかりさせちまって」


 頭を下げようとすると、ダイン達に止められた。


「やめてくだせい。オラ達は助けられてばかりだから、オーナーが店を任してくれて、今はしっかりと頑張れる自分達があるんで、本当に感謝ばかりなんですだよ」


 他の二号店のメンバーには、ダインから説明をしてくれる事になった為、俺は直ぐに転送陣が設置されている場所に棚を作る為、“買い物袋”から木材やインパクトドライバーを取り出して作業を開始する。


 大工の真似事になってしまうが、長くブラック企業にいた俺は即席で売り場を作ったり、屋台に棚となんでも自作させられていたので、こんな作業もお手の物だ。


 少し時間は掛かったが、後から合流したガルダも参戦してくれた為、二号店開店時間までに作業を終わらせる事が出来た。


「ふぅ、何とかなったな。そんじゃ、俺は戻るよ。なんかあれば、直接来てくれよ。時間なんか気にせずにな。屋敷に居ない時は、“(つがい)の袋”にメモを入れてくれると助かる」


「わかりますた。オラ達側から何かあればメモを入れさせて貰います。ただ、わかるんですかい?」


「ああ、俺の方は入れられた物を通知してくれるから、そちらから入ったら直ぐにわかるんだよ」


 簡単な話を終わらせてから、俺はヘトヘトになりながら、屋敷へと戻る事にした。

 少し二号店を手伝いたいという気持ちもあったが、どうやら、体力の限界らしい。


 屋敷に戻ってから、俺はホットコーヒーを“買い物袋”から取り出して、新しい煙草を開封してから、やっと一息つける事にした。


 [バリオン]は既に夜中であり、嫁ちゃん達はどうやら、晩御飯を終わらせて、風呂に入っているようで、賑やかな声が浴室から聞こえて来る。


 取り敢えず、ヘトヘトな身体にホットコーヒーを流し込み、一服を終わらせてから俺は自分用の晩飯を軽く作る事にした。


 作ると言うよりは、のせるだけの話になるのだが、米を丼によそってから、【ストレージ】に入れていたマグロもどきのワサビ漬けを取り出していく。


 そう、マグロもどきの漬け丼が俺の晩飯として作っていく。

 普通の醤油漬けの方を使うか迷ったが、疲れてる時には少し刺激が欲しくなる物だからな。


 ついでに、お吸い物や漬物を並べていき、更に冷奴と切り干し大根を“買い物袋”から追加していく。


「うんうん。立派な晩御飯だな。むしろ、漬け丼セットと言うべきかな、頂きます!」


 俺は一人、両手を合わしてから、食べ始めようと箸を伸ばした瞬間、バタバタと廊下から音がしてくる。


「ご飯の匂いがするにゃ! キンザンが帰ってきたにゃ!」


「待ちなさいニア! 服を着ないとダメよ!」


 ニアがタオル一枚で走って来たかと思うと、続いてベリーが姿を現し、俺は持っていた箸を一旦止めた。


 互いに無言で固まるが、俺は目の保養に感謝しながら、食事を再開する事にしようと決めた。


「ニア、こっちで服を着なさい!」

「嫌にゃ! キンザンのご飯を食べるのにゃ〜キンザン、ご飯を作るにゃーーーー!」


 賑やかに騒ぎ散らかして、ニアはベリーに連れられていく。俺は溜め息をついてから、笑うと人数分のマグロもどき丼に取り掛かる事にした。



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