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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
1章 オッサン異世界に行く

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10話、お好み焼きもどき、料理大会の勝利者

「いよいよ、最後だな、ここまでは技術をみせる対決だったしな」


 俺は既にメニューを決めている。


 すぐに司会が前に立つと、俺達とガランのチームを紹介していく、


「ここまで、勝ち進んで来たチームは2つ、ガラン・キッチンから『チームガラン』そして、まさかのダークホース『チームフライデー』だァ!」


「「「オオォォォッ!」」」

「「「うおぉぉぉ!」」」


 司会が一気に盛り上げると、会場中央に積まれた食材を指さす。


「あちらが食材になります! 自由に使っていただいて構いません! 最高の料理人はどちらになるのか、試合開始ッ!」


 俺達は、すぐに走り出す。


「ミア! 肉は任せた、ニャアは魚を!」

「ニャアじゃないニャ、ニアだニャ〜」

「わかった、ニアは魚! ベリーさんは野菜を頼む!」

「俺は小麦粉だな」


 肉を取りに言ったミアがガランの仲間と肉の取り合いになっているな。


 だが、他の二人は大丈夫そうだな。


 グシャンッ! っと数回音が聞こえて振り向くと、ガラン達が、卵の置かれた台を倒している姿があった。


「おっと、卵を倒してしまったようだね……ははは」


「あのやろう、やりやがったな!」


 すぐに倒された卵の元に走り、使える物を拾っていく。


「5個だけか……ヒビもはいってるな」


 だが、5個の卵があれば、なんとかなる。


「食材をムダにしやがって! 許さねぇからな!」


 食材を持ち帰り、すぐにメンバーが手に入れた食材を確認する。


 魚、野菜は問題ない、肉もミアがしっかりと確保してきた。


 【ストレージ】から油入りの鍋、3つのカセットコンロを用意して、1つに火をつける。


 ヒビの入った卵はザルを使い、カラが入らないようにして、ボウルへと移していく。


 すぐに小麦粉をふるいにかけていく。


 パンをバラバラにすりおろして、パン粉を作り出す。


「準備出来たな、ニア、魚をさはいてくれ、捌いたら、ベリーさんは、ホネ取りを頼む。ミアは俺が切った肉をコレでひき肉にしてくれ」


 今回の秘密兵器、『肉をひきに君』(15980円)を取り出す。


 肉をカットして、玉ねぎをみじん切りにしていく。


 ミアが肉をひき肉にする間に、フライパンで玉ねぎを炒めていく。


 紫ロングなら、わかるだろうが、俺はハンバーグを作る。


「ひき肉出来たか!」

「いけたぞ! ボールに移動したぞ!」

「よし、玉ねぎもできた、混ぜるぞ!」


 濡れ布巾の上にバットを置き、玉ねぎを冷ましてから、ひき肉と合体させる。

 隠し味はハチミツと卵、そこにパン粉を混ぜていく。


「おりゃあッ! こねたら、空気を抜いていくぞ」


 一旦、形を整えて、ハンバーグを放置する。


 次は魚だな。


「ベリーさん、魚、どうだ?」

「ホネ抜きできたわよ。次は?」

「塩コショウを頼む! 出来たら、フライにしたいんだが、頼めるか?」

「任せて! それくらいなら、できるわ」


 紫ロングに魚を任せてる間に、小麦粉でお好み焼きもどきを作っていく。


 ソースが使えないので、塩を多めにして、肉と魚介類のミンチを混ぜ合わせて生地を作る。


 ミンチはハンドミキサーを使い、押しながらのミンチ作成になった。


「ミンチというか、トロロみたいに、なっちまうんだよな……トロロ! ニア頼む、イモだ! なんでもいいから、全部もってきてくれ!」


 食品を混ぜながら、ニアの持ってきたイモ類を【食材鑑定】でトロロとして使えるイモを探していく。


「これだな! ただ硬いカラを割らないといけないのかよ?」

「オッサン、任せろ! ハアァァッ!」


 ミアの一撃が、硬いイモのカラにヒビをいれる。

 更に連撃が放たれ、カラが粉砕される。


「よくやった! 中のイモをすり潰してくれ!」

「任せろ! ウリャア!」


 ミアがイモをトロロになるまで、叩きつける。


 それを生地に混ぜながら、キャベツなどを混ぜこみ、一気に会場に設置された鉄板で焼いていく。


 白身魚のフライを揚げ終わった紫ロングがこちらに来てくれたので、お好み焼きもどきを任せる。


「ベリーさん、こいつを使ってくれ、お好み焼きヘラだ、任せた!」

「任されたわ、任して、私、お好み焼き屋で働いてたんだからさ」


 俺は、休ませてた、ハンバーグに向かい、フライパンで焼いていく。

 肉汁を確認し、蒸し焼きにする。


 すべてが順調に進んでいく。


 そして、時間が迫る、全員が自分の作業をしっかりとこなしていく。


 ミアとニアが野菜を盛り付け、白身魚のフライとハンバーグがのせられていく。

 そして、俺は自作マヨネーズを作り、焼いた卵と玉ねぎを混ぜ合わせていく。 


「即席だが、タルタルソースの完成だぜ!」


 ハンバーグの肉汁を、すりおろした野菜と混ぜて、ソースにしていくと、それを小さな器にいれる。


 そして、審査が始まる。


 ガランチームは、分厚いステーキとパン、肉を煮込んだスープとゆで卵のスライスだった。


「ステーキにも、煮込みにも、最高のワインを使っております。どうぞ」


 領主一家が食べ始める。

 領主と奥さんは美味そうに食べてるが、お子様達は、かなりキツそうだな。


「ありゃ、ワインを入れすぎてんな……ガキが食べるにはきついだろうに、たく」


 そして、俺達の料理が運ばれる。


 鮮やかな、野菜に白身魚のフライとタルタルソースもどき、ハンバーグに野菜のソースが1つの皿に載せられている。

 別皿には、マヨネーズが塗られたお好み焼きもどきがのせられ、青のりがないので、見た目の為のパセリがチラされている。


「飲み物は、水かレモジュースがありますので、お好きにどうぞ」


 そう言われ、運ばれた飲み物が選ばれていく。


 そして、勝負は一瞬だった。


 説明など、いらないだろう、全員が感想も忘れて料理を食べているのだから。


 何より、子供達の笑顔を見ていた観客からもツバを呑み込むような音が聞こえてくる。


 食べ終わるまでの間に、会場に広がる香りだけが全てを支配し、その場の誰も目を離せなくなっていた。


 カランっと、皿にナイフとフォークが置かれた瞬間、司会が我にかえったように、声を出す。


「け、結果を、お願いします!」


 領主は家族に視線を向けると、軽く頷く。


「『チームフライデー』の料理が優勝ですな」


「決まったァァッ! 勝者は奇跡のダークホースッ! 『チームフライデー』ェェェェッ!」


「「「オォォォォォォォォ!」」」


 会場が俺達の勝利に声をあげ、観客から拍手が送られる。


 勝利を手にした俺達と違い、ガランが膝から崩れ落ち、地面を殴りつける。


「すごい睨んでんな……まぁ、あんだけ騒いで負けたんだから、しゃあないよな、それよりも……」


「さすが、ボクのオッサンだな、マジに勝ったぜ! 信じてたぞ!」

「ニアも信じてたにゃ〜キンザンは最高だにゃ〜」


「おい、二人して、いきなり抱きつくなよ、あはは、わかったから」


 俺に二人の嫁が飛びつき、勢いに押されて倒れこむと紫ロングが笑っていた。


「ふふ、本当にやったわね。やっぱりキンザンさんは面白いわね。私と手を組む話、真剣に考えてみてね」


「考えとくよ、それよりもやる事をやらないとな」


 俺は立ち上がり、勝利者として、挨拶をする事になった。


 司会から、ビックボイスの魔導具 (マイクみたいなやつ)を渡されて、会場中央で挨拶をする。


「皆さん、今回、俺達が料理大会に出たのは、ガラン氏による嫌がらせがあった事を領主様に話したかったからです」


 貴族への反撃、誰もが驚きながら聞いているのがわかる。


「領主様、弱い立場の者や、力の無い人を守るのが貴族の役目ではないかと俺は考えます。あからさまな嫌がらせや、影での悪事を行うのが貴族なのでしょうか?」


 会場の空気がかわり、下を向く観客の姿もあった。


「俺は、みんなが、笑って楽しく、正しい街になればいいと思います。どうか、お考えください」


 俺が領主様に頭を下げると、小さな拍手が会場から鳴り出し、それが全体の拍手へと変化する。


「待て! 何を勝手なことをほざくか!」


 ガランが大声を出して、俺へと向かってくる。


 ビックボイスのスイッチをオフにして、話を聞いていく。


「何も嘘は行ってないですよ?」

「黙れ、この平民が、ワシをバカにしおって!」

「今はやめませんか? ガランさん、負けたんですから、負けた人は大人しくしましょうよ。領主様もいますし?」


 そして、ガランが、真っ赤なトマトのような顔になった瞬間、俺はビックボイスをオンにする。


「『領主など関係ない! 殺してやる!』」


 会場に鳴り響いた声に、慌てて兵士達がガランに槍を向ける。


「な、なんだ貴様ら! ワシはガラン伯爵だぞ!」


「伯爵様、先程の発言はこの場の全員が聞いています。抵抗なきよう」


 ガランが最後まで俺を睨んでいたが、手を振ってお見送りしてやった。


 長かった一日が終わりを告げると思うと、本当に疲れた。


 だが、簡単に終わる事はなかった。


 大会後に優勝賞金と商品を後日、領主エヒト家に取りに行く流れになってしまった。



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