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可愛い婚約者は、どこか変  作者: S屋51


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高級娼婦 娼館へのお誘い

「よう、娼館行かねえか」

 賭場に顔を出すと、顔見知りが出会うなりそう言って来た。

「デュパンさんがどうしようもない人間とは知ってましたけど、子供を娼館に誘うほどのクズでしたか」

「勘違いすんな。いや、勘違いじゃねえけど、別に女遊びしろってわけじゃねえよ」

「しちゃ駄目なんですか?」

「……いや、いいけど。早くないか?」

「デュパンさんが俺ぐらいのときはどうしてた?」

「精々が女の湯浴みを……なにを言わせる」

「覗き魔」

「ガキの頃の話だ、ガキの頃の」

 子供時代から覗きしてたとなると、今や立派な性犯罪者。

 まあ、冗談はこのぐらいにしといて。

「娼館にはあんまり行きたいと思わないんですけどね」

 デュパンさんが誘うからにはなにかあるんだろう。

 それは分かる。

 別にね、お姉さんたちを見るのが嫌いだとかじゃないよ。子供だと無料でちやほやしてくれるから楽しいっちゃ楽しい。

 ただね、後がちょっと……。

 リアルテ、すっごく臭いに鋭いから。

「まあいいからとにかく話を聞け」

「はい、どうぞ」

「新しく入った女ってのがな、別の街で最高級娼婦としてやってた奴なんだ。客も貴族や大店の主人とかだな。そいつらがあんまり取り合って危ないからってことで店を移ることになったそうだ」

「傾国という奴ですか」

 この世界でもね、そういう言葉あるんだよ。

 美女は国を滅ぼす。

 男は権力者であっても美女に弱い。どうしようもない生き物だね。

「まさにそうだな。

 で、この娼婦はただ金さえ払えば相手してくれるってもんじゃない」

 高級娼婦ともなると教養も高い。

 王宮の女官並とかって話もある。

 実際にどうかは知らんけど。

 昔々のその昔、妓女なんかでもレベル高い女性は身体より芸を売ったとか。

 余程気に入られないと相手して貰えないんだよね、ああいう女性。

 花魁なんかになると何度も通ってやっと床をともに出来たって。選ばれるじゃなくて選ぶ側だった。……ってのは実は誇張だって話もあったな。実際のところは知らないけど、花魁まで行くには高いレベルの教養も求められて、子供の頃からかなり詰め込まれたそうだから、会話のレベルも高かったろうね。そこらの学がない人間じゃ会話が合わなかったろう。

「彼女の質問に答えられた者じゃないと顔も見せてくれないそうだ」

「質問?」

「教養問題らしい。会話の合う相手じゃないと嫌だとかってね」

 下っ端の娼婦がそんなこと言ったら店の主人に折檻されるだろうけど、高い金で客を取れるのならそういう選び方も許されるんだろうね。

 かえってプレミアついたりするから、案外店の主人と示し合わせてるかもね。

「おまえ、そういうの得意だろ」

「まあ、苦手ではないかな」

「なら試してみないか。気に入れば金も要らんそうだぞ」

「でも、どうせ挑戦するだけでもお金いるんでしょ?」

「大金貨で新人を身請けした奴がケチなこと言うな。金貨1枚だ」

 参加料だけでそれって、ぼったくりじゃん。

「催しとしては面白いけど、俺にメリットが無さ過ぎる」

 メリットどころか、リアルテの機嫌を損ねることを考えるとデメリットがでかい。

 そりゃ、噂の美人を見てみたいとは思わないでもないけどね。

 金を払って、リアルテの機嫌を損ねてまでやることでもない。

「そう言うなよ。俺だけで行って駄目だったら相手の顔も分からんで終わっちまう。せめてどんな女か、はっきり知りたいじゃないか」

「噂ではどんな美人なの?」

「生まれは亡国のお貴族様」

 没落した家とか、亡国のやんごとない家柄とか、高級娼婦の箔付けとしては在り来たりだ。でも、実際そういうこともあるからね。

 貴族令嬢って生活力ない人も結構いるから、家が没落したりすると自分で働くこともできない。どこかの金持ちの愛人にでもなるか、娼館に身を売るか、世間を捨てて修道院に入るか。

 ただね、この世界、女性の自由意志って考慮されないことが多いから。

 没落した家に借金があると有無を言わさず売り飛ばされるし、どこかに滅ぼされた家なら滅ぼした奴、戦で勝った奴に所有権があったりする。

 修道院に逃げ込めたなら、まだマシってところかな。

 件の高級娼婦が本当に亡国の貴族かどうかは知らない。いかにもな話で、実際は違うのかもしれないし、なんとも言えない。

「小麦色の肌に赤茶色の髪、瞳は黒に近い深い青、それに泣きぼくろがあるそうだが、これが右か左か分からん」

「そこまで分かってりゃ妄想には困らないでしょ」

 思ってたよりずっと具体的な情報だから驚きだ。

 それだけの情報があれば生成AIならそれなりの絵を描いてくれる。

 ないけどね、生成AI。

 それにしても、美人で小麦の肌で、赤茶の髪で、黒に近いふかい、あお……?

「年齢はいくつぐらいなんです?」

「そう歳じゃないだろ、売れっ子なんだから。20代前半、行っても半ばじゃないか」

「亡国の貴族と言いましたけど、具体的に、どこの国でしょう?」

「なんだ、いきなり食いつくな。さすがにそこまでは知らんよ。本当かどうかも分からんしな」

「名は?」

 娼婦としての名を聞いても本名とは限らないけどね。

「リヴィ。ま、本名かどうか怪しいがな」

 それでも、本名を名乗る人もいるし、本名を元にした名を使う人もいる。

「それじゃ、行きましょうか」

「なんだ、急に乗り気だな」

 戸惑うデュパンさんを放って僕はさっさと店を出た。


またそんなところへ行って大丈夫なの?


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