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可愛い婚約者は、どこか変  作者: S屋51
幼少期

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大魔王・大魔法 中

 どうにも僕は婚約者達からも軽く見られるというか、舐められてる。

 恐がられるよりは良いんだけどね。一応とは言え王族なのに威厳がないって事なんだろうね、きっと。

「それで、結局なにがあったの?」

 話を戻した僕を、こちらへ、とラーラが促す。

 案内された先はリアルテが勉強部屋として使っている部屋。

 さほど広くはないけれど、日当たりは良いし、本棚がいくつか配置されていて書斎にも見える。

 実際僕がそういう用途で使っていた部屋をリアルテが授業を受ける部屋として改装した。

 僕だけの頃は絵画もなく、カーテンもなかった。

 リアルテ用にするときにヒビが入ってくすんでいた窓は新品に変え、カーテンもつけた。

 勉強用の椅子と机を新調して花瓶も置いた。

 その壁際の花瓶に生けてある花が枯れていた。いや、腐ってる?

 花は毎朝取り替えさせてる。

 今朝も薔薇科と思われる花が新しく生けられたはずだ。

 朝方メイドが庭師が持って来てくれたと言っていた。

 以前生けた別の花?

 違う。花瓶が同じだし、腐っていても原型はある。

 だから、何らかの理由で花が急速に腐敗したと考えるのが多分正しい。

 そんなことはあり得ないというのは無意味だ。現実に起こっている。

 誰かが手間暇掛けて僕を引っ掛けようとしているのなら話は違って来るけれど、そういう心当たりはないし、花を腐らせてなにがどうなる?

 子供の悪戯と言うには手が込んでいるし、そもそも子供は僕の他はリアルテだけ。

 リーチェは今日は暇を出してある。酒蔵での作業は一応秘密だからね。リーチェに隠しておかなければならないってことはないけど、隠し事が下手クソだから。

 騎士団長に知られたら、正規販売の前に横流しをねだられかねない。

 更に言うなら、騎士団長に知れたら芋づる式に騎士全体に話が流れる。騎士団は飲む人間多いからね。試験的な量なんてあっという間になくなっちゃう。

 やっぱりリーチェにはできるだけ知られないようにしよう。

「これは魔法?」

 僕が知る限りに置いて、朝元気だった薔薇をここまで急激に腐らせるとなると通常の方法ではありえない。腐食性の薬品を使ったのとも違うし、そもそもそんな知識を持った人間がいるかな?

 となれば、この世界にある摩訶不思議パワーのご登場と相成る。

 人間が使う魔法って制約が多くて限定的な使い方しか出来ないけれど、今現在人間が知り得ているだけじゃなく他にも魔法は存在するんだと思う。

 ものを腐らせる魔法が存在したとしても驚くほどのことじゃない。

 原理は分からんけど。

 魔法です。それで証明終了なんだよね、この世界。

 ラーラは頷いた。

 そうか、魔法か。苦手な分野だ。

「こういう魔法は一般的?」

 一応僕が知る範囲ではそんな魔法はない。

 でも魔法は専門外だからね。ひょっとして存在するのかもしれない。

「人間が使う魔法では存在しないと思います」

 となると答えはあれか。

「大魔王降臨」

 僕の呟きにラーラは表情を硬くした。

 それほど警戒するようなことかな。

 むしろ仮にも大魔王なんて大層な呼ばれ方してるなら、人間が使えない魔法ぐらい使えて当然じゃない?

「リアルテは?」

 どういう経緯で大魔王の魔法を使うことになったかも気になるけれど、この場にリアルテの姿が無いことが気になった。


「棘の処理が不十分だったのです。家庭教師が来る前に、お嬢様は薔薇を見ておられました。それで薔薇に触れたところ、運悪く残っていた棘が指に刺さって……」

 小さく声を上げたリアルテは薔薇を睨んだのだという。

 そして、薔薇は見る間に萎れて行き、腐った。

 控えていたメイドやラーラも驚いたが誰よりもリアルテ当人が驚き、その場から逃げ出して部屋に閉じ籠もってしまったのだという。

「説得を試みたのですが無駄でした。殿下をお呼びしようかと思ってもどちらにいらっしゃるか、どうやって連絡すれば良いかも聞いておりませんでしたので。

 それにお嬢様が殿下にはお報せするな、と」

「緊急時の連絡方法確立は急務だね」

 携帯電話とか無いからなあ。

 まず、携帯しない電話から普及させないと。

 その前に電気か……先は長い。

 情報交換の方法は基本手紙。誰かに言付けるのは簡単な内容限定。重要な内容は紙に書いて封蝋をする。封蝋には自分を表す印章を捺す。僕独自の紋章もあるんだよね、ちゃんと。

 そんなだから即時性は低い。

 遠方だと手紙のやりとりだけで一週間とか当たり前にかかる。

 電気を作ってモールス使えるようにすれば他分野に渡って発展するだろうね。

 情報伝達速度ってのは要だから。

 戦場で望遠鏡とハンドサインや手旗信号を導入するだけで軍の動きはがらっと変わる。……そんなものが活躍する場がないのが一番だけど。

 リアルテの部屋に向かい、ドアをノックしようとしたら、

「殿下、こちらです」

 とラーラに訂正された。

 部屋に閉じ籠もるって、自分の部屋じゃなくて僕の部屋なの? ってか寝室?

 まあ、寝起きは僕の部屋でしてるけどさ。

 リアルテの部屋は着替えのための衣装部屋みたいになってるんだよね。僕の部屋にいたがるものだから。

 昼間、僕がいないときのお昼寝まで僕のベッド使ってるらしい。

 リアルテの部屋のベッド、折角新調したけど殆ど使ってないな、そう言えば。

 というか、リアルテを説得しないことには僕は部屋で休むことも出来ないのか。


「リアルテ、今日はお出迎えしてくれないの?」

 ノックをすると中で反応する気配があった。

 うん、出ようかどうしようま迷ってる風だね。

 ……考えてみりゃ僕の部屋なんだから遠慮することないんだけどね。いや、この離宮がそもそも僕の家なわけだが。

 でもここはリアルテの心情を慮って真摯で紳士な対応で行こう。

「僕は嫌われちゃった?」

「違います」

 間髪容れずの否定。

 嬉しいような恥ずかしいような。

 うん、意地悪な質問だったね。

 というか、ちょっと傲慢だったかな。

 リアルテに嫌われてない自信はあったし、僕がああ言えばリアルテならすぐに否定してくれると確信してたからね。これ、外れたら心折れたかも。

「入ってもいいかい?」

 僕の部屋だけどね。

「どうぞ」

 良かった。断られたらどうしようかと思った。

 僕は後ろで控えているラーラに目配せしてから自分の寝室に入った。


 室内が明るいのは照明が灯されているからだ。

 けどさ、いつ点けた?

 聞いた限りじゃリアルテが部屋に閉じこもったのは明るいうち。センサー付きの常夜灯でもあるまいし、僕の部屋の照明は勝手には点かない。

 ラーラが点けたんだろうけど、そのとき部屋に入ってるよね?

 閉じ籠もるとは……。

 僕はリアルテに甘い自覚はあるよ。

 寝室がリアルテのお気に入りのぬいぐるみたちに占領されつつあるのも黙認してる。

 でもさ、ラーラも相当だよね。

 んで、僕のベッドの上に布団おばけがいた。

 そう、布団。

 うちは布団使ってます。

 冬に備えて僕が準備した。いや、準備自体は前々から進めてて、リアルテを保護したから実用化した。

 綿じゃなくて羽毛布団。

 綿もまだ普及してるとは言い難い状況で羽毛。

 この羽毛のために水鳥を集めたよ。食肉用にもなるから養殖始めちゃえば羽毛も集まりやすんだけどね、まだそこまで行ってない。

 一昨年ぐらいから狩人に依頼して水鳥を集めて、肉はミリアたちと食べた。

 さすがに食べきれなかったから孤児院に寄付したりね。

 狩人との仲介はいつものハゲ狸会頭に頼んだけど、そんなに鳥を狩ってなにをするんだって顔された。お金出して鳥を集めて、肉は寄付だからすっごく怪訝な顔をされたよ。

 羽毛布団についてはまだ内緒にしてある。乱獲されても困るからね。商売にするのはちゃんと養殖して数を揃える算段が立ってから。

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